からメシ 第175話 地層とミルクレープ
川めしから数日。夏祭りも結構間近に迫った日のこと
高木さんと俺は俺の部屋で勉強していた。
色々あり夏休みの勉強時間が圧倒的に少ない気がする。
焦りもあり、このお盆期間はバイトもまた一切
ないので川めしの日以外は朝から晩まで勉強だったのだが
元から勉強向いてない俺。高木さんに教えてもらうのでもさすがにきつくなってくる。そもそも高木さんに教わるって方法じゃなきゃまるで勉強続かなかっただろうことを思えば、ありがたい限りではあるが
「西片~。集中力切れてきたね~」
「うん。そろそろ気分転換したいけど...でもやらないと...」
「そうだね。気分転換しようよ。」
「...いや、気分転換しっぱなしになりそうだし...ってか何するの?」
そういうと高木さんはシャツのボタンを外し始めた
「気分転換にえっちしよっか」
「ち、ちょっと!そ、そういうのは!///」
そりゃあ、大好きな子なんだから、俺だってしたいけど、
でも高木さんは毎日この気分転換って誘ってくるわけで。毎日乗ってたら勉強どころじゃなくならるわけで
「まあ、西片、えっち始めると止まらなくなっちゃうもんね。朝でも夕方まで。まあ夏祭りの日できるから、しょうがないから今日は我慢するよ。」
「...そ、そんなこと……」
そう、それもある。ハマっちゃいそうなのが怖いんだ。大好きな大好きな大好きな女の子と、心も体もひとつになって愛し合う。
あの幸福感、多幸感ったらなくて...気持ちよくて幸せで......
でもそれにかまけて毎日そればっかになったら勉強どころじゃなくなるし、高木さんにそれだけが目当てとか思われたりしたら嫌だ!
「西片。安心してよ。西片がもし毎日5回求めてきてもそれだけが目当てだなんて思わないよ。私は。だって、私も、西片も好きだからしたい。わけでしょ」
「……うん///。」
「好きな人とくっつきたいのは当たり前だもん。」
「く、くっつくどころじゃないけど///」
「体の一番深い所でくっつくんだからくっつく、だよ」
「そ、そういう言い方やめて///」
「あははははは。あれ、西片なんでそこ手で抑えてるの?」
「わ、分かってるくせに!と、トイレ行ってくる」
「ごゆっくりー」にやにや
高木さんめー!
ふぅ...
部屋に戻る。
「長かったね。なんか独特の匂いするや。」にやにや
ば、バレてるのか。やっぱり
「私は好きだなこの匂い」
間違いなくバレてるな///恥ずかしい///
「ところで、西片。気分転換だけど...あ、今トイレに気分転換しに行ったのかもしれないけどさ」
「ち、違うからっ///」
「あはははは。そうなの?顔真っ赤だけど。」
「そ、そんなことより高木さんの言いかけた気分転換ってなにさ///えっちなのは無しだよ!///」
「あはははは。わかってるよ。あのさ、自由研究ってやった?」
「...ま、まだです。」
割と真面目な話だったー。
「私もまだだから、一緒にやらない?」
「共同研究?い、いいけど。...何にするの?」
「んーどうしよっかな。あ、そうだいいこと思いついた」
高木さんのいいこと思いついたが良かった試しがないんだよな
「西片の身体のどこの部分を触った時が一番気持ちよくなるのかの研究をしよう。」
「ええええええ!ダメだよそんなのっ///大体どうやって調べるんだよっ///」
「喘ぐ声の大きさかな~」
「や、やめて!///大体提出するんだよ?自由研究って///」
「ああ、そうだね〜。よく考えたら私も西片の性感帯がどこにあるのか他の人に知られたくないから、自由研究じゃなくて個人的に調べるよ」
「し、調べんの!?///」
「うん!隅から隅まで」
「勘弁してよ~///というか話進んでないけどさ、結局なにしよっか。」
そう言いながらテレビをつけると
恐竜映画をやっていて、丁度人が食われてるシーンだった。
正直心臓に悪い。恐竜は好きだけども...
