からメシ 第141話 高木さんの誕生日(高校2年)


※原作にて高木さんの誕生日が冬服着てる時期としか判明していないため時系列不詳とさせて頂きます。140話と142話の間に入る話という訳では無いのでご了承ください

明日は高木さんの誕生日である。
朝、高木さんが来るのを待つ
今日は学校帰りに高木さんへのプレゼントを買って帰って、ケーキなんかも買っちゃったりして。
あした盛大に高木さんのゴホッ…
誕生日を...ケホッ…

なんだろう、喉が痛い。
...それだけじゃなくて…体もだるくて...気持ち悪い……

玄関のチャイムがなる。高木さんだ

「西片、おはよー。」

「おはよう...高木さん…い、今学校行く支度するから…」

「……西片。体調悪いでしょ。それもかなり。ダメだよ。今日は休んで。」

「そ、そんなことは無いよ…ゲホッ...それに明日は...」

「...とりあえず熱計って。」

「学校行ったらはかってみるよ」
明日は高木さんの誕生日なんだ。こんな日に寝込む訳にはいかない。
高木さんの誕生日プレゼントだって買ってないんだ。

「だめ、今すぐ計って」

ピピピピ

38.5℃

「すごい熱。…西片、学校は休んで。少なくとも今日明日くらいは」

「でも、明日は高木さんの…」

「わかった。じゃあ西片がしっかり休んでくれるように、私も学校休んで看病するよ」

「それは…高木さんは学校行ってよ……。俺のせいで学校休むなんて」

「私は学校より、西片の看病のがずっと大事だからいいんだけどなあ別に」

「それでも!ゲホッ」

「ほら……じゃあ、ちゃんと家で寝ててくれる?」

「高木さん、俺が行かないと寂しいんじゃ……」

「うん、寂しいよ。でもね、西片。西片が無理して学校来て余計悪化して苦しい思いする方が私は嫌なの。
それに学校終わったら必ず看病しに行くからさ。」

「……わかった。ゲホッ。」

---

なんだろう。だんだん辛くなってきた。熱もさらに上がってきた感じ。
高木さんがいたらな...精神的に少しは楽になるんだろうけど。

って何考えてるんだ俺!
大体高木さんが俺のせいで休んじゃダメだろ!
それに高木さんはもっと寂しい思いしてるんだぞ!しっかりしろ、俺!
……でも俺って、ほんと高木さんのこと、好きで好きでしょうがないんだな。

身体がきついからかしばらくするとぐっすり寝てしまった

---

「西片。西片。」

「高木さん?あれ、なんでここに?」

「もう夕方だよ?西片。あ、なんで西片の家上がってるかって?こないだ西片のお母さんから、合鍵貰っちゃってさ。
高木ちゃんは家族みたいなもんだからいつでもどうぞ。勝手にあがってって。西片の部屋も鍵閉まってなかったから、部屋まで上がっちゃった❤。あ、一応ノックはしたからね。」

