からメシ 第172話 高木神社と西片

「西片!見て見て!すごいよ」

「これがスカイツリーかー。大きいね」

「それにしてもスカイツリーの方も間近で見れるなんてね」

実は高木神社行くのに降りる駅はスカイツリーのすぐ近くにあるのだ

「行ってみる?スカイツリー」

「うーん、とりあえずはいいかな。まず高木神社行きたい。あ、西片が行きたいなら別だけど。」

「いや、俺も高木神社ってとこ行きたいかな」

てくてくと高木神社に向かって歩いていく。
手をつなぎながら

現地に到着した。
さっそくツーショットで写真を撮る

俺と、高木さんと、神社と、高木神社って書いてある旗が全部映る角度で高木さんが写真を撮った。

「うん、よく撮れてる。」

「良かったね。お参りしよっか」

「うん。」
高木さんが満面の笑みを浮かべる

二礼二拍手一礼して、お願いごとをする。

受験生だけれど、やっぱり願いは
高木さんと一時も離れずにずっとずっと一生一緒に幸せに暮らせますように

と、どうしてもなる。
たしかに大学も合格したいが、高木さんと永遠にずっと、一時も離れずに一緒にいることこそが俺が叶えると誓った願いだからだ。
縁結びの神様だし。縁を何重がけにもする。

