すいかの匂い
とぅるんッな一席。
じめっとした暑い日にゃぁ"とぅるんとした和菓子"が恋しくなる。
マジカルバナナ的に繋いでいくと、
とぅるんとした和菓子といったら「羊羹」。
「羊羹」といったら江國香織の小説。
江國香織の小説といったら「水の輪」。
学生時代に見たアー写が、怖すぎるからと避けてきた江國さんの小説。
そんなのもぶち壊すくらいに衝撃的におもしろかったのがこの「水の輪」というお話である。
夏が近づくと思い出す。
江國さんの水の輪。
そして、とぅるん。
こりゃこりゃ。もう私が食べたいだけのとぅるんの世界になってるなぁ。
やる気がある方はぜひ共に、とぅるんの世界へまいりましょう。
「あんこ」「本くず」「砂糖」「お水」をご用意くださいませ。
材料(5個分)
本くず 25g
水 100ml
グラニュー糖 スプーン2〜お好きな甘さ
餡子 100g(5等分する)
ラップ 5枚
作り方
1、餡子をコロコロ
市販のものをつかうなら味見をしてみて、甘いようならお塩を足してあげますと味が引き締まるのでおすすめです。
ゆるいようなら、少し火にかけ少し固めにしてあげるとよし。
2、BGMは、世界は二人のために
2/3くらいお水は残しておきましょう(のちに使います)。
本葛にお水を足してあげますと、ゆっくりじっくり愛を育み溶けてゆきます。二人にしか分からぬ、きゃっきゃうふふの世界でございましょう。
3、三角関係への懸念
葛とお水、二人だけの世界。なのに、ちょっと意地悪したくなっちゃうわたくし。この二人の中に、グラニュー糖をいれてみた。
(ドキドキ)
さてこのグラニュー糖、見事にスーッと馴染むのです。
調子にのるとうまく行かぬは人間のみならず、いれすぎちゃうと途端にバランスが崩壊するのでご注意あそばせ。
味見をしてほんのり甘いくらいがようございましょう。
4、ラブストーリーは突然に(ねるねるねーるね)
さて、調和のとれております彼ら(葛、水、グラニュー糖)を、弱火にかけてゆきます。
ここからは丁寧に「ねるねるねーるね」。
恋と同様、突然にやってまいりますは「粘り」。
あまり火を通しすぎますと固くなってしまうので、半透明になってきたなというタイミングで火からおろしてあげましょう。
5、お忘れ物はございませんか?
はじめに残しておきましたお水の存在。忘れておりませんでしょうか?
鍋の中に流し入れまして、鍋の端についた葛たちをゴムベラでうまくとってゆきます。
6、ラップでキュッ
まずは大きいスプーンをご用意いたしまして水に濡らしておきましょう。
ラップを切って、スプーン1杯分の葛を丁寧に広げて、丸めた餡子をポンとおき、キュッと茶巾包みに。広げる時は、餡子がはみ出ぬよう、丁寧に薄くのばしてあげるのがコツ。
7、透明肌とはまさにこのこと
おいしくなってねと、そんな気持ちを込めまして蒸し器の中に並べてまいります。だいたい8分くらいたちますと、あら素敵!
なんとも透き通ったお肌がこんにちは。
8、粗熱をとる
透明キラキラになったら蒸し器から取り出しまして、粗熱をとります。
9、食べる前に冷やすのが乙
キンキンに冷やすより、ひんやりくらいが美味しい葛饅頭。
食べる時間を逆算いたしまして、冷やしましょう。
10、ラップをとってとぅるん
あゝ、愛おしきとぅるんなあなた。
以上。
今日のツボ
・葛と水の世界を楽しみましょう(BGMは世界は二人のために)
・お水はちょろりと残す
・グラニュー糖は塩梅が大切だ
・粘りは突然に
・生地は薄く平らにのばしましょう
・ひんやりくらいが食べどきよ
葛饅頭をこさえながら、伯山先生の畔倉重四郎を拝聴しておりました。
久しぶりに聴きましたが、下ネタ言ってるラジヲおじさんじゃなかった。
感心しながら、とぅるんといただきました。
が、しかし、このお話19席ございます。
今は、13席目。
きっと終わる頃には、ぜ〜んぶとぅるんとお腹の中やろな。
お後がよろしいようで。
食べたいものをつくる人 高橋 拝。