WGIPの原点はアメリカの対日心理作戦
WGIPに関連する第一次史料に基づいて出版した拙著『検証 戦後教育』(廣池学園出版部)、『歴史の喪失』(総合法令出版)、『日本が二度と立ち上がれないようにアメリカが占領期に行ったこと』(致知出版社)、『「日本を解体する」戦争プロパガンダの現在一WGIPの源流を探る』(宝島社)、『WGIPと「歴史戦」』(モラロジー研究所)も参照していただきたいが、WGIP文書については、江藤淳・髙橋史朗・勝岡寛次・関野通夫・有馬哲夫らによって第一次史料が既に日本語に訳されており、文書の存在については論議の余地はない。
●米軍の対日心理戦の起源はラスウェルの『心理戦』
WGIPの原点がアメリカの対日心理作戦にあることも明白であるが、この対日心理作戦とWGIPの連続性をどのように捉えるかについては諸説があり、包括的研究が今後の課題である。
アメリカの対日「心理戦」の起源はアメリカの有名な政治学者のハロルド・ラスウェルの『世界大戦におけるプロパガンダ・テクニック』や『心理戦』にあった。
特に『心理戦』は、第二次世界大戦で実践された
(1)ホワイト・プロパガンダ(情報源を明らかにし、自らに都合のいい事実を宣伝する)
(2)ブラック・プロパガンダ(情報源を明らかにせず、大抵は虚偽の宣伝を行う)
を使い分けながら敵を「思想戦」で打ち負かし、その心を支配する「心理戦」の要点を説明したもので、陸軍、海軍、OWI(戦時情報局)、OSS(戦略諜報局)に心理戦担当部局が作られ、アメリカの研究者・専門家たちが大量に動員された。
有馬は、WGIPを単独のものとして捉えるのではなく、政治戦と心理戦との関係を重視して、「複合的に一体化したものと捉えるべき」と強調し、「そうしなければ、WGIPという1つの広報プランだけで日本人を洗脳したという馬鹿げた陰謀論にとらわれることになってしまいます」と述べているが、重要な視点といえよう。
●対日心理戦を担当した戦時情報局(OWI)と戦略諜報局(OSS)
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