からメシ 第150話 Futuristic Player

※※※この回は後にまとめて何回かやる高木-takagi-の前日譚となります。このシリーズはシノハユ the dawn of ageとのクロスオーバーとなりかなりシノハユのキャラがでます(この回には地味にゆゆゆネタも入ってます)
また作中の牌表示で索子は1~9、萬子は一~九、筒子は①~⑨で字牌は東南西北白撥中、赤ドラは赤に5、五、⑤をつけ赤⑤って感じで表現します。

「西片、突然なんだけどさ。今週土曜に試合観戦行かない?」

「え、…いいけど何の?」

「麻雀。」

「え、なんで唐突に麻雀?」

「…すみれちゃんが一年の文化祭の時に麻雀部の出し物で対局したらハマっちゃったみたいで、そっから入部したんだよ。でね」
「うちの高校、例年、部員すらままならない団体戦出場できるかどうかの弱小校だったんだけど、今年は決勝まで行ったんだって。もし優勝したら高校だけじゃなく中学以下含めこの島の学校では初なんだって」

「そうなんだ!凄いねそれは」

「入退場自由の無料招待券貰っちゃったからさ。2枚。すみれちゃんの出る大将戦だけでも見に行かない?…西片あんまり接点ないから退屈かもしれないけど。……これも一応デートになるかなって思うし」

「うん。行こうか。ってか鷹川さん大将なの?」

「そうらしいよ。先鋒と大将は大抵どこでもエースポジションらしいから、凄いよね。」

そっか。それはなかなかすごいな。
鷹川さんっていったら、高木さんの一番の友達だからな。
高校はいってクラスは1度一緒にならなかったけど、わざわざ招待してくれるくらい仲が良いのか

「西片、勘違いしてるけど、私の一番の友達は西片だよ。」

また俺の心を読ん…って友達!?

「西片はね。一番の友達であり、私がただ一人愛してる人であり、恋人であり、生涯を共にする人であり、私の旦那様だよ。全部西片が一番。」

「……て、照れるから……///」

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という訳でなんだかんだ始発のフェリーに乗り、高松城にあるホールに向かう

対局は防音設備の施された部屋で行われ、カメラ中継で大ホールで中継するシステム。もちろんこっちの声援とか実況はその部屋には聞こえない(聞こえたら不正の温床になってしまう)

早速、出場校紹介が始まる

実況「去年一昨年の讃岐王者、三連覇なるか!?伝統校かつ強豪校。神樹館附属高等学校!秋の四国大会ではあの四国最強の大生院女子を倒して春の選抜にも出場しています。」

高木さん「ここ本当なんでも部活強いんだね。」

実況「こちらも香川の強豪校。三年ぶりの出場なるか!琴南高等学校!香川王者の称号を取り戻せるか。」

実況「続きまして、讃州高等学校。最近は決勝での敗退が続きましたが、10年振りの出場なるか。」

実況「最後に小豆島総合高等学校。部員不足で団体戦に顔を見せない年もありましたがここ三年は毎年エントリー、全国大会はもとより夏の県決勝が初のニューフェイス。」

そんなこんなで先鋒戦が始まった。
持ち点はチームで100000点で、それぞれの試合終了時の点数を次の選手に引き継いでいく。大将戦終了時または点数が0点未満になったら

明らかにうちの高校だけ、他と毛色が違うのが分かる。麻雀は詳しくないが、実況聞いただけでも力の差は歴然な気がする。

ところが…

ツモ。2000・3900!あとリーチ棒な。

実況「おーっと、小豆島総合の六車選手、いきなり7900の和了り!リーチツモタンヤオドラ!ちなみに先鋒戦、小豆島総合の部長、六車選手は日本代表の六車翠の従妹とのこと」

