からメシ 第170話 東京タワーと階段とアイス
翌日、俺と高木さんは東京タワーのふもとに来た。
「わー!西片!大きいね!東京タワー」
「遠くから見るとわからなかったけどこんなに大きいんだね」
「あと赤いね。私と…する時の西片くらい赤いや」
「そんなに赤くないからっ///ていうかする時の、とか言うのやめてよ結構人多いよここっ!///」
「あははははは。だからオブラートに包んでする時って言ったんだよ。あれ、もしかして言ってほしかった?セッ」
「わあああああダメダメダメ!///言わないでっ!///」
「あはははははは。やっぱり東京タワーと同じくらい赤いや」
そんなこんなでチケット売り場の近くに来た
メインデッキ(150m)に行けるチケットとメインデッキとトップデッキ(250m)に両方行けるチケットがある
しかしメインデッキのみが1200円なのに対しメインデッキとトップデッキ両方行ける方のチケットは2800円となっている
「どうする?西片。高いけど両方楽しめるやつにするか、安いけど片方だけのやつか」
「うーん。せっかくだし両方楽しめるやつにしよっか。高木さんさえよければ」
「そうしよそうしよ。東京とかもしかしたらもう来る機会無いかもしれないしね。」
そういうわけでメインデッキとトップデッキが楽しめる方のお値段お高めのチケットを買った。
まず第一の選択。
エレベーターで乗るか、階段600段をあがるか
いや、このクソ暑い中階段600段!??
と思ったが
「西片、せっかくだしさ、階段で行かない?」
「ええ、この暑いのに!?600段も?」
「そういうこと言ってるから最近お腹ぷよぷよしてきたんじゃない?西片。揉むよ?」
もみもみもみもみ
高木さんが俺のお腹を揉みしだく
「もう揉んでるじゃん!///」
「あははははは。そうだねー。まあ太った西片もかわいらしくて素敵だろうし、どれだけ太っても私は西片の事大好きだけどね。ただ、西片が太ったら事ある毎に私は西片のお腹揉むと思うよ」
「わかった!わかったけど、高木さんは大丈夫なの?階段。ていうかどうしてそんな階段で行きたがるの?」
「まあ、西片と景色をゆっくり楽しめるとか、登り階段認定証貰えるとかあるけどいちばんはこれかな」
高木さんが案内の張り紙を指さす
1グループに1枚、フォトカードを進呈
「つまり、西片とのツーショット写真をフォトカードにして貰えるんだよ。これは大変でも階段登るしかないよ。」
なるほど。そういうことか
俺とのツーショットをフォトカードにしてもらう為に…高木さんらしい。
愛されてるなあ。俺
早速昇っていく
「あ、西片。途中クイズあるらしいよ。ていうかなにこのキャラクター。ノッポンって。」
なんというか見た目が独特なへんなキャラだ
すると高木さんが耳元で囁く
「なんかさ。このキャラクター、西片の大きくなったアレにゴム付けた時みたいな感じだね」
「なっ…///そういうこと言わないで!///」
「あははははは。東京タワーみたいに顔赤いよw」
高木さんめー。
「あ、西片また看板だ!…ていうかノッポンが白いヘルメットかぶってるの遠目で見るとまるで…」
また高木さんが耳元で囁く
「西片がゴムに出しちゃった直後のアレみたいだね」
「は、恥ずかしいから!///だいたいチラホラほかの人いるんだしさ!だめ///そういうの!///」
「あははははは。だから耳元で小声にしたんだよ」
高木さんめ
「あ、あと、西片クイズがあるよ。負けた方の罰ゲームはなににしようかな」
「えっ、罰ゲームもうけるの?」
「あたりまえだよー。」
Q1
『東京タワーの塔体に使われてる色は何色と何色かな』
①インターナショナルオレンジと白
②バーントオレンジと白
③ダークレッドと白
え、東京タワーって赤と白じゃないの?てことはダークレッド?いや、ダークって程じゃない気が。でもオレンジ?…確かに言われてみればかなり赤っぽいオレンジにも見える気が
ああああああわからない。
「②で!」
「じゃあ私①。次の看板に次の問題とこの問題の回答があるらしいよ。」
次の看板に着く
Q1の正解は ①
「私の勝ちだね。」
あああああ罰ゲームだ。
「罰ゲームどうしようかなあ…あ、そうだ、これにしよう」
「負けたらさ、私なら西片に、西片なら私に、愛してるって言うことにしようよ」
なんだ?たしかに愛してるって言い回しはちょっと恥ずかしいけど、高木さんに告白してもう3年。お互いにもうずっと、愛は伝え続けている。今更そんなことを恥ずかしがるとでも?甘いね高木さん。俺は日々成長しているのだよ
知らないおばさん「ごめんなさい。ちょっと通りますね」
俺たちの横を他の人が通り抜け登っていく
あ、
ああああああ
こ、こんな人がいるところで
愛してるって言わす///
た、た、高木さんめ!
