からメシ 19話 虫送り
7月上旬の土曜
小豆島では毎年開かれてる行事、虫送りがある
去年に引き続き、高木さんと俺は、参加する。
去年の夏とはちょっと違う、去年も両思いではあったが、今年はお互いに好きだという事を言葉にして、結ばれた
上でこの行事に参加する。恐らく毎年恒例になるだろう行事。
「西片~!」
高木さんが呼ぶ声
まず今日は虫送りのバス停の近くの食堂で昼食を食べる。
ここは相当な人気店で山奥なのだが予約が必要
「それにしても予約してお店をとるなんて完全に大人のデートだね❤」
高木さん、俺を甘くみてもらっては困るね。もうデートなんて言葉には恥ずかしがらないよ?なにしろ付き合っているんだからね。
(逆に恥ずかしがらせてやる)
「うん、だけど今までとは違うよ?お店を予約するなんて大人のデート。という事は、虫送り終わった後も大人の❤デートなのかな~」
高木さんが誘惑するような感じで舌をちょっとペロっと出す
「そ、そういうんじゃないから///そういうつもりじゃないから!!!」
「あはははは、西片、デートって言葉に恥ずかしがらなくなっても、相変わらずこういうのには弱いねー」
た、高木さんめ!
「私は西片と一緒ならどんなデートでも楽しいよ?西片の部屋でお昼寝しちゃうデートとかもすごく楽しいし」
「それデートって言うの?」
「言うと思うな~」
「あ、西片、料理来たよ」
「カワハギの唐揚げだって。食べたことないや。肝が入ってるんだけどこれがまた美味しいんだよね」
「ほんとだ!美味しい。」
そんなこんなで、高木さんと楽しく食事をした。
高木さんは自分の分出そうとしてたが、ここはクールに、大人っぽく「予約したのは俺さ!俺が出すよ。」
とカッコつけた
そしてその上さらに支払いでPayPayを使った日には
「すごい!西片かっこいい!もうからかわない!」
ってなるだろう!!見ろ!高木さん!俺の勇姿を
店員「すみません。現金のみになります」
げ、現金のみだと!?PayPayにチャージしちゃってて現金あんま無いぞ。自分の分しか
「あははは、西片らしい。それなら私もちゃんと出すから。ね。
それにしてもカッコつけてる西片はかわいいなー」
そんなやり取りの後、虫送りの場所に
しかし心配なのは
「雨降りそうだね…」
「うん…」
虫送りの前にお焚き上げみたいな行事がある
木札に願いを書いて、燃やすと成就するらしい
さて、なんて書こう
高木さんに勝てますように…
違うな。それは自力で高木さんに勝たなきゃダメなやつだ
からかわれませんように…
違う。からかわれなければ、からかいかえせない
もっとこう……
うん、そうだよな…素直になろう…
高木さんとずっと一緒にいれますように
は、恥ずかしいから早く火に投…
「なんて書いたの?西片?」
「た、高木さん?!」
「私も書いたから当てっこしようよ。文章長い方が勝ち。私も見せるからさ」
(恥ずかしいが、もう昔の俺とは違うんだ)
「…はい///」
「…///嬉しい。ほとんど同じこと書いてるや。」
「でも私の勝ち」
西片と一生一緒に仲良くいられますように
「ら抜き言葉使わなきゃ引き分けだったのにねw」
その後お焚き上げをして
虫送りなのだが
「西片、雨、降ってきたね。この雨じゃ蛍も厳しいかな。」
「虫送り自体はやるみたいだけど、どうする?」
「1年に1度なんだしやろうよ」
虫送りが始まる
急斜面、濡れててめちゃくちゃ滑る
「高木さん、俺にしっかり掴まってて、ゆっくり、ゆっくり、高木さんが転びそうになったら、支えるから!!!」
「ありがとう。西片。でも西片が転びそうになったら私が支えるから。」
高木さんを抱き抱えるようにして慎重に慎重に…色んな意味で去年とは違う…高木さんが転ばないように…慎重に
なんとか虫送りを終えた。
~バス停~
「ハラハラしたね…ドキドキもしたよ…///」
「雨ですごい滑ったからね…」
「それもあるけど…西片が後ろから支えてくれて…ドキドキしたよ…凄くカッコよかったよ。西片。」
…///
「お店のカッコつけ西片はかわいかったけどねw」
高木さんめ!
「かわいい西片もカッコいい西片も、かっこ悪い西片も、全部大好きだよ…西片❤」
「去年の虫送りの時はさ…西片とずっとずっと一緒にいたいけど、もしそれがかなわなかったらどうしよう…って不安もあってさ…
でも今はね、そんな不安ないよ…幸せにするって言ってくれたからね…」
高木さん…
ギュッっと高木さんの手を握る
「西片、去年はバスが来ちゃって、ここで手繋げなかったね…でも今はこうして繋いでいられる」
「キスだって…できるよ…」
ちょうどバスが来る光が…
「高木さん、バス……」
ちゅっ❤
高木さんの唇が俺の唇に触れる
「バス来る前にキス出来たから私の勝ち///❤」
「え、これ勝負だったの?」
「そうだよ…罰ゲームどうしようかな?今から大人の❤デートしてもらおうかな」
「しないから!!夜遅いし!!バス来てるし!!」
運転手「乗るなら早く乗って~」
「「すみません今乗ります!」」
こうして高木さんを家まで送って高1の夏の虫送りを終えた
19話完