すると高木さんが
「あ、これだ。西片恐竜好きだったよね」
「う、うん...まあ...」
「知ってる?香川って恐竜の化石出るんだよ?」
「ええっ、そうなの!?」
「だからさ、掘りに行って、それ自由研究にしようよ。二人のさ。」
「……ちょっと面白そうかも…」
「決まりね。じゃあ早速明日ね」
「ええええええ、早くない!?ていうか準備とかもあるし」
「調べるのは今日できちゃうよ。スマホあるんだしさ。あとはホームセンターで発掘用具買おうよ」
「う、うん」
急展開に驚きながら、化石発掘にはどんな道具がいるのか調べて、それからさ
ホームセンターに向かう。少し距離があるので、バイクで、高木さんを後ろに乗せて
ホームセンターについた。
とりあえず家にトンカチはあるものの化石用のハンマーも1つ購入。それから、砕石用たがねと
仕分けできるプラスチックケース。
念の為保護メガネ等を購入した
その後はドラッグストアでジップロック(標本用)と、明日必要な飲み物を買った
さて、化石発掘用具を買ったら明日の打ち合わせをする。
香川で恐竜化石が出る。って漠然とした情報だけで、一日で化石が見つかるわけが無い。
そもそも中生代の堆積岩を見つけて発掘しなくてはならないわけで、恐竜がいない中生代以外の年代だったりとか、凝灰岩など火山岩の場所で発掘しても全く的外れなのだ
なのでピンポイントでどこなのかをしっかり調べないといけない。恐竜の化石が出たのは住所はどのあたりで、さらにいえばなんていう地層から出たのか
それをネットを駆使して調べていく
「西片、地質図サイトってあるみたいだよ?これと地図を照らし合わせて絞って行けるんじゃない」
「いいねそれ。住所はなかなか出てこなかった...というか詳細調べるとさぬき市の兼割とかいう場所みたいだね」
「東かがわ市の入野山ってところでも出るみたい。地層は和泉郡層っていう地層なんだって」
「地質図サイトと照らし合わせると、このピンク色の表示の南にあるオレンジ色、濃い水色の地層は和泉郡層みたいだね。ここと、恐竜化石が出たって地名を照らし合わせると...」
「かなり絞れるね。とくに兼割の方……とりあえずここ行ってみよっか」
「そうだね。ピンク色表示の所は火成岩の花崗岩で化石どうやってもでないから気をつけないとね。」
「とりあえず旧採石場で見つかってるみたいだね、恐竜化石。西片、まずここ探してみよっか」
「そうだね。あとYouTubeとかで化石の掘り方とか見よっか」
「うん。」
2人で化石の掘り方動画を見る。スマホの小さい画面で見るので寄り添いながら見る。
知らない事ばかりで色々勉強になる。
「なんとなく化石掘るイメージ付いてきたかも」
「だね。」
「でもさ、お腹減ってるかもしれないけど地層って...なんだっけあのデザート。生クリーム?と薄い生地が交互に折り重なってるやつ。地層があれに見えてきてさ」
「ミルクレープ?」
「うん、多分それかな」
「よし、じゃあ今日は西片にミルクレープ作ってあげよう」
「え、いいの?大変じゃない?」
「全然。あ、ただ、生クリームってあったっけ?」
「ちょっと冷蔵庫見てみるよ」
高木さんと一緒に1階に降り、冷蔵庫を見ると生クリームがあった。
「卵とかもありるし作れるね。それにしても暑いね~。あ、そうだ、あれしてあげるよ」
そういうと高木さんが服を脱ぎ出し、下着姿に
「た、た、高木さん!?なにして///」
その下着まで脱ごうとする
「ダメだって///」
「暑いし、西片も喜ぶだろうから裸エプロンしてあげるよ///」
「よ、よ、喜ばないからっ///だ、第一火を使うのにそんな格好危ないだろっ///」
「ちぇー。…でもそっか。ありがとね、心配してくれて」
「……それに料理中に西片が我慢できなくなって襲っちゃったら危ないもんね」
「いいから早く服着て///」
高木さんが服を着る
「あれ?ちょっと残念そうにしてない?」
「そ、そんなことないし///」
「なんで前かがみなのかな?」
「な、なんでもないっ///」
た、高木さんめ~!