好きだのなんだので照れなくなったら
言いにくい状況を用意するなんて
「た、高木さん。///耳元で、小声でいい?」
「えー。それはダメだよ。と言いたいとこだけど、最初にいってなかったからこの問題だけはそれでいいよ」
高木さんの耳元に顔を近づけ
「あ…愛してる。高木さん///」
小声で囁く
高木さんがちょっと顔を赤らめ
すごい嬉しそうな顔になる
「嬉しいなあ。西片に愛してるって言って貰えて」
「は、恥ずかしいからっ///声が大きいよ高木さんっ!///」
「あははははは。顔真っ赤だよ西片。それこそインターナショナルオレンジだよ。」
高木さんめ!
次のクイズこそ俺が勝つ!
Q2
東京タワーの塗装面積は94000㎡。これは東京ドーム何個分になる?
①1個分
②2個分
③3個分
さ、さっぱりわからないぞこれっ!
さっき①だから①はやめとくか
「②で」
「そしたら私は③にするや」
階段をのぼり次の看板まで行くと
Q2の正解は②と書かれている。
「高木さん!俺の勝ちだね!ちゃんと約束通り言ってもらうよ?…あ…あの言葉///。あ、耳元で小声では無しだからね」
「愛してる。西片っ❤」
はっきり聞こえる声で高木さんが言う
高木さんも少し顔が赤い
でもそれ以上に
「なっ///」
俺が恥ずかしい
「あははははは。西片私よりずっと顔赤くなってるじゃん。インターナショナルオレンジだね。」
「なってない!///」
「これじゃあ私が勝っても恥ずかしいのは西片だねー。」
くそっ、高木さんめ!
勝負に勝っても負けても俺は恥ずかしいじゃないかっ!///
つ、次の勝負だ
Q3
東京タワーの塗装に使用するペンキの量は33000ℓ。塗料の一斗缶をこの量分、縦に積み上げていくと高さは東京タワーの約何倍になる?
①2倍
②3倍
③4倍
む、難しいぞまた。
「あ、これはサービス問題だね。西片。」
「えっ、どこが!?」
「だって一斗缶の長さと、一斗缶の容積はスマホで調べたら出るでしょ?あとは電卓アプリで計算すればできるよ?」
「えっ…そんなこと言われても」
「良く考えれば分かるはずだよ。頑張って。」
とりあえずまず一斗缶の容積と長さを調べる
高さ349mm。容積18ℓ
今東京タワーのペンキ量が33000ℓって言われてるから
33000ℓを一斗缶何本分かに直すと33000÷18で
えーと、
電卓アプリを打つ
約1833缶分
一斗缶の高さは349mmだから約0.35m
これを縦に積み上げると…1833×0.35は
641m 東京タワーが333mだから
641÷333=約1.93
だから
「①の2倍だ!」
「うん。そうだね①だよ。さ、答え確認しよっか」
次の看板にたどり着く
Q3の答え ①
と書いてある
「引き分けだね。西片」
「じゃあ次の勝負に…」
「ううん。引き分けだから、ここは二人で愛してるって言い合おうよ」
「ええっ///なんで?そんな取り決めしてないじゃん///」
「先手必勝!」
すると高木さんが俺に抱きつく
「愛してる。愛してる愛してる愛してる❤西片っ❤」
「なっ…///高木さんっ…恥ずかしいからっ///大体なんで抱きつくの///」
「好きだからだよ。言葉だけじゃなく行動で示してみました。ほら、西片の番だよ」
そ、そんなこと言ったって
「愛してるって言ってくれるまで離さないよ?あ、耳元で囁くのは無しだよ。ちゃんと聞こえるようにはっきりとね」
高木さんめ!攻守一体とはまさにこのこと
この状況はマズイ。平日で比較的人少ないとはいえ。夏休み。東京。それなりにいる。
実際、階段を登るる音が聞こえてくる
ええい、ままよ!
