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教育基本法改正の成果を「活かす」という視点


⚫︎はじめに

先週、日本教育研究所創立50周年の節目に、「教育基本法改正の成果と今後の課題」と題して、講義を担当させていただいた。

民間教育臨調の運営委員長を務めたことなど、自身の経験を踏まえて教基法改正の背景を語ったのだが、このことを単なる過去の話として片付けてはならない。

なぜなら、令和5年度~9年度の第4期教育振興計画の冒頭に「教育の普遍的な使命」として、次のように明記されているからだ。

教育基本法の理念・目的・目標・機会均等の実現を目指すことは、先行きが不透明で将来の予測が困難な時代においても変わることのない、立ち返るべき教育の「不易」である。教育振興基本計画は、「不易」を普遍的な使命としつつ、社会や時代の「流行」の中で、我が国の教育という大きな船の羅針盤となるものと言えよう。「流行」を取り入れてこそ「不易」としての普遍的使命が果たされるものであり、不易流行の元にある教育の本質的価値を実現するために、羅針盤の指し示す進むべき方向に向けて必要な教育政策を着実に実行していかなければならない。>


明確に「教育基本法の理念・目的・目標・機会均等の実現を目指すことは(中略)立ち返るべき教育の『不易』」と記されているのである。

第4期教育振興基本計画に記された、「日本社会に根ざしたウェルビーイング」について、髙橋塾生と共に理論と実践の往還に取り組んでいるが、このテーマについても、「教育基本法の成果を活かす」という視点で捉えていきたい。

本日と明日は、『なぜいま教育基本法改正化』(PHP研究所/「日本の教育改革」有識者懇談会)から引用した文章を投稿したいと思う。



⚫︎教育基本法改正の経緯

教育基本法改正に至る経緯を少し説明すると、臨教審と日教組及び日本教育学会が激しく対立したことを受けて、平成12年3月に小渕首相の私的諮問機関である「教育改革国民会議」が発足した。

この発足に伴い、賛同者250名を結集して民間の「新しい教育基本法を求める会」(西澤純一会長・髙橋史朗事務局長)を設立。

同会かや「6つの提言」をまとめて提出し、『新教育基本法6つの提言』(小学館文庫)を出版した。

同書の第4部「教育基本法はどう見直されてきたのか」において、教育基本法の50年史について私は執筆した。

平成13年11月、遠山文相が中央教育審議会に「教育基本法改正」について諮問したことを受けて、民間からの教育基本法改正運動を促進するために、平成15年1月、「『日本の教育改革』有識者懇談会(通称「民間教育臨調」・西澤潤一会長。髙橋史朗運営委員長)を設立。

産経新聞一面トップ記事(平成14年12月26日付)で大きく報じられた。 

・教育基本法の改正を論議する「教育理念」部会
・ゆとり教育の検証を行う「学校教育」部会
・家族・家庭の在り方を考える「家庭教育」部会
・教育委員会制度などの改革の検討を行う「教育制度」部会

以上4つの部会に分かれて、2年間審議を積み重ね、その成果として『なぜいま教育基本法改正か』(PHP)を出版した。


⚫︎教育基本法の欠陥ー戦後教育で見落とされた人間存在の本質

以下、前述した『なぜいま教育基本法改正か』の一節「教育基本法の欠陥ー戦後教育で見落とされた人間存在の本質」を引用する。


教育基本法の欠陥ー戦後教育で見落とされた人間存在の本質

戦後の精神的再建を大きく妨げたと思われるものの一つが、教育基本法めぐる政治的、イデオロギー的対立・抗争である。

教育基本法の制定過程は、同法が本来、日本の伝統的な徳目の継承を前提に制定されたものであることを教えている。

ところが、日教組や革新勢力は、教育基本法を、道徳教育や躾、歴史、伝統、愛国心などの教育を禁止するための砦として政治的、イデオロギー的に利用した。

教育基本法のどこを読んでも、伝統文化を尊重する心、愛国心、公共心を培ってはならないといえるくだりはなく、また、どう読んでもそう解釈はできないにもかかわらずである。

しかも、日教組や革新勢力の主張は、歴史的事実にも明らかに反していた。

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①歴史教育、②家庭教育、③道徳教育、④日本的Well-Being教育の観点から、研究の最新情報や、課…

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