からメシ 第189話 しずく
11月の模試を終え、高木さんを家に送る
「ありがとう。西片。家まで送ってくれて」
「いえいえ。日も短くなったしさ。」
高木さんを送って家へ帰る。
雨がポツポツと降り出した
明日は結構な雨になるらしい。
とりあえず今日の模試の答え合わせして、解説のとこ読み込んで。分からないとこ間違った問題に関する単元抜き出して勉強しよう。
帰宅後も自分でずっと勉強していた。
しかしオレがこんな勉強するようになるなんて。自分でもびっくりだ
高校入った時は進路なんて考えてもいなかった。高木さんと同じクラス、また隣の席ということで嬉しいって感情だけ
そして2年の夏には一度は就職しようと思った。それが国立大目指すんだからどう転ぶか分からないものである
そしていつも道標になってくれたのは高木さんである。高木さんには感謝しかない。
そんなこんなで勉強に集中し気がつくと朝である。
やべっ…もう寝ないと
しかし
眠りにつきしばらくすると
ピンポーン
とインターホンの音
ドアが空く音
そして
西片母「高木ちゃん来たわよ~起きなさい~」
起こされた。
「今日はやけに早いね高木さん」
「9時から雨強くなるっていうから」
「大丈夫なの?帰り。…無理して来なくても…」
「毎日。会いたいから。雨に濡れても。…それにもし雨に濡れたら西片があっためてくれるかなーって。」
「別に濡れてないじゃん///」
「まあまだ割と小雨で傘さしてきたしね。…その口ぶりだと大雨に当たってたらあっためてくれたのかな?もうちょっと遅く出れば良かったなあ」
「そ、そういう意味じゃないし///」
「あはははははは。顔赤いよ」
そんなこんなで軽く朝食を済ませ(高木さんがバタートーストを作ってくれた)
勉強に取り掛かるが
「ねえ、西片。この問題さ…」
「……」ウトウト
…ちゅっ
「た、高木さん!?な、なにを!?///」
「聞こえてないみたいだったからさ…眠いの?」
「……うん///」
「…じゃあ寝よっか?一緒に」
「えええええええええええ」
「だって西片すごい眠そうだもん。…うーん長年見てきた見解によると気絶寸前って感じかな?そんな状態でやっても能率悪いしさ」
「でもせっかく高木さん来てくれたのにそんな」
「いいよ。気にしないで。たまにはいいじゃんお昼寝。それとも私と一緒に寝るとえっちなことしたくなって寝れない?」
「し、しないからっ///」
「別にいいのにな~それでも。さ、ほら。膝枕したげるよ」
「膝枕!?///」
「うん」
「ええ…いいよ」
「いいからいいから」
おずおずと高木さんの太ももを枕にする
「こっちの方向いてよ」
高木さんが自分の方向いてと催促する
でもこっちを向いたら
高木さんのおなかとか、下腹部とか…目の前にあって…いい匂いもするし
ドキドキするというか…
「あ、興奮しちゃったかな?」
「してないっ///眠いし!///」
「そっか。」
雨のしずくの音が強くなってゆく
本格的に降り出したようだ
高木さんが俺の頭を撫でる
寝てしまいそう…いや寝ていいんだけど
ふと見上げると高木さんも眠たそうにしている。
遅くまで勉強してたのかな。……いや、高木さんの事だからオレにわかりやすく教えるために夜遅くまで試行錯誤してたのかもしれない。
…自分も眠いのに、膝枕して髪を撫でて
その体勢じゃ自分はろくに寝れないだろうに…
「高木さん。…今日は膝枕もうやめない?……一緒に…寝ようよ…///」
「ふふふ。西片からえっちしたいなんて誘惑してくるなんて嬉しいなあ。」
「そういう意味じゃなくて睡眠だよ!///文字通りの意味///」
「あははははは。分かってるよ」
「…高木さんは膝枕するのも好きなのかもしれないけど……高木さんも眠たそうだからさ。だから…///」
