【連載】川崎老人ホーム高齢者連続転落事件今井隼人被告が語る“介護の闇”外伝 #02
【事件概要】
2014年11から12月、川崎市の有料老人ホーム「Sアミーユ川崎幸町」で、80から90代の入所者3人が、4階と6階のベランダから相次いで転落死した。事件があったすべての日に夜勤に就いていたのは、同施設の介護職員だった今井隼人被告ただひとりだったこと、そして「3人をベランダから投げ落とした」との自供により、2016年2月、神奈川県警は今井被告を殺人の容疑で逮捕。
一転、今井被告は裁判では自供を覆し無罪を訴えた。だが、一審、二審で死刑判決を受け、現在は最高裁に上告中である。
※本稿は、今井被告から届いた手紙を文字に起こしたものです。なるべく原文ママでの掲載になりますが、一部、事実関係が損なわれない程度にこちらで修正させていただきました
※また本稿は、先に公開した『川崎老人ホーム高齢者連続転落事件・今井隼人被告が語る“介護の闇”#2』の補足として書かれたものです
【東京拘置所に勤務している男性刑務官についての言動について】
2022年6月2日(木)、午後2時頃になりますが、私が現在も収容されている東京拘置所(内)収容棟の居室担当の補助刑務官(40代男性、階級は看守部長)1名がいるのですが、その方から以下のような発言が私自身に対してあったのです。
罵声を浴びせられながら
「おまえ〜」「今井、聞けよ!」「ああ! 聞こえねえんだよ! もっと大きな声で言えよ!」「お前が約束したんだろうが! 約束は守れよ!」「オレが言ったことっていうのは施設の回答と同じなんだよ! なあ! いい加減なことばっかりしてるともう教示(※被収容者が施設側に対して何らかの回答を求めるもの)できなくなるからな!」
等と、私は特段なにも言い返したりしていないのに、同看守(刑務官)は勝手にヒートアップしていました。このようなことがあったのです。
ここで整理すると、まず、同刑務官の言動は刑事施設といえども弱者である被収容者に対して言うことを聞くのが当たり前のごとく接して、対応しているから不適である。基本的人権すらないのか疑念を覚えるのです。
施設の秩序維持の為にいる刑務官がそれと齟齬するよな言動をとっているのは、刑務官として適切と言えるでしょうか…。甚だ疑問なのです。
同刑務官は、逆に被収容者を煽って、被収容者の心情を乱して悪化させて、場合によっては調査、懲罰にする。私の場合、いまのところ調査、懲罰は一度もないものの。特に同刑務官の場合は、それがやりたい放題になっている。
そこが問題だと思うし、こうした経験をする人は私で終わりにしてもらいたい。だからここまで、あえてつっこんで書いたんです。
そして、ある種、いまの私の状況を当時の介護施設に(あえてですけども…)投影すると、似ていると思うんです。つまり、介助者(介護職員)は、基本的には言いたい放題、やりたい放題なわけです。入居者というのは一応、言葉上ではサービスを受ける側ということになっていますけども、そういった感じではなかった…。ある種、職員にはあまり逆らえなかったと思うんです。
ただ、ここで誤解してほしくないのは、抵抗する方もいたということです。全てが全てこちらの言いなりというのは常識的に考えてもらってもオカシイと思ってもらえると思います。
要するに、かなり言葉は悪くなりますが、定められた時間になったら、ある程度、居室から介護職員に介助されて出る。終わったら基本的にには居室に戻る。これだけなのです。そして、これは基本的には要介護度が高くなればなるほどそうなる傾向にある。
要するに、かなり言葉は悪くなりますが、定められた時間になったら、ある程度、居室から介護職員に介助されて出る。終わったら基本的にには居室に戻る。これだけなのです。そして、これは基本的には要介護度が高くなればなるほどそうなる傾向にある。
なので、いまの自分の状況になってわかったこと、感じたことですが、これは入居者の方は辛くて、孤独だっただろうなと…。そこに、果たして十分に寄り添っていたのかと自問自答してみると、そこまでは正直できていなかったなと…。反省する部分は、いま振り返って見ても多々あります。
なので、お互い初めて当事者となってみて、わかることや感じることがあるのは、当時の介護の現場と似ているなと思うんですよね…。
といったところで、補足的な部分についても終わりたいと思います。
今後もよろしくお願い致します。
令和4年 6月28日 (火)
東京拘置所(内)
今井 隼人(イマイ ハヤト)
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