からメシ 第174話 川めし

二人で行った東京から帰ってきたのもつかの間。今度は高木さんと勉強に、息抜きでは文化祭の2人でのバンドの練習と忙しくなる。

「西片~。島帰ったらさ、してくれるって言ってたよね」

「な、なにを///」

「何って、セックスだよ」

「セックスっていわないでっ///だ、大体、じ、受験生なんだから///勉強しないとっ///そんなしょっちゅう誘惑に流される訳には...///」

とはいえ、俺も男
薄着で寄り添ってきて、こんなことを言ってくる高木さんを前に我慢するのも中々辛いが

「西片無理してるでしょ?西片の一部は臨戦態勢になってるのになあ。スッキリした方が勉強も捗ると思うんだけどなあ」

高木さんが後ろから抱きついたりとスキンシップしてくる。
こ、ここは耐えないと。きっちり耐えないと毎日こういうことして、成績下がって、大学にも入れなくなるぞ!
……たまーににしないと。

「とにかくダメ!勉強!」

「ちぇー。…でもさ、夏祭りの日、夏祭り行く前はするよ?なんて言ったって、好きな人と初めてお祭り行ったのも、その西片に告白してもらったのも、
西片に初めてをあげたのも夏祭りの日なんだからさ。ここは絶対外さないよ?」

「……うん。…た、たまにはね。」

「やた。」

高木さんが満面の笑みでにこにこしてる。

「ところでさ、西片。今日の夕方と明日の早朝空いてる?」

「うん。空いてるけど。ていうかバイトもお盆休みだし。ていうかシフト高木さんと一緒だし、オレの用事って高木さんと大体同じだから高木さんが空いてたら空いてるんだよね」

「あははは。たしかにそうかも。よかった。西片、じゃあさ、川めし、やらない?」

「川めしって?」

「西片知らないんだ?あのね。小豆島に古くからある伝統行事でさ、8月14日に家族で集まって河原で五目飯を炊いて、無縁仏を供養する行事なんだ。明日8月14日でしょ?今日の夕方は河原の掃除とか色々準備するんだよ」

「そんなのがあるんだ?でもいいの?家族でやる行事にオレが参加して」

「もちろんだよ。西片は家族みたいなもんでしょ?ていうか、将来的には西片はさ...家族...でしょ///」

「...そ、そうだね。///高木さんの両親もいいって言ってるなら、オレも参加させてもらおうかな」

「うん。ありがと。もう許可は取ってあるからさ」

そうだ。将来的には、高木さんは家族になるんだ。そのことについても考えていかないとな。高木さんと家族になるということ。

夕方、高木さんの家族と合流し車で河原に向かう

西片「すいません。家族の行事に顔出してしまって」

高木さん母「いいのよいいのよ。家族みたいなもんじゃない」

高木さん父「将来的には家族になるだろうしな。そのかわり準備もしっかり手伝ってもらうぞ」

高木さん母「草刈ったりとか、かまどの土台の石をもってきたりとか、男手もう一人いると助かるな~と思ってもいたしね。ありがとう。西片君」

高木さん父「ありがとうな」

西片「いえいえ」

高木さん母「西片君、虫除け塗ってね」

高木さん「私が塗ったげる」

そういうと虫除けを俺の腕に、うなじに、そして服に手を入れて塗ってくる

西片「ダメだって高木さん///く、くすぐったいし、こ、こんなご両親の見てる前で...///」

高木さん「それはつまり二人っきりなら触って欲しいってこと?」

西片「そ、そういう訳じゃ...///」

高木さん「あはははは。顔真っ赤だよ?西片。どうしたの?」

高木さん母「あらあら、仲良いわねほんとに」

高木さんめ!

