からメシ 第164話 高木-takagi- 昼食
ナレーター「先鋒戦終了ー!驚きの展開です。まさかのダークホース!部員ギリギリの初出場校小豆島総合高校の、麻雀初めて20日の高木選手が173200点で、2位の大生院女子の戒能優子選手101000点に70000点以上の差をつけダントツトップで先鋒戦を終えました!」
ナレーター「3位は千里山女子高校の行長柚葉選手で80600点。優勝候補に挙げられる程の強豪校ですが今回は頭ハネによる役満を阻止されるなどもあり先鋒戦では3位止まりとなりました。4位は尼ヶ坂女子高校の高橋知代子選手で45200点です!」
神之浦「ダブロンルールだったらトップは千里山だし、原点浮きしてる戒能も凄い。いやあ、この中の1校しか2回戦に進めないとか...ルール見直すべきだろ...」
~~
対局室のドアが空く
高木さん「西片っ❤」
西片「高木さん!」
高木さんが俺に抱きついてくる。
高木さん「結構頑張ったよ!……危ない場面もあったけど」
西片「ダントツトップなんてすごいよ。高木さんは」
高木さん「西片のおかげだよ~~」
すりすり
高木さんが肩に頬を擦り付けて甘える
西片「...た、高木さん///み、みんな見てるから...///」
戒能・行長・高橋 じーっ
戒能「西片くん...そっか。それで西をカンして、2と4集めて、片牌シャボに片和了。なるほど。」
行長(これが、愛の力...)
高橋(こんな仲良いアベック初めてみたっすわ...高木さんの麻雀の力は全部この人が源...)
いちゃついてるのが見られてる///は、恥ずかしい///
高木さん「ごめんごめん。つい。」
戒能「あ。えーと。高木さん。よかったらあとでLINE交換しません?いつかまた、卓囲める日が来るかもしれないし~~高橋さんと行長さんも、いい?」
行長「別にいいけど」
高橋「ぜ、ぜひお願いします!」
高木さん「うん。ただ、臨時部員だし、競技として続ける気はないから公式戦にはもう出ないよ。この大会が最後……もっと大事にしたいものが私にはあるから……逆に全国大会に対して、麻雀にこんな半端な気持ちで望んで申し訳ないかなって思うし」
行長「でも大会じゃなくて、フリーで次会って対戦したら...もう負けない」
高橋「勝ち逃げなんてさせないっすわ。もし名古屋に来たら、勝負しましょう」
戒能「私は隣県だから割と近いよね~~。じゃあ13時にロビーで。」
そのうち取材陣がやってきた
高木さんもインタビューを受けた
高木さん「と、突然の、全国大会直前の入部に、み、右も左も分からない状態で始めた麻雀でしたが、運もよく、親切に教えてくれた部員のみんなや、大切な人の」
チラっと高木さんが俺の方を見る
高木さん「大切な人のお陰でなんとか1位で先鋒戦を終えることができました。ありがとうございます。」
とこんな感じで
初出場の初心者の選手が異様な配牌とツモと和了り方で全国大会のエースポジション先鋒戦で優勝候補含む強豪校相手にダントツトップの無双
話題の人となった高木さんはこの日結構色んな記者から取材を受けた。
しまいには後々西の島の愛の女神とかいう称号まで与えられるわけだが...
そんなこんなで取材陣から解放されて控え室に
すみれ「凄いじゃん高木ちゃん!はい、これ得点収支」
★得点収支★
すみれ「173200点でトップって。強豪校の先鋒相手にさ」
六車「たしかに...高木ちゃんには目標は高く200000点、少なくとも150000点って思っとったから...上出来ではある。ただ...点差ほどの力量差は全然無かったぞ。」
六車「もしルールが頭ハネじゃなくダブロンを採用してたら、千里山の行長柚葉が128600点で1位、高木ちゃんが125200点で2位やった。
...一回戦の間はなによりもすみれの、椋対策をせなあかんが...一回戦勝ち抜いたら、高木さんの能力の許す限りでの完オリの練習や。どういう時に即店じまいするか、配牌店じまいとか余剰分の24牌の切り方とか」
高木さん「はい!」
六車「せやから今日は西片君と一緒に昼飯でも食ってきて、くつろいでてええよ。東京観光とか」
控え室からは中継が見れるようになってる。
次鋒戦の中継をやっている
「小豆島総合、今度は尼ヶ坂女子に満貫放銃です!」
元々初出場の選手層の薄い弱小校だから仕方ないのかもしれないけど、高木さんのためた点数が削られていくのは複雑な気持ちだ。
まあでも、せっかくだしお腹も空いたので