「ええええええ!?ゲホッ、ゲホッ。」

「ごめん。大丈夫?……合鍵...ダメだった...かな。」

「いや、高木さんならいいけど...。」

「私の家の合鍵も渡すよ。…一応お父さんとお母さんに聞いてみていいって言われたらになるけど。……そしたらいつでも夜這いにきていいからね。西片❤」

「し、しないよそんなこと!///ゲホッ。」

「全然良くなってないねえ。西片。熱今何度あるの?」

そういうと高木さんは俺のシャツの隙間から体温計を入れ脇の下に挟む。

「じ、自分でできるって///」

「だーめ。全部私に任せてよ」

ピピピピ
39.2℃

「これはなかなか酷いね。……変われるなら...私が変わってあげたい」

「嫌だよ、俺……俺の変わりに高木さんが苦しむなん...ゲホッっ」

「無理して喋らなくていいよ。...そうだ、西片、たまご粥作ったんだ。」

「うん。お粥なら。食べれるかも」

「食べさせてあげるからさ、寝ててね」

「自分で食べられ...ゲホッ」

「ほら、無理しないよ~」

高木さんに食べさせてもらう。
なんだろう、具合悪いのに
このお粥だけはめちゃくちゃおいしい。

高木さんのやさしさが詰まってるからだろうか。
「おいしい。高木さん…すごくおいしい。ありがとう。」

「どういたしまして。良かった。食べれるみたいで。おかわりもあるからね。」

「うん。」

あまりにおいしかったのでおかわりしてしまった。

「じゃあね、西片。暗くなる前に帰るよ。私も。明日も来るからさ。」

「ごめん。今日送れなくて。ゲホッ。明日には直したい」

「大丈夫だよ。…西片、絶対無理しないでね。」

「......」

「だめだよ。私の事より治すことかんがえて」

「わ、分かったよ。」

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翌日。朝高木さんが来た。

「おはよ。西片。」

「おは...ゲホッ...ゲホッ……高木さん...誕生日おめでとう。」

「ありがと。西片。……でも、治ってないねえ。熱計って。」

ピピピピ
38.0℃

「まだ高いね。朝で38.0℃って。寝てて。」

「...いや、でも今日は高木さんの誕生日だし...プレゼントだけでも買いに行かないと」

「だめだよ。」

「…でも俺も、高木さんにプレゼント渡したいし…高木さんが産まれてきてくれた日を…ゲホッ」

「……西片、今日、私が一番欲しいプレゼントってなんだと思う?」

「……?」

「西片が一刻も早く元気になってくれる事。だよ?物とかじゃなくて、西片が具合悪いの治ってくれること、そのために寝ててくれること、が、今私が欲しい一番のプレゼントなんだよ?」
「それだけ、私は西片のことが心配なんだよ。無理してプレゼント買いに行くより、ゆっくり休んでくれてた方が、私は嬉しいな」

「分かったよ。ごめん。心配かけて」

「いいんだよ。西片。恋人なんだからさ、私を頼ってよ。」

---

正直少し良くなってきたと思う。
昨日と違い退屈感を感じるようになった。
……退屈だな。
高木さんと一緒にいない時間って
こんなにつまんなかったのか。

昔は学校休めるとかラッキーとか思ってたけど、今は少しでも長い時間高木さんと一緒にいることを幸運だと思えてしまう。

プレゼント買いに行きたいのは山々だけど、だめだ。高木さんには、一番のプレゼントをあげないと。
ゆっくり休もう

---

「西片。西片。」

高木さんが俺を呼ぶ。

「高木さん。」

「ふふふ。ぐっすり寝てくれたみたいでうれしいや。調子はどう?」

「だいぶ楽になったかな」

「お熱はかろっか」

ピピピピ
37.4℃

「まだ熱あるけど、だいぶ下がってきたね。」

「これくらい下がればプレゼント買いに行けるかも...」

「こら。だめだよ。……今日はおうどん作ってきたよ。くたくたに煮たやつだから、西片も香川県民としてはいまいちって言うかもしれないけど。」

「そんな事言わないよ。」

「食べさせてあげる」

「うん...///」

むしろ、弱った身体には、くたくたに煮込んだうどんのが、美味しく感じた。

「高木さん。ありがと。美味しいよ。うどん」

「良かった。出汁も昆布と鰹節でとったからね。」

「ほんと、やさしくて...体調悪くてもどんどん進むよ」

「良かった。食欲は戻ってきたみたいだね。」

「……高木さん。ごめん。今日。高木さんの誕生日なのに、本当はケーキとか買ったりプレゼント渡したりしたかったのに
なんも祝ってあげられなくて……ごめん。でも...高木さん。お誕生日おめでとう。...高木さんが...産まれてきてくれたおかげで...俺は幸せだよ。」