「西片が私と同じことお願いしてくれてて、嬉しいや。」

「な、何も言ってないけど…///」

「分かるよそれくらい。ずっと一緒にいて、これからもずっと一緒にいるんだもん」

「うん。」

「あ、おむすびのお守りだ!かわいい。」

「本当だ。面白いね」

「縁をむすぶってとこから取ったみたいだよ?よく考えられてるね。」

「買ってみよっか」

「そうだね。お揃いで買おー。」

高木さんとお揃いでおむすびのお守りを買った

「あ、あとこの御神木触ると願いが叶うんだって。やってみようよ」

「うん。」

ぺたぺたぺた
意外と神社とかでも楽しめるもんなんだな

そんなこんなで神社を満喫した。

「どうする?スカイツリーも行ってみる?」

「うーん、ちょっと調べたいことあるからほんのちょっと待って」

なにやら高木さんがスマホで検索している

「ああ、やっぱあった!そしたら私ここ、ここ行きたい」

なんだろう。東京で高木さんの行きたい場所って
高木さんがスマホのGoogleマップを見せる

すると

西片
東京都文京区

と表示されている

「私の名前の神社があるんだし、西片の地名もないかなって思ってさ。調べてみたんだよ。そしたらあってさ。…あるんなら私ここ行きたい」

「へ、いいの?こんなとこで。別に名所とか名物がある訳じゃなさそうだし、ただの住宅街っぽいけど」

「ここがいい。私の苗字の神社に行った後に、西片の地名に行くってのがいいんだよ」

名所とかテーマパークとかそっちのけで
この近くにスカイツリーとかあるのに
結構こっから距離ある俺の苗字の地名に行きたい。だなんて

高木さんらしいと言えばらしい。
……同時に、高木さんどれだけ俺の事好きなんだ。と改めて実感する。

「でも、西片も私の苗字がついた神社にノリノリで行ってくれるあたり、同じだと思うなあ。私と」

「なっ……///」

こうやって心を読むし。

トコトコと電車で、その地までむかう。
最寄りは春日駅という所

「西片ー。この道路を渡ると住所が西片になるみたいだよ」

と嬉しそうに高木さんがはしゃぐ

「ほら、西片。電柱の住所書いてあるプレートに西片って。一緒に写真撮ろうよ」

「え、電柱と写真撮んの!?」

まさか東京観光で俺の苗字の住所だからって
電柱と一緒に高木さんと写真撮るとは……

しばらく歩くと公園にたどり着く

「西片、西片公園だって。写真撮ろ。写真」
俺の苗字がついた公園を見つけ高木さんがめちゃくちゃはしゃぐ

まず公園の看板を前に高木さんと俺でパシャリ
そして公園の中に入っていろんな角度から二人で写真を撮る

「高木神社行った後に、西片公園。ってのがやっぱり良いね。」

「そ、そうかな…?」

「うん。…ほら、西片。滑り台とかブランコとかあるよ。やってみようよ。」

「ええっ。俺らもう高三だよ?///そんな子供っぽいこと……恥ずかしいって」

「それ言ったらさ、中学の時に一緒にブランコ乗ったのだってそうじゃない?」

「そうかもしれないけどさ~」

「はい、決まり。滑り台一緒に滑るよ」

「……わ、分かったよ」

高木さんが滑り台の階段を登った後に、俺が登る

「先にどうぞ。高木さん。」

「そうじゃないでしょ?西片。一緒に滑る。だよ?」

「え、それって……」

高木さんが俺の手を掴んでお腹に回す

「こうやって引っついて滑るって事だよ」

「えええええ…///」

正直ただでさえすべり台恥ずかしいのに後ろから高木さんを抱きしめながら滑るなんて…///

「一緒に滑ってくれないの?」

ちょっと寂しそうな、悲しそうな高木さんの表情。これに俺は弱い

「分かった!滑るからっ///」

「やたっ❤」

汗ばんだ薄着の高木さんをしっかり抱きしめる。高木さんの匂いを感じる素肌が汗で濡れてるのが分かる。
というか俺も汗だくなんだけどいいのかな?

「えへへ。お互い汗だくだから、私の汗と西片の汗が混ざっちゃったね。」

「ご、ごめん///」

「なんで謝るの?嬉しいんだよむしろ。西片とひとつになってるみたいでさ」

「…な、なんかそれ、やらしくない!?///」

「そういう意味で言ったんじゃないけど…そういう意味でもいいよ❤ほんとムッツリえっちなんだから」

「も、もうその話おしまいっ///」

「あははははは。顔真っ赤。滑ろっか」

高木さんに抱きつきながら滑り台を滑った。

「よく考えたら滑るって受験生には縁起悪かったねw」

「わ、分かってるならやめてよ!」

「あはははははは。でも私は西片とくっつけて嬉しかったからいいかな~」

「……俺も……嬉しかったけどさ///」

「まあ、西片が受験滑ったら私も合格辞退して浪人付き合うよ」

「高木さんは合格前提なの!?ていうか落ちないからっ!そんなことさせてなるもんか」

「あはははははは。じゃあしっかり勉強しようね。一緒に。さ、次はブランコ乗ろう。」

高木さんと俺、横に並んで隣同士、けブランコに乗る

「中学の時にさ、こうやってブランコ乗ったよね。もう懐かしいや。」

「まあもう3年以上前だしね。4年前までは行かないけど」

「もうそんなに経つのかー。でもやっぱ、西片とブランコ乗ると楽しいね。」

「そ、そう?」

「ただ、もう恋人同士だしせっかくだから乗り方はこれじゃなくて…」

そう言うと高木さんはブランコを降り、俺のブランコの方に…

「えっ…!?」

高木さんは立ち漕ぎの姿勢で俺をまたぐ感じで俺の座ってるブランコに立つ
ちょうど俺の顔が高木さんのお股のところに
ほのかに汗ばんだ高木さんの匂いがする

「た、高木さんっ///」

「漕ぐよ?危ないからちゃんと私の事抱きしめててね」

そう言われてしまったら抱きしめざるをえないけども、俺が高木さんに手を回すとちょうどおしりの位置というか…

「ああっ❤」

「ご、ごめんっ///」

服の上からだけど、高木さんのデリケートな部分あたりに鼻と口が押し付けられる。
より強く汗ばんだ高木さんの匂いを感じる

「ううん、いいんだよ。もっと触ってくれても」

「こ、公園だからねっ///ここ!普通に二人でブランコ漕ぐ以上のことはしないよっ///」

ヤバい…反応してきた……///

「攻守交替だよ。西片が立ちこぎしてよ」

え、今度俺っ!?それはまずいのでは?色々

半ば腰を屈めてちょうど同じ高さに来る高木さんの顔に、アレが当たらないような感じで高木さんが座るブランコに立ちこぎする

「えいっ。」

高木さんが俺のおしりを抱きしめ、高木さんの顔がアレに押し付けられる感じになる(服越しだけど)