「それも分かってるよ。昔からやさしいところは変わらないね。そういう所も大好きだよ」
一緒に布団に入る。
「ねえ、西片。抱きついていい?」
「寝れなくなっちゃうからっ///」
とはいえもう眠たくてしょうがないから抱きつかれても寝れそうだけど
「ちょっとだけだから。」
「…うん///」
高木さんが抱きついてくる。
高木さんの匂いがする。
雨のしずくの音が聞こえる。
「やっぱ私は西片に抱きしめられながら寝るのが一番落ち着くや」
「オレは…落ち着くような…落ち着かないような……」
「くっついて寝るのいや?」
「いや、決してそ、そういう訳では///…」
「あ、興奮しちゃうんだ?」
「そ、そ、そんなこと…///」
「ちょっと図星だね。今は眠過ぎてそれどこじゃ無さそうだけど。ごめんね、眠い時に話しかけちゃって」
「ううん。いいって。」
「…そのうちさ、こうやって、毎日…一緒に寝たい…寝ようね。」
「…うん///」
「おやすみ。西片。」
「おやすみ高木さん。」
高木さんと抱きしめ合いながら
高木さんのいい香りと雨音をきいていると
徐々に意識を失っていく。
起きると、高木さんも起きていた。
もう夕方で雨音も弱まっていた。
「高木さん起きてたんだ。別に起こしても良かったんだよ」
「うーん。首筋とかぺろっとして起こすか迷ったんだけどね。眠たくて寝てたんだから起こすかわいそうだなって思ってさ」
「その起こし方やめてよ///」
「あははははは。だから起こしてないじゃん。よだれ垂らしちゃってかわいかったよ?」
「は、恥ずかしい///」
「ふふふ。…かわいいなあ。」
「そ、そろそろ勉強しよっか?」
「あ、まって。おはようのキスしてないもんまだ。…5分くらいでいいからキスし合おうよ」
「な、長くない!?///」
ちゅっ。
間髪入れずに高木さんが抱きつきキスしてくる。
「た、高木さん///」
ちゅっ。ちゅーっ。
キスして口を離して見つめ合う。を繰り返す。
「ふふふ。…大好き」
「……オレも…好きだよ。」
「知ってるよ。でもありがとう」
「……///」
「あれれ。西片…ここも元気だね。」
高木さんがズボン越しに…触ってくる
「ちょっ…やめて…仕方ないだろ起きたてだし密着してキスなんてしたら」
「これで勉強できるのかなあ?」
「で、できるもん!」
「っぷ。あははははは。できるもんってなにそれw」
「わ、わらわないでよ///べ、勉強するよ!」
「はーい。」
その後少し勉強して、高木さんは夕飯を食べて帰ることに。
帰り道。高木さんを送る。
大降りでは無いが雨のしずくが傘を叩く音がしっかり聞こえるくらいの音がする
「雨降ってるのに悪いねえ。」
「雨降ってるから余計にだよ。」
「ありがと。」
「寒くなってきたねえ」
そういうと高木さんがオレの腕に抱きついてくる
「こうすればあったかいもん」
「…そ。そうだね///」
「西片なんか顔赤くなって余計あったかいでしょ」
「赤くない!///てかこの暗さじゃ赤いかわかんないだろっ///」
「わかるよ。西片の事だもん。」
「西片といっしょだとあったかいし、傘の雨音とかまで楽しく感じるや」
そんな発想したことなかった。高木さんって凄いな。
でも言われてみればそうかもしれない
高木さんといるだけで
雨のしずくの音も楽器の演奏みたく聴こえる。
一緒にいると楽しくて仕方ないからだろうな。
そんなこんなしてると高木さんの家に着く
「じゃあね。西片。また明日。」
「また明日。」
毎日会えるのに名残惜しいと思ってしまう。
昔は好きって認めるのが恥ずかしかったけど。今は高木さんが好きなことが誇らしいと、そう思った。
第189話 完