からメシ 第169話 夜の散歩

さて、高木さんと俺の大会は終わった訳だが、そもそも学校側が宿泊施設を手配したのは抽選会より前で、どこまで勝ち進むかどころか
1回戦が何日目になるのかまで不透明だった
ので、
とりあえず1回戦4日目の夜まで宿泊予約をしていたみたいだ。で、なんやかんやあって宿泊施設に戻ってきたのは夕方。

そんなこんなでこの日は宿泊施設の食堂で夕食を食べた。

その後

「西片、せっかくだからこの近所散歩してみようよ」

「いいけど...」

「やった❤」

まあまだ夕食食べ終わって7時過ぎ、そんなおそくならなきゃいっか。

そんなこんなで隣の大きな公園にやってきた。
栗林公園よりでかい感じの公園で代々木公園という所らしい

ランニングしてる人とか、ベンチに座ってイチャついてる人とか色んな人がいる。そんなところを高木さんと手を繋ぎながら歩く。

「ね、西片。おもったより結構木とか多いんだね。あっちの方とかちょっとした森みたいになってるよ?」

「ほんとだ」

「行ってみよっか。」

手を繋ぎながら歩く

すると茂みの方からなんかうめき声みたいなのが聞こえる。
何だこの声

『あっ...ダメっ...こんなところでっ』

えっ...

声の方を見ると木陰で男女が身体をまさぐりあい。

ええええっ///暗いし服着てるからよくわからないけど
あ、あれ多分や、ヤッてるよ///
さすが東京。

ふと高木さんの方を見ると顔を背け赤くなってる。
よし、からかってやろ

「高木さん、恥ずかしいのかい?」

「うん。///だってさ、西片とここでしちゃう事考えちゃったからさ」

「なっ///」

「あはははは。顔真っ赤だよ。西片。どうする?私たちも茂みに行ってしてみる?こ・こ・で❤」

「しないよっ!///」

「あははははは。自分からからかっといてこれなんだもんなあ西片は。ほんと昔からカウンター攻撃弱いね。そうだねー。私もここでするのは嫌だな」

「恥ずかしいし!...それになにより高木さんとそういうことしてるのとか、高木さんのそういう姿、他の人に絶対見られたくないし!///」

「ありがと。西片。私も同じ気持ちだよ。西片には全部、なんでも見られてもいいけど、他の人なんかには絶対見られたくない、死んでも見せないもん……だから。島帰ったら家でね。」

「...///」

「顔真っ赤だよ。赤ドラかと思っちゃったや」

「赤くないよ!ていうかなんだよその例え///」

「あ、西片、あれなんだろ?小さな透明な建物?みたいなのがある。行ってみよっか」

「ち、ちょっと待ってよ高木さん!」

駆け足の高木さんを追いかける
俺も高木さんも東京初めてだし、なんだかんだはしゃいじゃってんのかな、
こういうちょっと子供っぽいところも俺の前だけ、見せてくれる。そういうところもかわいい。

いつまでたってもかわいいな。高木さんは。

「なんと、トイレでしたー。」

「と、と、トイレがスケスケで丸見えって何考えてんだよっ///これ作った人はっ///」

東京の、都会の人の考えることは分からない。

「あ、でも鍵かけると不透明になるんだって。面白いね。西片入って用足してみてよ。私覗いてほんとに見えないのか確認するから」

「やだよっ///だいたいなんで俺が...」

「えー。西片は私がやった方がいいの?もし鍵かけて不透明にならなかったり、うっすら見えちゃってたら、通行人に見られちゃうけど?」

「ダメっ!それはダメっ!絶対!///」

「そうだよね~。私も絶対嫌だな~。西片にならおしっこ出る所をまじまじと見られてもいいんだけどさ、
他の人とかトイレに入るとこすら見られたくないや。」

「いや、お、俺もそんなことしてるとこ見ないからっ///」

「という訳で西片よろしく~。」

「は、恥ずかしいからっ///」

「別に入って鍵閉めてみて不透明になるかどうか確認するだけでいいよ~。用足さなくてもさ。西片も恥ずかしいだろうしね。私がさんざんからかったから大きくなってるかもしれないし」