「わああっ///高木さん。なにを///」

「その体勢だと危ないから抱きついて支えただけだよ。でもなんで腰屈めてるか分かったや」

そう言うとよりぐいぐいと顔を押し付けてくる
俺の硬いのが(服越しだけど)高木さんの口の辺りにおしつけられる。

「硬いね。」

「だからっ!高木さんっ///だ、だめだって。これはっ///絵面的にもよくないからっ///公園だよここっ」

「ちぇー。仕方ないな。じゃあ最後にさ、西片、ブランコに座ってみて。」

俺がブランコに座ると高木さんが俺に跨り、抱きつく姿勢で座る

「ちょっ、高木さん!?///」

「好きっ❤西片っ❤」

高木さんがキスをしてくる。

「ちょっ…高木さん///公園だからっ///」

「うん。でもいま人いないしさ。」

た、たしかに人居ないけど、住宅街の公園、いつ来るかわからないし、えっちな行為まで行かなくても、過度なイチャイチャは恥ずかしい。

密着しながら、抱きしめられながら高木さんがブランコを漕ぐ

ちょっと振動があったりとか、汗ばんだ高木さんの匂いとか、服が擦れる音とか色々感じてしまい
つかブランコ一緒に密着して乗って抱きついてキスってえっちなことじゃないか?そこそこ

というか俺のアレがああなっちゃってる時点で……

「え、えっちなこと禁止だからっ///」

「えー。これでえっちな事になっちゃうの?西片は。あーでも、西片の硬くなっちゃってるもんねえ」

「い、言わないでっ///」

「あははははは。顔真っ赤だね。西片。…今日は久々にえっちしちゃおうか?」

「た、た、高木さん///い、一応ぶ、部活で東京来てるんだからねっ///だからダメだって」

「ちぇー。西片もお堅いなあ。西片だって本当はしたいくせに。」

「そ、そ、それはまあ…したくないって言ったら嘘になるけど、でも…」

「仕方ないな~。島帰ってからね。」

「……うん。///」

「じゃあもうちょっと抱き合いながらブランコやろっか」

「えええええまだやるの///」

「そりゃそうだよ。西片って名のついた公園なんだから西片ととことんいちゃいちゃしないと。」

「そんなぁ」

しばらく一緒にブランコをしてると子供たちが公園に来た

「ほら、高木さん!もうやめっ///教育上良くないでしょっ///」

「そんなことないよー。心から好きな人同士が抱きしめ合うってのは素晴らしいことだと思わない?ていうか西片恥ずかしいだけだよね。顔真っ赤だし」

「そうだよ///さすがに恥ずかしいし子供たちがブランコ使うかもしれないから止め!///」

「あははははは。分かったよー。あー楽しかった。西片もからかえたし。西片の名のつく地名で西片と一緒にイチャついて西片からかえて、最高の一日だったや」

た、高木さんめー!