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六車(今頃実況で日本代表…お姉ちゃんの従妹とか言われてんのやろな。でも私は残念ながらお姉ちゃんみたく特別な力はあらへん。せやけど凡人には凡人なりの戦い方ちゅうもんがある)
(徹底的に効率を重視した和了り、特別な力を持った人間を考慮した上での徹底的なデータ分析、それでやっと部員ギリギリの部でもここまで辿り着けたんや)

六車「ロン。リーチ平和タンヤオドラで11600!1本場!あとリー棒2本な。」

六車「ポン!」 「ポン!」「チー!」「チー!」
東東東 白白白 一二三 七八九

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実況「おーっと神樹館の三ノ輪選手!大車輪テンパイ!このルールで大車輪は役満ではありませんがこの局のドラは⑦!メンチンタンピン二盃口の11翻にドラ2乗るので和了れば役満です」

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六車(データ通りこの捨牌。神樹館の三ノ輪は配牌に筒子が1枚も無い場合、大車輪の有効牌を引き続ける。この局大車輪来とるな。…特別な力あるやつはそれに頼りすぎるんや。弱点も顕著なことが多い。それを狙い打つ。…役満の誘惑には勝てんやろなかなか)

三ノ輪(六車さんは鳴きや捨牌からして染め手。当たればでかいけど筒子は安全なはず。特に①は河に早々2枚出てるから、①待ちなら地獄単騎確定。他家は降り気味。出来ても安役。可能性は低いだろー。和了れば役満。ここは押せ押せしかない!)

六車「ロン!ダブ東白チャンタ、1本場で11900!」

三ノ輪「染めてないの!?しかも地獄単騎!?」

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実況「おーっと、小豆島総合なんと連続和了で134400点!逆に神樹館が82200点で最下位に沈んだー!」

高木さん「凄いね!西片。優勝しちゃうんじゃない?」

西片「そうかもね。ただルールが難しそう。」

高木さん「それに西片と二人でできないからなー。やることはなさそう」

西片「たしかに二人きりでできないのはネックだよね。」

高木さん「もしやるとしたら、西の牌集めちゃうだろうなー。戦術的には得策じゃないのかもしれないけど。捨てたくないもん」

西片「…それって……」

高木さん「西片の西、だからだよ。あと2と4もセットで来たら捨てたくないなあ。西片のにし、だからね。……こんなんだから私やっても向いてないと思う」

高木さんはこんなとこまでこだわるくらい俺のこと好きなんだな。本当に高木さんに愛されてるなと実感した。

先鋒戦が終わる。
結局少し捲られたがうちの小豆島総合高校は123500点でトップ通過、2位の神樹館に17600点差をつける。

うちの高校は次鋒戦は1年生らしい。
ちょっと早いが高木さんと高松城のレストランで昼食にする。

高木さんはエビピラフセット。俺は塩麹のチキンカツセットを頼んだ。

「西片、西片。あのさ。」

「替えっこ。だよね。わかってるよ」

「うん。」

「西片の塩麹のチキンカツ、柔らかくて美味しい♪」

「高木さんのエビピラフも美味い!エビがプリっとしてて」

高木さんとご飯を食べると、わけっこをするから、ふたつの料理が食べられて倍美味しい
そして、高木さんとご飯を食べてると2乗分おいしい。

つまり2倍の2乗美味しく感じる。

食べ終わったあと、少し高松城を見学したりする。

「でも面白いね。お城の中で部活の大会やるなんてさ」

「うん。今どうなってるんだろう。」

帰ってくると次鋒戦がおわっていて
2位に転落していた。

その後もうちの高校は、どんどん失点していく

大将戦前、控え室からすみれちゃんが出てくる。

高木さん「すみれちゃん、頑張って」

すみれ「うん。…絶対全国行く!」

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ところが……

実況「開幕一閃!神樹館、鷲尾選手の国士無双ツモ炸裂!154700点、2位、讃州高校との差は62100点です!これは絶望的かー。」

すみれ(部長…六車さんが言ってた通りだけど止められなかった。鷲尾さんの配牌、4~6局に一度、么九牌が1枚もない配牌が来て、そこから14連続で国士無双の有効牌を引き続ける。
つまり13巡で必ず国士聴牌。名付けて国死の13階段や!とか言ってたっけ。安手で流そうと思ったけど……みんな引きが悪いと14巡でも間に合わなかったりする。これで神樹館がダントツトップだからみな高い手狙ってくるだろうし……うちは最下位で78400点差。)