「なってない!断じてなってないっ///」

「あれ?どの部分か言ってないのに通じちゃうんだね。えっちなんだからもう。」

「違うからっ!入るよ!」

トイレに入って鍵を閉める。

「おおっ!」

と、高木さんの声がする。

たしかに不透明にはなったけど
なんというかスモークみたいな感じで
心もとないというか

用足さずに鍵を開けて出る

「どんな感じだった?」

「うーん。ぼんやーりシルエットがあって誰か入ってるっていうのはわかったかな」

「透けてんじゃんそれっ!///」

「あはははは。入んなくてよかったや。私」

「...そうかもね。...そろそろ帰ろっか」

「そうだねー。こんどはこっちの森の方通ろうよ」

「高木さん!さっきみたいに誘惑するの話だからね!///」

「しないよそんなことー。ほら、西片。虫の声が聴こえるよ」

そう、夏でも結構虫は鳴くのだ

「こうやって、大好きな人と夜にさ。手、繋ぎながら虫の声を聞く。って、幸せだよね。」

「うん。」

「好きな人と一緒に聞いてるから、幸せを感じるんだろうなあ。」

「そうかもね。」

「知ってる?西片。虫の声って求愛の声なんだよ?」

「たしか雄と雌がいっしょになるために出してる音なんだたっけ?」

「そうだよ。だから私も求愛しよ~」

すると高木さんは俺の肩にもたれかかって顔をすりすりしてくる

「鳴き声じゃないんだね」

「鳴き声つきのがいい?じゃあやってみるよ」
「好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き西~片ぁ~」

「なっ、なんなんだよその鳴き声っ///」

「求愛なんだからピッタリじゃない?それとも具体的に何したいか言った方がよかった?」

「...それって///」

「虫は鳴き声で求愛して最終的にね、交尾するんだよ?」

「誘惑しないって言ったじゃん!///」

「そうだけどさー。ほら、あそこにいるカブトムシも交尾してるよ?私たちもさ。」

「しませんっ!///こんな所でっ///」

「あははははは。冗談だよー。でも西片。カブトムシいるんだね。東京にも」

「そうだね。クワガタもさがしてみよっか」

「うん。...ていうか島帰ったら虫取りしてみてもおもしろそうだね。...でも勉強しないとなあ」

「一日くらいいいんじゃない?いっしょにやろっか。あ、あれコクワガタかな?」

高木さんが木に止まってるクワガタにそっと近づき、さっと捕まえた

「西片、クワガタ鼻に挟んでみてよ。」

「やらないよそんなこと!」

「あははははは。冗談冗談」

そういうと高木さんはクワガタを元の木の幹にもどした。

高木さん、ほんと怖いもの無しだな。

「それは違うよ。西片。私にも凄く怖いことが1つだけあったよ」

また心を読んだ!

「...なに?」

「西片がいなくなっちゃうこと。西片と一緒にいられないこと。これが私が死ぬより怖い事なんだ。」

「……だったらやっぱり高木さんは怖いもの無しだよ。だって絶対俺は高木さんから離れたりしないしいなくならないから。何があっても」

「うん。知ってるよ。だから今は怖いものなんてないよ。…私も絶対西片と一生一緒にいるね。…いや、一生一緒じゃまだ足りないか。たとえ何度生まれ変わっても西片とずっと一緒だよ」

「うん。」

高木さんが立ち止まって目をつぶる
いま周りに誰もいないし、キスだったらいっか

ちゅっ
高木さんを抱きしめてキスをした

「ありがと。大好き。西片」

「俺も…大好きだよ。高木さん」

「…大好きな人に大好きって言って、大好きな人に大好きって言って貰えて、こんな幸せなことないよ。西片。大好き」

しばらく高木さんを抱きしめていた

「そろそろ戻ろっか。高木さん」

「うん。…明日東京観光も兼ねてデートしようよ。西片」

「いいねそれ。高木さん、どこ行きたい?」

「私は西片と一緒ならどこでもいいよー。西片はどこ行きたい?」

「気持ちはわかるけどさ、それ決まんないやつだから!俺も東京とか詳しくないしさ」

「そうだよね~。どうしよっかな。…あ、そうしたら私、東京タワー行ってみたい」

「いいね。行ってみよっか。でも、高木さん。スカイツリーじゃないんだね」

「うん。東京タワーのがかわいい感じするし」

「そうかな?」

「うん。私はそんな気がするな。」

「そっか、じゃあ東京タワー行こうか。その後はどうする?」

「うーん。どうしようか。行ってから考えよっか。西片と一緒ならどこでも楽しいしさ。」

「…///。そうだね。じゃあ明日もよろしく」

「うん。」

東京に宿泊するのは明日まで
明後日朝に東京出て俺たちは小豆島に帰るから
明日は思う存分東京観光しよう

第169話 完

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