【往相図】Software Slitscanの可能性を探る
概要
自分の写真家としてのステートメントとして、「時間の流れを写す」「時間の流れを可視化する」ことが挙げられます。
一般的に、写真で時間の流れを写す、となると、長時間露光や定点観測、同一人物の複数回撮影だったり、BOOKや展示物で組や流れを見せることが一般的です。
しかしながら、やはり一枚の写真に時間の流れを写したい。それを実現すべく思い立ったのが、Slitscanでした。
スリットスキャンには幾つか手法があるのですが、とりわけスキャナカメラや、動画からのスリットスキャンが非常に有名です(というより、スリットスキャンそのものが動画が元ネタです)。また、それ以外にもシャッターを自作するといった方法もあったりします。
いずれにせよ、かなり特殊な手法であることは間違いないのです・・・が、意外にもiPhoneのパノラマ撮影でも同じようなことが可能ですし、なんならiPhoneアプリでスリットスキャンが可能なものもあります。
どの方法も一長一短あるのですが、共通していえることとして、【超長時間のスリットスキャンには向いていない】というデメリットが存在します。これらの手法は、短ければ10秒程度、長くても3分程度しかスリットスキャンできません。動画であれば長時間行うことも不可能ではないのですが、容量が天文学的な値になるために現実的ではありません。
そこで考えたのが、定点で撮影した複数枚の写真を、まとめてスリットスキャン化して合成すれば良いのではないかと思いついたのです。これによって作成したものを、私が今まで作っていたスキャナカメラがHardwareアプローチだったこともあり、Software Slitscanとしています。今回は、そんなSoftware Slitscanの作品について解説します。
動画
言葉で書くより、動画で見たほうが早いと思われます。以前、御苗場というイベントで展示したのですが、プロセスが文章ではわかりにくかったので動画化しました。調子に乗って英語で作りましたが、スペルミスについては随時御連絡いただきたく思います(本当に苦手)。
作品
作品は、主に【往相図】と呼ばれるシリーズになります。
端的に述べますと、美しい花が枯れ行く姿を一枚に残すシリーズです。
その他作品とステートメントはホームページにアップしています。もし興味あれば御覧下さい。
ソースコード
これもなかなかに恥ずかしいのですが、初めてpython使って書いたプログラムです。ご興味あれば是非。基本的に、ディレクトリに0.jpgから順番の数字で並べた写真を、スリットスキャンするようにしています。こちらも、もっと良い方法ないか模索中。
from PIL import Image
from natsort import natsorted
import os
images = os.listdir("ディレクトリ")
images = natsorted(images)
im = Image.open("0.JPG")
rgb_im = im.convert('RGB')
size = rgb_im.size
im2 = Image.new('RGBA',size)
x = "横のピクセル数"
for i in images:
if i.find('.JPG') > 0:
img = Image.open(i)
print i
for y in range(size[1]):
r,g,b = img.getpixel((x,y))
im2.putpixel((x,y),(r,g,b,0))
x = x - 1
else: continue
im2.show()
im2.save('slitresults.JPG')
おわりに
スリットスキャンプロセスは、世界中探しても殆ど使い手がいない状態です。定点撮影、またはCMOSのローリングシャッター現象の延長線上として、写真としての可能性を十分に残した撮影手法と考えているので、今後も私自身続けていきたいですし、皆さんにも興味を持っていただければ幸いです。