高木さんと一緒に昼食に向かうことにする。
~~
すみれ「高木ちゃん、今日は練習なしでいいの?」
六車「ああ、高木ちゃんはのびのびさせた方が伸びるタイプやし、大会中でも西片君と羽を伸ばす時間が必要やからな」
~~
千里山控え室
椋「お疲れーユズ。」
行長「手強かった。」
椋「ああ、ほんと先鋒にしとけばよかった。高木も戒能もこがな強いと思わなかったけん。高橋はいまだに底知れない感じしとったし。でも」
椋「ユズ、勝ってたよねあれ。高木がルールに救われただけで。役満頭ハネは高木じゃなくて戒能の仕業だけん、普通にユズのが強かったよ。」
行長「...でもダブロンないルールだから3位は3位」
椋「でも負けん気せんでしょ?次は。高木みたいな弱点分かりやすい能力もなかなかないで」
行長「うん。次は絶対倒せる」
~~
大生院控え室
戒能「ごめんね~~。トップ取れなかったよ~~。たのむね加賀城、大将戦は~~」
加賀城「い、一番強い戒能先輩がトップからこんな離されるってどういうことですか。こんなの無理無理無理。...てことは私が椋相手に逃げ切りだけじゃなくて稼がないといけないって事じゃないですか。無理無理無理死んじゃう死んじゃう死んじゃう助けて」
~~
尼ヶ坂控え室
高橋「ボロ負けっすわ。...メディアの取材も私だけ無しだし……悔しい」
丹羽「...気にしちゃダメよ。よくマスゴミって言うじゃない。それにまだ先鋒戦が終わっただけ。それに…3年前より」
高橋「うん。手応えはあったっすわ」
~~
そんなこんなでロビーで高木さんが対戦相手の3人とLINE交換するのについていき、そのまま昼食に
戒能さんたちに一緒に昼どうかと誘われたけど
高木さん「ごめんなさい。今日は西片と二人でお昼食べたいって思ってて」
と断っていた。
~~
「よかったの?断っちゃって」
「うん。お昼は西片と二人きりでって決めてたからさ」
「で、高木さん。お昼は決まっているのかな?」
「うん!会場の入口のとこに凄く美味しいタコス屋台があるんだって。買ってロビー横のラウンジで食べようよ。あそこで食べていいみたいだし。クーラー効いてるしね」
早速屋台に並ぶ。暑い。味はどうするかな
「色々あるね。味。そうだ、西片と私で違うの頼んでさ」
「替えっこ。だよね」
「うん。」
高木さん。俺とご飯食べる時、ほんといい笑顔するんだな。
で、結構色々頼んだ。
そもそも皮も油で揚げたハードシェル、揚げてないソフトシェルがあるらしい
「西片、面白いね!トッピングにサボテンなんてあるよ!」
「い、痛そう」
「あはははは。大丈夫だよ。棘のある皮は取って中身だけでしょ使ってるの」
ひき肉にとろけるチーズトッピング
エビアボガド
ビーフ
ポークにマッシュルームトッピング
チキンにサボテントッピング
タラのフライ
の6種類に
ソースはサルサクルダ(トマトのゴロゴロしたサルサソース)
サルサロハ(トマトペーストの滑らかなサルサソース)
ワカモレ(アボガドソース)
サルサベルデ(トマティーヨというトマトににた緑の実と青唐辛子のソース)
の4種類に8つ切りのライム2つ
(ソースとライムは1つのタコスにつき1つ無料)
そしてタコライスに豚皮スナック
そしてライムネード(レモネードのライム版)
でしめて4000円になったけど、たまにはいいだろう。
「私がこれ食べたいって言ったんだから私が出すよ~」
と高木さんは言ったけど、さすがに悪いし折半した。
まあレシート取っとけば部費から補助出るかもしれないし豪勢にいくのもありかなと
早速ラウンジの机に広げる。
4人がけだからけっこうでかい机だけどいっぱいになる
お腹ぺこぺこだけどおなかいっぱいになるだろうな
「「いただきまーす!」」
まずは俺はひき肉にサルサクルダをかけ
高木さんはエビアボガドにサルサベルデをかけて食べた。ちなみに揚げたハードシェルという皮である。
ライムをちょっと絞って...
「西片はこういうのオーソドックスから行きがちだよね」
「やっぱシンプルに本場からかなって。美味しいよ!高木さん!食べてみて」
「ちなみにひき肉タコスも揚げた皮のやつもテキサス発祥で本場のメキシコでは無いんだけどねー。でも美味しい。日本でタコスっていったらこの味って感じするよね。挽き肉の旨みがジュワッと。トマトととろけるチーズとも合う」
「えっそうなの!?知らなかった!」
「私もさっき調べたんだけどね。西片にどや顔したくてさ」
それ言ったら意味ないんじゃ...