すみれ(絶望的とか言われてるんだろうな...でも)

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一年の文化祭の時

高木ちゃんは西片君と文化祭廻ってるから邪魔できないし…なんか面白い出し物ないかなー。

と回っていたら
麻雀?

ルール難しそうだけど。
結構時間潰せるかなって思って。

麻雀部の方も打つ人がいなくて困ってるみたいで、親切に教えて貰えた。

で、一度対戦してみたら

すみれ「えっと、ツモ、で、清一色ですか?これ。あ、撥があるから混一色?」

六車「ちょ、それ緑一色やん」

当時の部長「役満!?ほとんど出ない役よ!?」

結果的に1位、なんか役満とかいう凄い技を決めてしまったらしい。素人なのに、勝ってしまった。嬉しい。
でもそっからのめり込んでしまった。

入ってみると結構ガチな部活だった
実質当時一年生の六車さんが部長みたいなもので
ルールや点数計算を徹底的に仕込まれ
効率のいい打ち方を学ぶ。それも人によって変える。
世の中には特別な力を持つ人がいるらしく
そういう人が、対戦相手やチーム内にいるのも考慮して戦略を練る。
統計学まで学ぶとはおもわなかった。(ちなみに六車さんが入学と同時に麻雀部に入ってから麻雀部員は数学の成績が非常にいい。これはおそらく確率論と統計学をガチガチに勉強するからだと思う)

こうして、対戦相手の牌譜から気になった要素をカイ二乗検定とかいうので、特別な力を持っている打ち手かどうかを判定し
そういう打ち手には弱点を徹底的につく打ち方をする。普通の打ち手には徹底的に確率論と牌効率を重視した打ち方をする。
そして新入部員に特別な力を持った人がいたら、その人にはその人が一番力を発揮できる打ち方をしてもらう。(結局そんな人はうちの学校には現れなかったが)

そういうスタンスで
団体戦出場すら部員不足で出たりでなかったりの出ると負けの超弱小校だったらしいうちの麻雀部は
私の入部前の夏大会では1回戦敗退ながらも1回戦2位、私が2年の時の夏大会では準決勝進出(といっても香川では準決勝=2回戦だが)で準決勝は3位敗退。

2年次では個人戦でも六車さんが11位、私が29位と好成績を出した
(ただし個人戦の出場枠は各都道府県3位までなので全国には行けない)

そして今年。
聞いたら部長は中三の時、島外の、神樹館や琴南みたいな強豪校に行く選択肢もあったけど、生まれ育った小豆島から、全国大会に出たくてこの高校を選んだらしい。

私もこの島が好きだ。だから、この学校で全国出たい!今年が最後なんだ!

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前半戦が終わり、後半戦

何とか食らいつき。国士は2回防いだ。
そう。神樹館の鷲尾さんの弱点はこの国士無双の能力自体にある。

么九牌をしかもほとんど別種で(1つは雀頭として被るが)引き続けるということはつまり
ほぼ、その局は国士無双でしか和了れない。ということになる。
一応国士の雀頭になる么九牌がすでにあればそれをポンするか雀頭にして、それぞれの19牌をチーしまくればチャンタで和了れないことはないが
打点が低い上に不要牌も多すぎ、また県決勝になればそんな見え見えのチャンタに振り込むやつなんていない。リーチかけてれば別だが。
早いうちから始動しないとならず、鳴きまくる時点で警戒される
多分それは14巡で確実に拾える国士より遠いから使ってこないだろう