相変わらずからかうのは忘れない
「ちょっと時間かかるけどごめんね」
「なんか手伝うよ」
「ありがと。じゃあ、生地とカスタードクリームとホイップクリームを作る時によくかき混ぜるのをやってもらおうかな。とくに生クリームをホイップクリームにするのは体力いるからね。」
「分かった。」
高木さんに教えて貰いながら、高木さんが配合した生地、カスタードクリーム、生クリームの順でをそれぞれ混ぜる。
生クリームは確かになかなか根気がいった
その間高木さんは生地の元を冷蔵庫で寝かしたり、カスタードクリームを急速に冷やしたり、
焼く準備をしたりと色々やった
その後出来たカスタードクリームとホイップクリームを俺が混ぜ、
高木さんがフライパンに油を敷き生地を薄く敷いて焼いていく。裏返して両面焼く。
「焼きあがったら、西片はクリームを薄く塗ってって。そこに次焼いた生地を乗せてくからさ。また塗ってってよ」
「分かった。」
「ミルクレープっていったらケーキみたいなものだし、ケーキで、2人の共同作業っていいね。」
「……///」
「顔赤いよ?」
「赤くないっ///」
そんなこんなで何層にも生地とクリームを積上げたあと、粉砂糖をふってそれをガスバーナーで焦がすと。
ミルクレープが完成した。
「さ、おあがり。西片」
「た、高木さんも食べてよ」
「もちろん頂くけどね。まず西片に食べてもらいたいなあって。じゃあカットするね」
高木さんがミルクレープを切り分ける
綺麗に何十層にもなった断面が地層みたいだ。
「そう。これだよ。地層見てたら食べたくなったデザート」
「良かった。西片の思った通りのになって」
「ありがとう。高木さん。いただきます!」
早速食べてみる
「めちゃくちゃ美味しい。クリームと生地が合って。たしかにこれクレープだね。それで一番上の焦がした砂糖が香ばしくて最高だよ。高木さんも食べてみて…」
「それじゃ頂くね。…うん。美味しい!甘さもちょうど良くて、クリームも生地もムラなくしっかりしっとり出来ててさ。西片が混ぜたからこんな上手くできたんだよ」
これだけのものを作りあげて、真っ先に褒めるのがオレの混ぜ方。って高木さんらしいなって思う。
でもわかる気がする。高木さんもいつも思ってることだろうけど。料理ってそれ自体の美味さだけじゃなくて
「大好きな人と一緒に作って、大好きな人と一緒に食べるからこんな美味しいんだよ。」
い、言われた///
まさしく同じ気持ちだ。
高木さんと一緒に作ったから、一緒に食べたから……高木さんとずっと一緒にいるから、高木さんとずっと一緒に生きていくから、美味しいものを美味しい、って感じるんだ。
「あー。やっぱり西片と一緒に食べると美味しいなあ」
「…オレもだよ……///」
「ん?聞こえなかったなあ。もう一回いって」
「オレも高木さんと一緒に食べてるから、美味しいって感じる!///」
「……ありがと。西片///えへへ。嬉しいなあ。」
「嬉しかったからこれはお礼。」
ちゅっ
俺の口元に付いてるクリームを高木さんがちゅって口で舐めとった
「た、高木さん///」
「嬉しかったからさ。///しかし、西片未だにこういうので赤くなるんだもんねー。顔」
「た、高木さんだってちょっと赤くない?///」
「そうかもね。///」
そんなこんなでミルクレープを2人で完食した
「「ごちそうさまー」」
そして明日の準備したり、勉強したり色々
ちなみに明日は辺鄙なとこなのでバイクで行くことになった。
帰り道高木さんを家まで送った
「西片、じゃあ明日よろしくね。朝早いけど」
「うん。楽しみだね」
「私もすごく楽しみ。楽しみにしすぎて寝れなかったらどうしよう」
「そ、そこはちゃんと寝てよ?」
「西片が一緒に寝てくれたらなあ。」
「そ、それじゃこっちが寝れなくなっちゃうから///」
「西片えっちだもんねえ。でも何回かすれば落ち着いて寝られるでしょ?」
「それその時点で寝不足だから!!///運転もあるんだしダメ絶対!」
「あはははは。そうだね~。まあでもよろしくね。明日。」
「うん。///」
「あ、高木さん。」
「なあに?」
ちゅっ
高木さんのことが愛しくてたまらなくて
気がついたら口にキスしていた。
「えへへ。嬉しいなあ。西片から」
「ご、ごめん///し、衝動的に」
「もっとしてもいいよ?///キスだけじゃなくても」
「あ、明日に響くからそれは無しっていってんじゃん!///」
「あはははは。うん。そうだね。それじゃまた明日。」
「また明日。」
また明日って言葉いいよな
毎日、高木さんとの明日があるから
オレの人生がある。高木さんとオレの明日の積み重ねこそがオレの人生なんだ。と思う。
ああ、明日楽しみだな。高木さんと化石発掘。
そんな事考えながら帰路に着いた
第175話 完