からメシ 第41話 拉麺秘訣は煮干である
食材仕入れ当日
俺と高木さんは始発フェリーで高松へ
それから電車に乗り観音寺駅に
そこから30分ほど歩くと伊吹島行きのフェリー乗り場である。
手を繋ぎながらフェリー乗り場に向かう
「こっちの方まで初めてきたや。丸亀までしか来たこと無かったから」
「俺もここは初めてかも...あ、でも林間学校行った時通り越してるよね」
「あ、そっか。林間学校、愛媛だったもんね」
「うん、愛媛の山奥...もうなつかしいなあ...」
「また行きたいね...今度は2人だけでさ」
「...///...まあそのうち...///」
「狭いテントに愛する男女が2人きり、何も起きないはずもなく...」
「へんなナレーションよしてよ!」
「あはははは」
フェリーが来て伊吹島に向かう
「でもこうやって始発で島出て、電車に乗って、また他の離島に向かうなんて、駆け落ちしてるみたいで楽しいね❤」
「もっと円満な方法にしようよ!...///」
「あはははは」
そして伊吹島に到着
港からほどなくの水産加工会社
三好煮干し水産へ向かう
春信「お待ちしておりました。高木様。西片様。三好煮干し水産社長の、三好春信と申します」
夏凜「あなたたちが高木さんと西片くん?よく来たわね」ポリポリ
春信「こら、夏凜、お客様には敬語使いなさい!こないだのバツコさんの番組でも途中からタメ口だったろお前」
高木さん「いえ、お構いなく。」
西片「そのままで結構ですので」
夏凜「せっかくきたんだし、まず、煮干しがどうやって出来るかから見せてあげるわ」ポリポリ
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その後、工場内を見学する
煮干しはまず、イワシをよく洗いヌメりを取り海水で煮干しを茹でる。この時出汁が出てしまうので真水は絶対使ってはいけないとのこと。さらに茹でる温度も80℃、長時間茹ですぎてはいけない。
その後干す工程だ。
夏凜「うちでは乾燥機の風乾と天日干し両方やってるわ。これはどっちがいいって一概に言えないの。
天日干しのが旨みが増すっていう人が多いけどイワシの脂は直射日光に当たるとより酸化しやすくなったりもするの。私は天日干しが好きだけど兄は機械乾燥のが好きって言うし
これは食べ比べたり出汁を飲んだりして判断するといいかも」ポリポリ
天日干しの場合は5日も干すそうだ
その後、煮干しと、煮干出汁が出される。
高木さん「おいしい!この煮干」ポリポリ
西片「旨みが濃いよね!」ポリポリ
夏凜「伊吹の煮干しは世界一よ!」ポリポリ
機械乾燥と天日干しの煮干を食べ比べ、飲み比べしてみる。
高木さん「天日干しのが旨みが強く感じるかも」ポリポリ
西片「でも機械乾燥も優しい味だね。魚っぽさは天日干しのがするかも」ポリポリ
高木さん「私は魚も煮干しも大好きだから気にならないけど、もしかしたら気になる人は気になるのかな?」ポリポリ
西片「難しい...」
夏凜「で、いい煮干しの選び方だけど、まず黄色く変色した煮干しは脂が酸化してるから避けた方がいいわ」ポリポリ
春信「というか煮干しは極力脂が乗ってないイワシの方がいいですね。脂はすぐ酸化して臭みになるので出汁にはできるだけ小型でベタつきがない...」ポリポリ
夏凜「それには同意しかねるわ。脂は出汁になると旨味に変わるのよ。黄変したのは避けるべきだけど大羽のへの字型に曲がった煮干しこそ一番よ」ポリポリ
春信「夏凜はいつも香りを軽視しすぎるんだ!」ポリポリ
夏凜「多少の臭みは工夫で消せるけど旨みは後から足せないのよ!まさか化調かなんか入れるつもり?」ポリポリ
なんか煮干感の違いによる兄妹喧嘩が始まってしまった。煮干し食いながら
ふと商品棚をみると
燻製煮干(ヤマザクラ)
と書いてある商品が
西片「あの、これちょっと試食してみてもよろしいでしょうか」
夏凜「いいわよ!そのままと出汁と両方用意するわね」ポリポリ
高木さんと俺で燻製煮干しを食べて、出汁を
飲んでみる
高木さん「これじゃない?西片。程よい薫香が魚の臭いを消してるというか...」ポリポリ
西片「それでいて旨みは損なわれてないね。これ燻製しすぎて無いのがいいのかも」ポリポリ
夏凜「お目が高いわね。普通の燻製よりも短時間で燻してるのよ。薫香で煮干しの風味を消しちゃわないように
それでいて酸化した脂の臭みだけ上手く消してくれるの。だから普通の煮干しだとB級品みたいな煮干しでも味わいは余り変わらないんだけど
、
うちはそれでも燻製にも大羽の銀付いりこ使ってるし、燻製の工程経るからかなり高くついちゃうわよ?」ポリポリ
西片「どうする?高木さん?」
高木さん「煮干し大量にいるからなあ。コストが問題だよね。もはやイワシ仕入れて煮干しから作るってのも考えてたけど」
夏凜「はっきり言って学校で煮干し作りは無理よ。大量に海水くんでこないといけないし。干す場所の確保だって大変。一日見てられるわけじゃないし、雨対策や虫やカビ対策もできないでしょ?」ポリポリ
春信「あ。でも、学校でイワシを海水で煮て、煮干し作るのは難しいかもしれないけど、煮干しを燻製にするならできるかもしれないね
燻製にするなら多少品質落ちるB級品でも味わいにそんな差は出ないと思いますよ?」ポリポリ
夏凜「いい考えね。それ。煮干しラーメン作るなら煮干しの量は正義だから、1杯200gの煮干し使うとして100杯で20kgの煮干しが必要だもの」ポリポリ
