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生物学的性別(男女)を相対化して本当によいのか
昨日の投稿では、小学校教科書では「性の多様性」についてどのように記述されているのか。LGBT理解増進法の制定を経て、今春から使用されている教科書記述の実例を紹介した。
今回はその続きとして、中学校教科書の具体例を紹介した上で、教科書記述の問題点は何かについて明らかにしたい。
令和6年3月22日、文部科学省は検定に合格した中学校教科書(来春から使用予定)を公表した。
LGBTなど性的マイノリティ―に関する記述が目立ち、多様な家族をめぐる記述に対して、「学習指導要領が示す内容に照らして、扱いが不適切である」として、修正を求める「検定意見」が付いた。
保健体育では、「男女」という生物学的性別を相対化し、自認する性などと同列に説明している教科書もあり、専門家から誤解を与えかねないとの懸念の声が上がっている。東京書籍版は、「性の構成要素」として、体の性(生物学的な性)、心の性(性自認)、好きになる性(性的指向)、社会的な性(性表現)を同列に図示し、「それぞれが組み合わさって、私たちの『自分らしさ』となっています」と説明。
大修館書店版も、「人間の性は単純に『男性』と『女性』に分けられるものではありません」と記述し、東京書籍版と同じように性を前述した4つに等分した図を掲載。
技術・家庭科(家庭分野)でも、開隆堂出版版は、申請本に「男・女だけではない性」などの見出しで、多様性を象徴する虹をかたどった旗の写真を掲載するなど、紙幅を割いたが、「家族・家庭や地域との関わり」の学習が求められる部分だったため、検定で「扱いが不適切」との意見が付き、旗の写真や記述の一部を削除した。
●あらゆる教科に見られる性的マイノリティーに関する記述(中学校教科書)
中学校教科書申請本の性的マイノリティーに関する主な記述を列挙すると以下の通りである。
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