「西片。ありがとう。……西片、もう誕生日プレゼントなら貰ってるよ。私は。……西片の気持ち。いっぱいいっぱい貰ったよ。」
「もちろん形がある物も、大好きな人から貰ったら凄く嬉しいけど、いちばん嬉しいのは、大好きな人から貰った気持ちなんだよ。」

「……そっか。」

「あとね。私も西片がいるから、幸せに生きていけるんだよ。私も。」

「...うん///」

高木さんが頭を撫でる
「早く良くなってね。西片。」

撫で続ける

「...西片髪の毛ベタベタだね」

「き、昨日お風呂入ってないし...///ごめん...ベタベタで」

「ううん。むしろ西片の濃い香りがしてこれはこれで...」
高木さんが髪の毛撫でた手を嗅ぐ

「か、嗅がないで恥ずかしいから!///」

「えー、好きな匂いなんだもん。いいじゃん褒めてるんだから」

「褒められるのがいちばん恥ずかしいんだよっ///ゲホッ」

「ごめんごめん。そうだ、西片、濡れタオル持ってきたんだよ。拭いたげるよ身体。」

「いいって///!」

「いいからいいから。服…脱がすよ?」

高木さんが布団をめくる。

「じ、自分でやるからっ///」

「あら、西片、拭いてあげるよって言って身体拭こうとしただけで元気になっちゃったんだね。元気になってきた証拠かな?」

「み、みないでよっ///」
咄嗟に股間をおさえる

「ふふふ、スッキリしちゃおっか。いいよ?拭くのでも、ぺろぺろするのでも…わ、私に入るのでも...///」

「ね、熱上がっちゃうし!///た、高木さんにうつしたら大変だからダメっ!///」

「西片がそこまで言うならやめとくよ。でも、濡れタオルは置いとくからさ、拭いてね?まあ今日の調子ならお風呂くらいは入れるかもしれないけど...。入れてあげよっかお風呂」

「いいからっ///ゲホッ」

「ごめんごめん。まだ治ってないもんね。...でもありがとうね。西片。今年の誕生日もほんと嬉しかったし楽しかったよ。」

「...全然祝えなくてごめん。」

「祝ってもらったよ。大好きな人から、産まれてきてくれたおかげで幸せだ。なんて、こんな祝いの言葉、他にないよ。」
「嬉しくて、幸せすぎて...私...。私。」

高木さんが涙を流す。

「ごめん!高木さん、泣かせるつもりは」

「嬉し泣きだよ。こんな大好きな人と……西片とずっと一緒にいられることが嬉しくて。一緒にいてくれること、これが私にとって一番のプレゼントだよ。西片。」

「うん。......あらためて……17歳の誕生日、おめでとう。高木さん。...これからもずっと...よろしくお願いしましゅ」

「...っあははははは。また大事なとこで噛んじゃったね。西片。」

「わ、笑わないでよ///」

「西片が噛まなかったら笑ったりしなかったのに。...でもね、私も同じ気持ちだよ。これからもずっと、よろしくね。西片。...一生。……だけじゃ足りないや。生まれ変わってもね。」

「うん。」

そのまましばらく、高木さんと俺は見つめあっていた
俺が、高木さんの顔をじっと見ると
高木さんがにっこりと笑う。
俺もそんな高木さんが愛しくて
照れながらもにっこりと笑ってしまう。

もう会話もなくてもお互いに全部通じあってる、そう思えた。

「じゃあ西片。名残惜しいけどそろそろ帰るね。ありがとう。今日は。」

「こっちのセリフだよ。看病してくれてありがとう。……というかいつもありがとう。」

「うん。...病気治ったらめいいっぱい遊ぼ。治ったらえっちなことも解禁かな?」

「それは控えめにお願いします///」

「あははははは。」

高木さんの17歳の誕生日
高木さんのためにプレゼントを用意して祝うどころか、高木さんに看病してもらう事になってしまったが
気持ちだけでも伝えられたみたいで、良かった。

第141話 完

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