恋人の条件
先週末、デジタルカメラを片手に植物園へと出掛けた。
出発は朝9時半。
植物園までは、さほど遠くはないのだが、
ドライブ途中ですでにお腹がすいてしまった。
「ねぇ、あたし、お腹すいたよー!コンビニで車を停めてよォ」
パートナーであるKさんは道中でセブンイレブンを見つけると
私にスナック菓子とおにぎり2個を買って来てくれた。
彼は「まるで遠足だな」というようなことを言って笑っていた。
買ってもらったおにぎりを、私は大きなクチを開けて頬張る。
目的地へと再び車は走る(運転手はもちろんKさんだ)
チューリップ・フェアを開催しているというのでメインはそれが目的だったが、
そのほかにも水仙が美しく、中でも"ウエディング・ベル"というロマンティックな名のついた品種の水仙に惹かれた。
"ウエディング・ベル"が敷き詰められた一帯は、さながら、まるで、ふたりのウェディング・ロードね、と
年甲斐もなく「うふふ」な気分になった。
いろんなお花やハーブたちと出逢って、
この日の植物園の見どころの最後は
"ネモフィラ"
長い歳月、カメラは手にしていたなかったので、まだまだ不慣れな写真撮影。
それでも、とても嬉しく楽しい植物園でのひととき。
帰りは喫茶店によってもらう。
そのお店は、野菜たっぷりが自慢のカレーが目玉だ。
私と彼はカレーとデザートと紅茶を注文して
パクパクとたいらげた。
ここでふと、私は笑いだしそうになってしまった。
……というのも「あたしって、こんなだっけ?」と
食事を食べている自分に気づいたから。
「そういえば、行きの車でも、駄々をこねてコンビニおにぎりを食べたっけ」
じつは私は幼少期から少女期、青年期とずっと
"食べる"という行為が得意ではなかった。
ゆえに少食きわまりなく、子供時代の給食などは、学校生活で一番にイヤな時間であった。大人になっても少食は変わりなく、やがて摂食障害(拒食症)で入院する、といった有様だった。
なので、男性とお付き合いをしても、デートでは相手の人との食事タイムが
もっとも苦痛であった。運ばれてきたものにも、少ししかクチにつけないので相手からは「気取っている」と言われることもしばしばだった。
ところが、だ。
現在のパートナーのKさんといる私はじつによく食べる。
拒食症だった昔が嘘のようにモリモリ・パクパク。
(たぶん、Kさんは私が拒食症だったというのを信じないかもしれない)
私が交際相手や結婚相手に求めることは
『一緒に居て、自然体でいられること』=『食事で気を遣わないこと』
植物園に行けたのも嬉しい出来事ではあったが、Kさんと美味しく食事している自分の姿に気づいて、可笑しくなってしまった。
恋人(結婚相手)に求める唯一の絶対条件を、Kさんは知らず知らずのうちに
見事にクリアしていることや、彼とも長くなったが、そのことに気づかずにいた自分が、なんだかとても可笑しかったのだ。
"恋人の条件"
『食事をたべるとき気を遣わずにいれること』
クリアしてくれた彼と、これからも暮らしてゆく。
【写真は、植物園で撮った一部】