さらに言えば、この力が発動してる局ではこちらは使いにくい么九牌を引く確率が少なくとも14巡目までは75%以下になるし、么九牌は少なくとも13巡目までは鷲尾さんに対しては安牌となる。
それに国士にしろ苦し紛れのチャンタにしろまず使い物にならない4・5・6の牌はそうそうに切ってくる。
しかも私は鷲尾さんの下家。それを鳴けば速攻できる。かもしれない。

要するに国士狙い状態の鷲尾さんの捨牌は読みやすいのだ。
真ん中から切って次第に2とか8とか切ってくる感じ。だから456当たりをいきなり切ったら要注意だ。

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その後試合は進み

実況「さて、ついに大将戦もこの局でオーラスです!トップは依然として神樹館で138200点。あの鷲尾選手、国士無双からジリジリ点数を減らしましたが2位の琴南高校に45000点以上の差をつけています!」
実況「追うは小豆島総合と讃州。やはり神樹館の三連覇となるのか!」

鷹川すみれ 親 ドラ4
配牌

二二九①④⑦⑧2469東東 ツモ西

とりあえず西切り

鷲尾さんの捨牌は
赤5
来た。いきなりど真ん中赤ドラ。十中八九国士モードだ

すみれ「チー!」

すかさず鳴く。
九切り

二二①④⑦⑧29東東/4赤56

そして

すみれ「チー!」「ポン!」

その後も積極的に鳴いていく
么九牌が鷲尾さんへは安牌な事もあり積極的に切られるので琴南の大将から東をポンできた

そして…12巡目。

⑦⑧二二/東東東 234 4赤56 ツモ二

ダブ東ドラ3の満貫手 聴牌
親だから連荘できるけど、トップ直撃しても届かない。
⑦も⑧も河に2枚見えの地獄単騎。さてどうするか…

…待てよ、より警戒されるのは⑦のはず。⑥も⑤も河に見えてないし⑦は鷲尾さん以外の危険牌の可能性もある。…聴牌してないかもしれないけど。
残すのは⑧で。

⑦切り
⑧二二二/東東東 234 4赤56

すると、下家の琴南の選手が暗カン。
カンドラは二
そしてリーチ!

対面の讃州の選手もリーチ

よっしゃ!これで神樹館に直撃すれば。

神樹館は138200から-24000で114200
うちは88600から+24000と供託の+2000で114600

400点差で勝てる。

この局面で表情一切変えない…ポーカーフェイスの練習、散々しておいてよかった。

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鷲尾

手牌
一九19①⑧⑨東西北北白撥 ツモ中

さて、どうする。
十中八九全員聴牌。
あと一巡回れば確実に南引いて和了り。

私は国士が来る時は么九牌捨ててオリるとその局は国士では絶対和了れないしここまで来たらチャンタも無理。
流局狙いでオリる?三人聴牌、私だけ和了れない状態で流局になる可能性ってどれだけあるかしら。しかも二軒リーチ。
片や押せば次のツモで南引いて勝利。

親の小豆島の子は連荘出来るけど、子の琴南と讃州はリーチかけてるってことは逆転できる手確定。
琴南と讃州の子に対して⑧はそれぞれ7巡目、9巡目で捨ててる現物。つまり安牌。
残るは小豆島の…鷹川さんだけど
捨牌と鳴き牌を見るにおそらく索子の混一色
ドラ3ダブ東の混一色、まくれるとしたらさらにドラの4索絡めて2~6、または索子の頭の単騎待ち。
なんにせよ索子が危ないわね。
⑧はドラでもないし…地獄単騎だし捨牌は筒子が一番多く索子は9のみ。混一色は硬いし⑧は鷹川さんでも安牌な方。

次のツモまで耐えるかリーチした2人が南切れば勝てる。オリるより⑧切るリスクのが少ないはず!

