不思議の国、ジャパン(22) (パウロ・ボケ)
不思議の国、ジャパン(22) (パウロ・ボケ)
私の通ったローガン中学校には生徒による先生の人気投票がありました。生徒総会の時に全生徒、全教師の前で公表するので「生徒に一番人気の先生」「一番人気がない先生」は誰でも知っているわけです。
日本でも予備校や塾の一部では同じ「生徒による講師の人気投票」が行われているようです。人気投票を行わなくても、生徒が受講するクラスを決定できるシステムになっている塾も多いようです。ですから、人気のない講師は生徒が誰も出席しなくなり自然に解雇される。
そういう淘汰が無いと組織が腐るので「公正取引委員会」があるわけですよね。最近、テレビで「競争の番人」というドラマをやっていました。談合ばかりで競争が無くなると組織が腐る。ドンが利権をほしいままにする。
学校では、生徒が心の中で「このクソ教師が!」と思いながら「おはようございます」とニコニコ挨拶を強要されています。ここに、日本独特の「本音と建て前」文化の萌芽が見られます。
これって、私たちアメリカ人には異常な状態に見えます。日本人はみんな嘘つきに見えたりします。
「嫌い」なら「嫌い」と言ってはいけないのでしょうか?人間は気の合う人の方が少ないのが普通でしょう?親友なんて1000人に会っても、1人の割合ではないですか?「みんな仲良く」なんて偽善では?
ウソを土台にした学校生活なんて、ロクなもんじゃない。
表現の自由があるのだから、本当のことを口にしてもいい。現実をありのまま受け入れて、改善の方法を考えないと前に進めません。日本の社会は、あるものを無いもののようにする。見て、見ないフリをする。そして、形式だけ整える。中身がない。
これは、不幸なことですよ。嫌いなトマトを無理やり口に押し込まれて、
「好きなフリをしろ!」
というのが、日本の学校で行われている“教育”です。
そんなことをするから、不登校や引きこもりが起こる。フラストレーションがたまってイジメが起こる。自殺者がでる。何もかもオープンにすれば、そんな犠牲者は減りますよ。
岸田文雄首相は7日の参院本会議で、長男の翔太郎氏を首相秘書官に起用した理由について、「休日・深夜を問わず発生する危機管理の迅速かつきめ細かい報告態勢、党との緊密な連携、ネット情報・SNS(ネット交流サービス)発信への対応など、諸要素を勘案し秘書官チームの即応力の観点から総合的に判断した」と説明した。
本来なら、熾烈な競争を勝ち抜いた有能な人がリーダーになってほしい。しかし、日本はトップである首相からして「身内」を起用する。競争原理などない。ただの世襲。切磋琢磨が機能しない社会は腐敗が進み、必ずどこかで犠牲者が出るものです。
解雇され、途方に暮れる屈辱が人を強くする。敗北が次の勝利への工夫を生む。資本主義は、そういう信念で生きること。でも、日本は本当の意味で資本主義の国ではないように感じます。
本当に不思議な国です。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?