そんなこんなでもう夕方になった。
今日は一日高木さんとデートする予定だったので、宿泊施設の方での食堂の夕食の予約はしてない。

「夕飯どうしようね、高木さん。」

「どうする?西片は何食べたい」

「うーん。なんでもいいんだよなあ」

「それ言ったら私だって西片と一緒ならなんだっていいもん」

「うーん。とりあえず宿泊施設の近くで探す?」

「そうだね~。あ、そうだ、私もんじゃ焼き食べてみたいかも」

「あ、いいねそれ。宿泊施設の近くにあるかな?」

ちょっと調べてみると……

「あ、宿泊施設最寄りの駅から少し歩くとあるみたいだよ。」

「そこ行こっか?」

「うん。」

そういうわけで、もんじゃ焼きを食べに行った。

席に座ると早速店員さんから作り方の説明を受ける。店員さんに焼いてもらうことも出来るようだが

「西片、せっかくだし、自分たちで焼く感じにしようよ」

「そうだね。」

俺が海鮮もんじゃ、高木さんがブルーチーズ納豆もんじゃを頼んだ

まず鉄板に油を引いて、具材をよく炒める。
ある程度炒まってきたら具材をドーナツ状にしてそこに半分くらい汁を入れる

「西片、このドーナツ状にしたところを土手って言うんだって。」

「へー。そうなんだ。」

「西片も私の土手大好きだもんね」

「へ?高木さんの土手??」

「西片、耳貸して?あのね。…女の子の土手っていうのはね。」ゴニョゴニョ

「べ、別にそんなとこ、好きってわけでは…///」

「顔真っ赤だよ?」

「鉄板の熱だよっ///」

「あははははは。」

土手を崩して炒め、またドーナツ型にして残りの汁を入れまた崩して炒め完成である

「食べよっか。」

「うん。」

「「いただきまーす」」

「はい、西片。あーん。」

そう言いながら高木さんはコテでもんじゃ焼きをすくい(納豆チーズの方)、俺の口の方に差し出す

「い、いきなりあーんなの!?///」

「そりゃそうだよー。」

自分の一口目よりも先に俺にって高木さんらしいな。昔は気づかなかった、いや、気付かないふりしてたのかもしれないが
こういう高木さんの行動一つ一つが、高木さんに愛されてるなあと感じる。

だから俺もその愛に答えることにしよう
ぱくっ

「美味しい。納豆とチーズって合うんだね。」

「どれどれ、私も。ほんとだ。美味しい。旨みの相乗効果ってやつだね。多分」

「そういえば高木さん納豆好きだもんね。」

「うん。好きだよ。……一番好きなのは西片だけどね」

「し、知ってるけど、なっ、納豆と比べないでよっ///」

「あはははははは。」

よし、俺も高木さんに

「あーん。」

「西片っ...///ありがと。頂くね」

ぱくっ
もぐもぐ

「すごく美味しいや。やっぱ西片にあーんしてもらうと」

「味関係ないじゃんそれっ///」

「あはははは。私には関係あるんだよなあこれが。でもエビもぷりっぷりで美味しいよ」

「イカも美味しいよね。」

「はい、西片。あーん。」

「まだやるの///」

「もちろんだよ~」

そうして食べさせあいっこしながら、もんじゃ焼きを高木さんと食べた。

さて、食べ終わるとすっかり夜だ

「帰ろっか。高木さん。」

「せっかくだしもうちょっと散歩しない?」

「うん、でも、あんまり遅くならないようにしないと」

「うん。」

ちょっと街の方に(といっても東京なんて全部街みたいなもんだが)ブラブラと歩く

渋谷方面だろうか
結構空気が澱んでるし、なんというか小豆島にはないような雰囲気と人たちという感じで夜の街の怖さもある感じ。まだ20時台とはいえ。

...これ帰った方がいいよな。
あと、道中高木さんのことは俺が守らないと

「高木さん...あの...」

「西片。...は、入ってく?///」

周りを見るとラブホ街となっていた。
高木さんとは「そういうこと」もするくらい愛し合う関係とはなったけど
こういう場所には入ったことない。

確かに俺も男だし、大好きな女の子としたいって気持ちはある。でも

「た、高木さん。一応部活の関係で東京まで来てるんだし、ダメだよ。もう早く帰らないと。それに、夜の街なんて危ないから。...俺が守るって思ってるけど...それでも」

「そっか。そうだよね。ごめん。帰ろっか」

「うん。」

その後そそくさと引き返し宿泊施設にまで向かう

「た、高木さんわざとあんなとこ行ったの?」

「ううん。たまたま。...そもそもよく考えたらするなら西片の家とかがいいかな~」

「まあ部活の助っ人で東京来たついでの自由時間なわけだしね」

「それもあるけど、ああいうとこって大勢の人がそのために利用してる場所でしょ?良く考えたらそれがなんかいやだなー。って。私と西片だけの場所でしたいというか」

「...ちょっと分かるかも///」

「だから島戻ったら西片にいっぱいかわいがってもらうからさ。覚悟しといてね」

「じゅ、受験勉強あるからっ...///」

「えー。たまには息抜きしないとー。......せめて夏祭りの日とかさ。私の全てをかわいがってほしいなあって」

「……ぜ、善処します///」

「私は毎日でもいいんだけどなー。ほら西片も一部分積極的なのにさ、素直じゃないんだから」

「つ、つついちゃダメだよそんなとこ///」

「あははははは。顔真っ赤だねー。相変わらず」

こうして東京観光デートを満喫した。
明日、小豆島に帰って、そっから残りの高校最後の夏休みを高木さんと満喫する。
もちろん勉強もしっかりやって。...まだ倉敷大は完全に合格圏外だし頑張らないと

第172話 完

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