よし

すみれ「…ロン!」

鷲尾「ロン??そ、染めてないの!?」
ドラ二・4、赤

⑧ ⑧二二二/東東東 234 4赤56

すみれ「ダブ東ドラ6で親倍24000、あと供託の2000点で…」

鷲尾「まさか…」

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小豆島総合 114600
神樹館附属 114200
琴南 92400
讃州 80800

すみれ「これで和了り止めにします。」

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実況「な、なんということだ!とんでもない事が起きました!鷹川すみれ選手の親倍が鷲尾選手を直撃!供託含め400点差で、
なんと二連覇中の神樹館や強豪琴南・讃州を退け、決勝初出場の小豆島総合が逆転勝利しました!」

鷹川さんが対局室から出てくる

高木さん「凄いよすみれちゃん!香川県代表だよ!?ほんとに全国行っちゃうなんて」

すみれ「運が良かったんだよ。まさかカンドラが3つ乗って2軒リーチしてくれるなんて」

六車「よ。大将!ようやったわ!こ、これで念願の全国に…この島から…」

すみれ「泣いてる?部長…」

六車「お前かて泣いてるやないか。よし、胴上げするぞ!」

すみれ「は、恥ずかしいからやめ、ちょっ、一年まで…やめっ…」

鷹川さんは盛大に胴上げされてた

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帰りのフェリー

「部活のああいうのもいいもんかもね」

「…たしかに。…陸上部いたらああいう感じになったのかな?でも…高木さんと一緒じゃないと面白くないかな。俺は」

「私もだよ。でも西片と同じ部活なら楽しいかも。…文化祭のバンドでそういう楽しみも疑似体験出来るんじゃないかな」

そうかもしれない。
そういう意味もあって高木さんはバンド提案したのかな

「まあ、麻雀は多分私には向かないんだろうけど、西って牌もあるしちょっと興味出てきたな~。大好きな西片の、西も24も集められたら素敵だよね。西片」

「…て、照れるから///」

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一方その頃

実況「千里山女子の椋選手、なんと前回北大阪王者の三箇牧を飛ばして勝利。獲得得点はなんと386000!」

椋千尋「いやー。弱かったですねー。三箇牧。」

愛宕雅枝「あんま侮るんやないよ千尋。前回も春の選抜もうちらは三箇牧にやられてノーシードなんやし。てかはよ寮帰るで。大将戦15時半に始まったのにもう22時前や。あんた何十回30符1翻連荘しとんのや」

椋千尋「監督が手の内なるべく見せるなって言うからですよー。あと、去年の全国や秋の大阪大会は私入学前で出れませんし、まだ島根の菰沢中にいたもんで」

椋千尋「ところでユズ、なんか他県で面白い試合あった?」

行長柚葉「色々あるけど、例えば香川とか前回県代表の神樹館とか、讃州や琴南を差し置いて県決勝も初めての無名公立校が代表になったんだって。大将に親倍食らわせたらしいよ」

椋千尋「神樹館負けたんだ。まあ、あそこの大将もたまに国士14巡で和了れる。って言えば聞こえだけはいいけど
逆に14巡もノーガードでフルボッコにされますってことだからね。あれ、サンドバッグにしてくださいって言ってるようなもんだよ。そりゃ負けるって」
「ユズ。あとはどんな試合あった?」

愛宕雅枝「ほら、続きは車の中ではなしい。帰るで」

「「はーい」」

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21世紀、世界の麻雀競技人口は数億人を超え、プロの麻雀プレイヤーは人々の注目を集めていた。
高校でも、大規模な全国大会が毎年開催され、
そこでは、プロに直結する成績を残すべく、
高校生麻雀プレイヤーたちが覇を競っていた。

これはその頂点を目指す少女たちの軌跡。

そして、この後
高校麻雀女子全国大会に流星の如く一試合だけ現れた
後に「西の愛の女神」と呼ばれる少女のお話

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