91年間解かれなかった難問・バーゼル問題 大学数学①ド・モアブルの定理とバーゼル問題
バーゼル問題というのは、91年間の時を経てオイラーによって解かれた、平方数の逆総和は$${\frac{\pi^2}{6}}$$に収束するというものです。
発散するかしないかは、$${1+\frac{1}{2^2}+\frac{1}{3^2}+ ··· \frac{1}{n^2} < 1+\frac{1}{1\cdot2}+\frac{1}{2\cdot3} ··· +\frac{1}{(n-1)\cdot n}}$$
として、上から押さえつけてやります。$${\frac{1}{n^2} < \frac{1}{n(n-1)}}$$は分かりますよね。
この計算は部分分数分解によって簡単に求まります。
$${\frac{1}{1\cdot2}=1-\frac{1}{2}}$$ですよね。次は$${\frac{1}{2}-\frac{1}{3}}$$となり、最後の項は$${\frac{1}{n-1}-\frac{1}{n}}$$ですので、
途中は全て打ち消しあって$${2-\frac{1}{n}}$$となり、収束することが分かります。では具体的な値をどのように求めるか。まずは三角関数で挟み込む必要があります。$${k=1,2,3···n}$$に対して$${\theta_k=\frac{k\pi}{2n + 1}}$$とします。この範囲を考えると、$${k=1}$$の時に、nは十分大きいので0に近似できます。$${k=n}$$の時もnが十分に大きい時、$${2n+1\fallingdotseq2n}$$と近似され、約分して$${\frac{\pi}{2}}$$となります。
※近似しているだけで実際には具体的な値になる。
よって$${0<\theta_k<\frac{\pi}{2}}$$となります。
この時、三角関数の性質から、$${\sin \theta_k < \theta_k < \tan \theta_k}$$となります。想像して貰えばわかると思います。
各辺の逆数をとって二乗すると、$${\frac{1}{\tan^2 \theta_k} < \frac{(2n+1)^2}{k^2 \pi^2} < \frac{1}{\sin^2 \theta_k}}$$
そしてkにおける平方数の逆数を作ると、
$${\frac{\pi^2}{(2n+1)^2 \tan^2 \theta_k} < \frac{1}{k^2} < \frac{\pi^2}{(2n+1)^2}(1+\frac{1}{\tan^2 \theta_k})}$$となります。
これを変形してシグマにかけてやると
$${\frac{\pi^2}{(2+\frac{1}{n})^2n^2} \sum_{k=1}^n \frac{1}{\tan^2 \theta_k} < \sum_{k=1}^n \frac{1}{k^2} < \frac{\pi^2}{(2+\frac{1}{n})^2} (\frac{1}{n}+\frac{1}{n^2}\sum_{k=1}^n \frac{1}{\tan^2 \theta_k})}$$
よって$${\lim_{n \to \infty}\frac{1}{n^2}\sum_{k=1}^n \frac{1}{\tan^2 \theta_k}=\frac{2}{3}}$$
を証明すれば、$${\frac{\pi^2}{2^2}\frac{2}{3}=\frac{\pi^2}{6}}$$だと分かります。
※nは非常に大きい数であるため、分母に来る場合は0と近似する。
そしたらばその証明をするのですが、ここまでTexで書いてきたのですがもう無理なので写真を載せます。
というわけで証明終了です。
n次多項式の解と係数の関係については説明を省きましたが、こちらで補強してください。https://manabitimes.jp/math/1051#3
まとめ
難しかったのは複素数zからz'の虚部を$${tan^2}$$を利用して表す時の変形と、二項定理による展開後の虚部の処理です。あとはn次方程式の解と係数の関係でしょうか。2次や3次、4次までは扱う機会がありましたが、それをn次として一般化したこともなく、みたこともなかったので大変学びになりました。
本シリーズは現在進行中のプロジェクトです。これがまとめのサイトになっておりますので、確認していただけると嬉しく思います。
https://note.com/takahashi_tech/n/n200e318cb55a
第一版 2024.7.1
第二版 2024.7.2