続・教育基本法改正の成果を「活かす」という視点
昨日は、「教育基本法改正を『活かす』という視点」と題する投稿をした。
第4期教育振興基本計画に記された「不易」に関する記述と、教育基本法改正の経緯、そして『なぜいま教育基本法改正か』(PHP研究所)より「教育基本法の欠陥」の箇所を抜粋した次第である。
本日はその続きとして、同じく『なぜいま教育基本法改正か』の一節、「教育における『不易』と『流行』」を抜粋して紹介したい。
⚫︎教育における「不易」と「流行」
換言すれば、今求められている教育改革とは、「不易」と「流行」の両方を的確に押さえた教育の基本方針を確立することである。
そして、教育基本法の改正もまた、同法をめぐる過去の不毛な政治的、イデオロギー的な対立・抗争を克服し、教育に人間存在の基本原則(不易)を取り戻し、それとともに来るべき時代に対応する人材の育成に必要な教育の基本(流行)を定めるために、取り組まれるべきものなのである。
人間の生まれ育つ過程には、さまざまな社会環境の変化にもかかわらず時代を超えて普遍的に必要な、すなわち「不易」なるものが存在する。
歴史・伝統の尊重、道徳や公共心や愛国心の育成に対する配慮や尊重は、こうした人間の本質が歴史的・社会的存在にあるという事実への深い洞察に基づく「不易」なるものの尊重であって、決して懐古の情によるものではない。
先に述べた如く、人間が歴史的・社会的存在であることを見失ったところに戦後教育の大きな問題は潜んでいる。
歴史性や社会性の排除は、人間存在の本質にそもそも反するのである。
その意味で、教育基本法の改正にあたっては、人間存在の本質である「歴史性」「社会性」を考慮して、歴史・伝統の尊重や道徳、公共心、愛国心の育成に十分に配慮、尊重する必要がある。
それと同時に、教育は、「流行」なるもの、すなわち、社会環境や時代環境の変化に的確に対応するものでなくてもならない。
なぜなら教育には、来るべき時代を生き抜く能力と知恵を育むという、もう一つの重大な使命があるからである。
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