「愛してる!高木さん!///」
「うん。私も❤」
「は、離して…///」
しかし
子供A「あー、カップルが抱き合ってるー!」
子供B「愛してるとか言ってたぞ今」
母親「こら!邪魔しないの!ごめんなさいね。」
高木さん「いえいえ」
ああああああ終わったああああ
やっと高木さんが離してくれたけど。
恥ずかしすぎる///
ああああああ
「西片、顔がインターナショナルオレンジだよ」
「…///」
「いいじゃん。東京なんだしここですれ違う人はもう会うこともないよ」
「…まあそうだけど///」
「でも不思議な感じだね。ここですれ違う人は多分生涯会うこともないけど、私と西片は生涯を…いや、生涯を超えてずっと共にする。なんてさ」
「うん…///」
そういわれるとそうかも。
世界中何十億人といて、ほとんどの人は会うこともないし、視界に入る人でもこうやってすれ違う人がほとんどでもう会うことはない。
2回以上目に入る人なんてほんのひと握りだし、その中で友達なんてさらに僅かなものだ
でもそんな中、生涯俺と共にするのは、世界中で高木さんただ一人。だから絶対高木さんを一生大事にするんだ。
俺の方から手を繋いだ
「ありがと。西片」
気持ち、伝わったみたいだ
しかしこのやりとりで喉が渇いたぞ。この暑さで階段登り続けるのはなかなかしんどいぞ
「西片、飲み物飲む?さっき買ったんだ。だいぶ汗かいてたよね。さっき抱きついたときTシャツ汗だくだったよ。」
「ごめん!汗だくで。そんな。高木さんの方こそ飲みなよ」
「ううん。だって私、西片の汗の匂いも好きだよ。」
「またそう言う///」
「じゃあ二人とも飲もうよ。」
高木さんが飲み物を飲んで俺に渡す
「間接キスだけどね。」
「もうそれくらいじゃ照れないからっ///」
「顔がインターナショナルオレンジだけどね。」
全く高木さんは
「ていうかクイズの勝負まだやるの?」
「やろうよ。最後まで。…だってさ、好きな人に好きって言って貰えて、好きな人に好きって言えるなんてこんな幸せなことないでしょ?」
「…わ、わかるけど、ふ、二人きりの時でも…///」
「さ、次のクイズやるよ!」
高木さんめ!強引なんだから。
でも、まあ。好きって言い合うの自体は正直心地いい。
こんなところじゃ恥ずかしいだけで、でも小豆島から遠く離れた東京に二人で来てたら、すれ違う人なんてもう会うこともないんだし
恥ずかしい思いしても、バカップルって思われてもいっか。高木さんのやりたいようにしてあげよう。
「負けないよ。高木さん。」
「うん。」
その後はクイズを解きながらお互い愛してるって言い合う恥ずかしい罰ゲームをして、ようやくメインデッキに到着する。
早速係の人に写真を撮ってもらう
西片「ちょ、高木さん///腕組みは恥ずかしいからっ///」
高木さん「ダメだよ。本当はキスにしようと思ったとこを手加減してるんだからさ。」
係員「仲良いですね~」
高木さん「はい。仲の良さと愛なら誰にも負けない自信あります。」
西片「恥ずかしいからっ///そういうこと言わないの!///」
カシャッ
しっかり腕を組み、俺が恥ずかしがり、高木さんが満面の笑みの写真が撮れた
「ありがとうございます。しかし、西片、いい写真取れたよ~。2人のアルバムに飾ろうね」
「うん。///」
さて、メインデッキからの景色を…
「西片、東京タワーのソフトクリームあるよ!景色眺めながら食べよ!」
たしかに暑い中階段600段ものぼり、ソフトクリームは食べたい感じ。
「へー。バニラに、ショコラとイチゴはそれぞれにバニラとミックスがある感じかな。全味楽しむにはどっちか、または両方ミックスにして分けっこかな」
「ショコラの方とイチゴのやつはクリームの感じが違うし両方ミックスでもいいかもね。」
「そうしよっか。西片どっちにする?」
「じゃあショコラミックス」
「じゃあ私イチゴミックスで。わけっこしようね❤わけっこ。」
「うん」
にしても高木さんかわいいな。はしゃいじゃって。昔から変わらない俺と一緒ではしゃいじゃう時の子供っぽさ
日頃のからかい返しをしてもいいんだが、この無邪気にはしゃぐ感じをずっと見ていたいし、このはしゃぎようからは愛が伝わるから
そのままにしておく。
空高くから東京の街並みを見ながら、…若干怖いけど。二人で手、繋ぎながらアイスを分けっこする。
結構いいかも。
「そういえばアイスってさっきの続きだね。西片。」
「へ?」
「君を愛す。」
「なっ…///」
「あははははは。また顔がインターナショナルオレンジだよ。西片」
「そんな事ないからっ///」
「はい、西片。あーん。」
「わけっこはいいけどあーんは止めようよ///人たくさんいて恥ずかしいよっ///」
「四の五の言ってると溶けるから早く~」
高木さんめ!
溶けるという時間的制約まで利用するとは
ぱくっ
「美味しい///」
「でしょ。私にもあーんして。」
「えっ///俺もやんの!?///」
「当たり前だよー。溶けるから早く」
「…///あーん。///」
ぱくっ
「んー。美味しいや。西片に食べさせてもらうと格別だね。」
「恥ずかしい…///」
「あははははは。」
こうして高木さんと景色を見ながらアイスを食べた
第170話 完