石を運んでかまどを作るのが俺の仕事
これが結構重いけど、高木さんにかっこいいとこ見せるチャンス

ちょっとよろめきながら石を運び
釜の座りなんかを確認しつつ
組み立てていく

「できた!」

どうだ高木さんかっこいいだろ

「ふふふ、どうだ、高木さん、重い石を運んでかまどを造り上げるオレ、かっこいいだろ、とか思っちゃった?」

「なっ...///」

「図星だね。たしかにカッコいいけど、重すぎてふらついてるあたりとか、得意げになってるあたりはかわいいって感じかな」

「...///」

「かわいい西片も大好きだよ。よしよし。ってしたくなる」

「は、恥ずかしいからっ///」

そんなこんなで
草刈りとか清掃とかかまどの準備など前日にやるべき作業を終える。

すっかり暗くなった河原。電灯があるもののかなり暗い

西片「高木さん、足元気をつけて。肩貸すよ」

高木さん「...うん。ありがと///」

高木さん母「良かったわね。西片君に肩貸してもらえて」

高木さん「///」

明日は高木さんの家に早朝4時半くらいに集合、川めしは5時くらいから始めるので早くの集合となる

車内ではラジオでこないだ、高木さんが急遽助っ人で出た全国高等学校麻雀選手権大会の団体戦決勝のニュースが流れていた。

「優勝は島根の朝酌女子、私たちが戦った北大阪の千里山女子は準優勝だって。あんなに強かったのに優勝できなかったんだ。」

「ほんとだ。ビックリだね...」

俺と高木さんの高校、小豆島総合が大敗した千里山女子
あんなに絶望的に強かったのに優勝できないなんて。改めてどの分野でもインターハイって凄いなって思った。

俺も陸上続けててもとても全国にも行けなかっただろうし、たとえ行けても高木さんとの時間がどれだけ削られていたかと思うとぞっとする。
高木さんとの時間のがずっと大事だ。だからこの道を選んでよかったと思う

高木さんと一緒の時間は永遠に続くけど、高木さんとの高校生活はもうあと半年で幕を閉じる。大学生、社会人になってもこの高校生には戻れない。
だから高木さんとの高校生活、一日、一日を大事にする。というか、高木さんと一緒に生きる生涯を、一日、一日大事にして生きていこうと思った。

翌日、4時前に高木さんから電話がかかってくる

「ふぁあああ、高木さん。おはよう」

「おはよ。西片。愛してるよ。」

「は、恥ずかしいから朝からっ///」

「あははははは。でも目が覚めたんじゃない?眠気飛んで元気になった?あ、一部分既に元気か」

「一部分......ってそんな事ないから///」

「あははははは。じゃあチャリで西片の家行って、部屋で鎮めてあげよっか」

「鎮めるって...」

「アイスを舐める感じでさ」

「...///だ、大丈夫だから!///ていうか高木さんの家集合なんだし、そろそろ支度しなきゃだしそれしてる場合じゃないから///」

「ちぇー。夏祭りまでお預けかー。まあいいや。そのかわり夏祭りの日は朝から夕方まで、思う存分するからね。覚悟しといてね」

「...う、...うん///」

そんなこんなチャリを飛ばして高木さんの家に
それから高木さんと高木さんの両親と一緒に昨日準備した河原に車で向かう

高木さんが予めといで水につけた米を釜に入れ、予め切っていた人参、椎茸、油揚げなどの具材と酒、醤油を釜入れ蓋をする

そして釜を俺が前日石で作ったかまどに置き、下に薪をくべ、点火する。(チャッカマン)

火加減は高木さんが調整する。

高木さん父「これも久々にやるなあ。」

高木さん「私が小学校6年の時以来だっけ。なんでまた急にやろうと思ったの」

高木さん母「島の伝統行事だからね。......あんた、大学で暫く島から離れちゃうでしょ。」

高木さん父「だからこういうのもやっておこうと思ってな。」

高木さん「そっか」

西片「それなら尚更、ほんとにオレも参加して良かったんでしょうか」

高木さん父「何言ってんだよ。むしろ西片君にも敢えて来てもらってるんだ。家族の一員として。大学行って島から離れても、娘のこと頼むぞ。家族みたいに支えあってくれって意味で」