春信「みんな夏凜じゃないんだからそこまで濃くしないよ。もはや水分より煮干しのが多いじゃないかそれ。
でも、1杯に100gくらいの煮干しを使ってる店もあるし煮干しラーメンなら少なくとも1杯に70gは欲しいところですね。」ポリポリ
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とりあえず1杯100gで100食作れればいいか、という話になり
学校や自宅で燻製にするということで、B級品を安く大量に手に入れた。
夏凜「煮干し10kgで32000円になります。B級品っていってもちょっと身がかけたりしたやつで、うちは酸化して黄変したやつは入ってないから安心して。
あとコレおまけで身切れしてバラバラになっちゃったやつ集めて752g。試作とかで使えると思うので」ポリポリ
夏凜「そう、あと、煮干しの出汁がらを油に入れて熱して香味油作ると美味しいわよ。ラーメンには最適ね。さらに残った出汁がらは」ポリポリ
高木さん「甘辛く煮るといいですよね。」
夏凜「よく知ってるわね!上等じゃない」ポリポリ
春信「上等って…漫画でしか見ないようなセリフ言うんじゃないよ」ポリポリ
高木さん「...ここにいる彼...西片に、いつも鰹節の出汁がら甘辛く煮て、おかかおにぎりとか作ってるんで...」
西片「いつもありがと...高木さん。あれ美味しいよ...」
夏凜「あらあら」ポリポリ
春信「凄く仲良いですね」ポリポリ
夏凜「式には呼んでくださいね」ポリポリ
高木さん「はい!割とすぐだと思うので!」
西片「高木さん!...///」
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そんなこんなで煮干しを仕入れた
高木さんが5kg
俺が5kgと752g
それと箱の重さ
結構な重さだ。
「持とうか?高木さん?」
「大丈夫。ありがと西片」
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フェリーで観音寺港
徒歩で観音寺駅に
電車で高松へ
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「ふー、やっと煮干し置ける!」
電車はガラガラなのでボックス席に俺と高木さんは向かい合って座り横に
「この時間のこの辺の電車すいてるんだね」
「ほんとこの煮干し美味しい」ポリポリ
高木さん煮干し食ってる!
聞くと、個人的に燻製にぼしを買ったらしい
「西片も食べる?」
「いいの?ありがと」
と煮干の袋に手を伸ばそうとすると
煮干しの袋を遠ざけられ
「そうじゃないでしょ?西片の煮干しは...こっちだよ」
...と高木さんが口に煮干しを咥える
「た、高木さん...///で、電車の中だから...」
「今この車両...誰もいないよ...」
高木さんのくわえた煮干しをパクって咥える
ポリっと煮干しを噛んで、味わう。唇には触れなかった。
「もう1回...キスするまで続くかもね...❤」
キスするまで続ける気か...
高木さん。俺もそろそろキスは慣れ始めて来てるんだよ?まだ恥ずかしくてドキドキするけど!できませんって程じゃない
高木さんのくわえた煮干しを食べ進めて行く
高木さんの唇に、俺の唇が触れる。
ずーっと唇は触れたまま
そして...高木さんが口を開き...
俺の口の中に...舌を...
って流石にこれは恥ずかしいから!
俺は唇を離した
「た、た、高木さん///」
「こないだの、お返し❤私も同じ気持ちだよ❤」
「西片の口の中も...煮干し味だね...///」
そのあと、丸亀、宇多津、坂出あたりになると結構人が乗ってきたのでいちゃいちゃは終了
でも俺と高木さんは...見つめ合いながら
頭の中でいちゃいちゃしてる...
高松駅につく
そして高松港の最終フェリーに乗る
荷物が多いので俺のお母さんが土庄港まで車で迎えに来てくれるそうだ。ありがたい。
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最終フェリーの中
高木さん、疲れて寝ちゃったみたいだ
俺に寄りかかってくる。
安心しているのか。ぐっすりと眠っている。
ああ、とてつもなくかわいい。とてつもなく愛しい。
昔から、出逢った頃から。俺は高木さんを好きだったんだろう。でもそれを認めるのが、恥ずかしくて...そして...
好きのその先にある幸せにするってことが、自分に出来るのか...やり遂げられるのか...分からなくて怖かったんだろう。
でも今は、高木さんのこの寝顔もそうだし、からかってくるいたずらっ子な顔もにやにやしてる顔も、大笑いしてる顔も、赤くなってる顔も...全て...大好きだし
高木さんを絶対幸せにする...そういう想いで...高木さんの髪の毛を撫でる
「えへへ...西片...❤」
高木さん...寝言言ってる...こういう所もかわいいし大好きだ
「西片っ...赤ちゃんできないと母乳は...出ないっていつも...言ってるでしょ?おっぱいのみたきゃまずは...ね...」
...高木さん...なんちゅう夢を見てるんじゃあああ!
そうだ、最近は寝てる高木さんのからかいは起きてる時より凄いことが多々あるんだった...
第41話完