でもこういうとこがかわいかったりする。
「高木さんのエビアボガドも美味しいよ!高木さん、ソースはアボガドじゃなくて青唐辛子のにしたんだね」
「たしかにエビアボガドにアボガドソースは間違いなく合うけど、延長線上で同じ味足すより辛味と酸味で変化出したら美味しいかなって。ちなみに皮は柔らかい方だよ」
「さすが高木さん。こういう組み合わせまで美味しい。いつも美味しいご飯作ってくれるだけあるよ」
「ありがと。お礼に口についたソースとってあげよう」
高木さんは指で俺の口に着いたソースをとってペロッとした。
「た、高木さん///大勢いるとこでそういうのやめてよっ///」
「あははははは。わかってるって。2人っきりなら口で直接ペロッてしてるよー!」
いやそうじゃなくて...。まあいいやもう。
ついに高木さんと俺がラブラブなのは全校どころか県外にまで知られてしまっているのだし
「他のも食べようよ。西片。私、次タラのフライ行こうかな。ここでアボガドソース使います。」
「じゃあ俺はポークマッシュルームで。ソースはアボガドのとサルサロハで」
「おー!西片。途中からの味変だね。それぞれ替えっこしよ?そしたら」
「うん!」
「美味しい!アボガドと豚肉合うね。揚げた皮のサクサクも堪らない。あとマッシュルームも最高」
「トマトペーストのサルサとも合うよ。西片。」
「高木さんのタラのフライとアボガドの相性も最高だよ。また、このライムの酸味と香りで上手くまとまってるというか」
「でしょー?ライムを多めに搾ってみました。あと、白身魚のフライだから、皮はあげてないヤツで。ライムネードも美味しいよ。西片。さっぱりしてて。」
ちなみにライムネードはLサイズを2人でシェアすることにした。建前としてはお得だから。本音は、間接キスがしたいから。
「タコライスも美味しいよ。西片。これにもソースかけてみよ~。まずサルサベルデから。うん、美味しい!ご飯とも合うね。辛さと旨味でご飯が進む感じ」
「俺はアボガドソースで食べてみようかな。うん!ひき肉とも合う。こっちはマイルドでやさしい味」
「唐辛子の辛さと、ライムの酸味と、お肉とかの旨み。私のからかいみたいな感じかな?」
「そ、それはよく分からないけど...///」
「豚皮スナックもサクサクして美味しいよ。西片。あ、これ、タコスに乗せても合うかも」
「たしかに!」
「じゃあ次は私はチキン行こうかな。これは揚げてない皮で、ソースはサルサクルダとアボガド半々で...あとライムを搾って豚皮スナックを乗せ」
「美味しそうだねー!俺にも食べさせて」
「もちろんだよ!」
「俺は揚げた皮にビーフにサルサロハ。鉄板かなこれは。で、俺もライムを絞って豚皮スナック」
「美味しいよ!西片。やっぱチキンとトマトは合うね。さっぱりしてるや。サボテンってこんな味なんだ。食べてみて!西片。」
「うん!アボガドとチキンも合うよ。チキンは揚げてない皮のが合うかもね。あと豚皮スナックのサクサク感がアクセントになって最高だよ。サボテン意外とさっぱりしてるんだね。あと棘はなくて安心」
「そりゃあ棘は無いよー。西片のビーフも美味しい!サイコロステーキになってて噛むと旨みがジュワッと。ライムでそれがさっぱりするんだよね。
そして豚皮スナックで上から、揚げた皮で下からの違うサクサク感が楽しめてさ。ソースの選択もバッチリだよね。西片センスあるよやっぱり。私、西片の手料理も食べてみたいなあ。」
「へ、下手かもしれないよ?」
「西片が作るのに意味があるんだよ。絶対美味しいよ。それに分からないことは教えるからさ。」
「うん。」
~
「「ごちそうさま~」」
ソースまで綺麗に全部食べ終わったらゴミを片付け、会場内を散策する。
「凄いね。西片。こんなでっかいビル。迷路みたいだよ。」
「迷っちゃうよね。」
「空き部屋で秘密のことしてみる?」
「しないよ!///」
「あはははは。西片。顔真っ赤。でも良かったよ。なんだかんだで西片と一緒に旅行だから、楽しいや」
「うん。俺も高木さんと一緒にいろんなとこ行くの...楽しい...」
「本当は一緒に寝れたらいいんだけどねー。」
「ぶ、部活なんだからしょうがないだろっ///」
「それは本当は一緒に寝たい。ってこと?」
「そ、そ、そんな...///」
「図星だー。顔真っ赤だもん。西片」
「か、からかわないでよっ///」
「あははははは。」
会場内のモニターでは至る所で試合の中継が行われている。
ナレーターA「神奈川の八神学院と福井の甲々崎商業のデットヒートが続きます!」
ナレーターB「50年振り2度目の出場となる千葉の輝日東高校が中堅戦でついに200000点超え!他校を圧倒する展開となっております!」
ナレーターC「次鋒戦終了時には最下位になってしまった千里山女子でしたが、中堅戦終盤、ついに2位に浮上してきました!小豆島総合高校との点差もじわじわ詰めていきます」
「苦戦してるみたいだね。うちのとこ。まだ結構点差あるとはいえ」
「...正直勝った気してないもん。私も。頭ハネじゃなくてダブロン有りだったら...つまり2人からロンされたら2人に支払うルールだったら、私のとこでもう行長さんに逆転されてたし」
「それでも凄いよ高木さん。頑張ったよ。」
「ありがと。」
そんなこんなで控え室に戻る。
すみれちゃんと六車さんが徹底的に対戦相手(特に椋さん)の研究をしている
中堅戦が終わり副将戦が始まるところだった。
うちの高校の得点は132800点。高木さんの試合終了時から40400点も削られ、2位の千里山女子とも26000点差にまで詰められていた。
第164話 カン