西片「もちろんです!高木さんのこと、絶対に離しませんし、絶対幸せにします。」

高木さん「西片っ///」

高木さん母「そろそろ炊けるんじゃないかしら」

高木さん「そうだね。開けてみる」

高木さんの炊き方とか料理が上手いのか、綺麗に炊きあがりあたりにいい匂いが漂う。

それを12枚の柏や柿の葉に盛り付けかまどの石の上に置き、手を合わせる。

西片「これは...?」

高木さん母「これはね、生前の罪で餓鬼道におちた、飢えと乾きに苦しむ無縁仏に食べ物をお供えして供養する行事なのよ」

高木さん「そっか...お腹をすかせた無縁仏の人達に、少しでも食べ物をあげたいって行事なのかな。」

西片「...飢えと渇き、だったら、お水もお供えした方がいいよね。」

そう思って紙コップにお茶を入れてお供えをした。

さて、いよいよ、高木さんが炊いた五目飯を頂く

「「いただきまーす」」

西片「美味しい!美味しいよ高木さん。相変わらずご飯炊くのも上手いね。硬さも丁度いいし、味付けも抜群」

高木さん「ありがと。西片。たしかに手前味噌になっちゃうけど、美味しい。」

高木さん父「かまどで炊くの難しいんだぞ。」

高木さん母「西片君のお母さん、お父さんも招くべきだったわね」

高木さん父「ご両親までこんな朝早くに付き合わせるのは悪いかなって思ったのだが、声掛けておくべきだったかもな」

西片「すいません、なんか色々と」

高木さん「あ、西片、ほっぺにご飯着いてるよ」

そういうと高木さんはひょいと俺の頬の口元のご飯粒を指で取りパクッと口にする。

西片「た、高木さん!ご、ご両親の前でそういうのは!///」

高木さん「お父さんお母さんの前だから手加減してるんだけどなあ。」

そういうと高木さんが耳元で囁く

高木さん「西片と二人っきりなら口で取ってるもん」

西片「なっ///」

高木さん「あははははは。相変わらず顔赤いや」

高木さん母「あらあら。仲良いわね」

そんなこんなで五目飯を食べ終わり、後片付けをして車に戻る。

昨日もあんまり寝てないので、急に眠くなり寝てしまった。

高木さん母「あなた、見て。西片君と寄り添って寝てるわ」

高木さん父「ほんと...いい寝顔だな。」

高木さんの家につく

眠くて意識が朦朧としている

西片「あ、洗い物とかて、手伝いますよ」

高木さん母「大丈夫よ。それより、仮眠して行くといいわよ。その状態で自転車乗ったら危ないわ」

西片「ふぁい」

仮眠?仮眠ってなんだ?

そのまま意識が落ちた。

---
何時間くらい寝ただろうか
起きる。
するとそこには高木さんの顔が目の前にあった。

「わああああ。///」
突然のことにびっくりした。

あれ、これ、高木さんの部屋?ベッドの上?
...ていうか高木さん、し、下着姿!?
な、ね、寝てる間に何しちゃったんだ俺。///

「ビックリしたなあ西片。おはよー。どうしたの」

「た、た、高木さんこそそんな姿で。お、オレ高木さんになんか変なこと...///」

「激しかったよー。西片。とっても」

「ええええええ!!」

いや正直全然記憶にない。

「ゴムは?」

「ゴム?なにそれ」

ええええええなにやってんの俺
あろうことか無意識のうちに高木さんの中に
何もつけずに出しちゃったっていうのか!?

「いやーほんと激しかったよ。西片のいびき」

「へっ。」

「ゴゴゴゴゴー。って富士山噴火するみたいな。あれ子守唄にして寝れるの私くらいだよ~」

「い、イビキ?無意識に寝てる間にえ、えっちなこととかしちゃったのかと」

「いや、もう布団入る前に寝てたよ。私がベッドに寝かしたんだもん」

「じ、じゃあその下着姿はっ///」

「あーこれ?私もパジャマに着替えようと思ったんだけどね、急に眠くなっちゃって。まあ、西片になら襲われてもいいかって下着姿で寝ちゃった。」

「な、なんだよそれ///」

「あ!なるほど。だからゴムは?とか聞いたんだ。そっかそっかー。」

高木さんめ、これからかってるんじゃないのか?

「まあ今からでも私の事、好きにしていいよ。西片も朝っぱらから好きな子にこんなことされたら我慢できないだろうしさ~」

下着姿の高木さんが四つん這いですり寄ってくる。覆い被さるように。
もちろんあの部分は臨戦態勢。ズボン越しだが硬くなったあれが高木さんの下着のお股のところに当たる。
正直我慢するのしんどいけど

「し、下にご両親いるんだしダメだよ。///さ、さすがに。///お、おれもう帰るから。じゃあ」

「ちぇー。」

そんなこんなで下にいる高木さんの両親に挨拶する。......前かがみで

西片「ありがとうございました。お世話になりました。」

高木さん母「いえいえ、ありがとうね。こちらこそ」

高木さん父「西片くんが来てくれてよかったよ」

そうすると高木さんが着替えて(というか服を着て)降りてきた。

高木さん「ありがと、西片。昨日今日と付き合ってくれて」

西片「俺も楽しかったし、高木さんとこういう伝統行事できてよかったと思うし」

高木さん「ありがと。えへへ。...ところで西片、どうしてずっとお辞儀してるような姿勢なの?そんなにかしこまらなくてもいいのに。」にやにや

西片「な、なんでもないから!///お、お世話になりました!それじゃ高木さん、また明日!」

高木さん「また明日ね。西片。」

た、高木さんめー!
あのにやにやといい、俺がなんで前かがみしないといけないのか知っててこういうからかいをしてっ!

第174話 完

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