からメシ 第179話 高校最後の夏祭り

恋人繋ぎで、手をつないで夏祭り会場に向かう。
いつものように、たこ焼きやら焼きそばやら食べ物を買って、石段に座る。

...さっきまでしてた事が恥ずかしくなって///
ついつい無言になってしまう

「っぷ。あははははは。西片、いつもそうだよね。こうやって、いつも恥ずかしくなっちゃって無言になっちゃうの。」

「何がっ///」

「いつもこうやってセックスした後恥ずかしくなって無言になっちゃうの」

「なっ...ぐ、具体的に言わないでよっ///ていうかセックスって言わないで///ていうか声大きいよっ///もし誰かに聞かれたらさっ///」

「情報量が多い照れだなあ。そういう西片も声が大きいけどね~」

「ああっ///」

「顔真っ赤だね」

「ち、ちょっと遠く行こうよ!誰もいなさそうなとこ、噂されちゃうよこんなんじゃ」

「人気がないとこ行って何する気かな~あれだけしたのにまだ足りないのかな~」

「し、しないからそんなこと!」

「あははははは。わかってるよ。からかっただけ」

そんなこんなで花火の時間を待つ。
焼きそばもたこ焼きも、あーんしながら食べさせあった。

「そうだ、ポテトはお互い端っこ食べていってポッキーゲームみたいにしようよ」

「は、恥ずかしいよ///」

「もっと恥ずかしいことしまくったのにねw」

「そ、そうだけど!公共の場だからっ///」

「でもわざわざ人いないとこ来たし、いいじゃんポッキーゲームくらい」

「...わ、わかったよ///その代わり、大人のキスはダメだよっ!///」

「大人のキスって何かなあ?どういうキス?説明してみてよ。」

「あ、いや、だから///し、舌と、舌をからめ...」

「実際やった方が早いか~」

「人前!人前だから!あんま人いなくても!///」

「ちぇー。わかったよ。じゃあポテトでポッキーゲームするのと、普通のキスするだけにしとくよ」

ポテトの端と端を咥え、食べ進めていく
そして、唇が触れる

ちゅーーーーっ

な、長くない!?

「長くない!?」

「時間の指定まではしてないもーん。」

そんなに俺と長くキスしたかったんだなってのが感じられてとてつもなくかわいかったりする

昔は、こういうの(といっても付き合う前はキスして、みたいにねだるくらいだったが)からかいたいからやってるんだと思ってた。
...いや、良く考えれば好きじゃないとそんなこと言うわけないのは分かるし、心の底では気付いてたのかもしれないが

でも今は好きで好きでしょうがないからやってるんだなってのがわかって、凄くかわいらしくて、凄く愛しく思える。


……

オレは…

高木さんに言おうかどうか迷ってることがある
……
もう半年位もしたら高木さんとオレは高校を卒業する。
もちろんその先もずっと一緒にいるって決めてる。高木さんもそれは同じだ。
そして、高木さんも今年度のうちに18歳になる。……つまり結婚できる歳だ。

……高木さんが18になったら、結婚してくれって。この夏祭りで言うかどうか……

すぐにでも結婚したい。それは確かだ
ただ、高木さんも俺も同じ大学に行くつもりだ
大学生、働いてもいない状態で、高木さんを支えてない状態、養えてない状態で結婚しちゃってもいいのだろうか
もっといえば、大学落ちたら(浪人生だけど)ただのプー太郎だし。高木さんは受かってもオレと一緒に浪人する!って言い張って絶対譲らないだろうし(だから絶対落ちれないわけだけど)

そんなかっこ悪い状態で、結婚だなんて…していいのだろうか。

ドーン!
花火が打ち上がる

「西片、花火あがったよ?綺麗だね」

「……」

ちゅっ
ほっぺにキスされる

「わっ...///び、びっくりした~」

「花火そっちのけで考え事してるからだよ」

「うん。ごめん」

「……そんなに悩まなくてもいいと思うなあ。...私はね。西片がずっと一緒にいてくれるだけでいいんだよ。西片がいるだけで支えになってる...ううん。もっとだね。生きる意味になってるんだからさ」

こ、心を読んだ!?

た、高木さんはそう言うけど。……やっぱ悩んでしまうよなあ。

「いつでもいいよ?西片がいいと思ったタイミングでさ」

「...な、何のことかな...///」

「さあ。なんだろうね。……花火見よっか」

ドーン。ドーンと花火が打ち上がる。

綺麗だ。高木さんと一緒に見てるから綺麗なんだろうな。

ふと高木さんを見る。高木さんと目が合う。
ピカッ。ピカッと定期的に花火の光に照らされる高木さんが綺麗だ

「花火も綺麗だけど、それ以上に花火の光に照らされた西片に見とれちゃうかも。」
「……西片も目が合ったってことはひょっとして同じ気持ちなのかな?」

「そ、そんなこと…………あ、...あるけど///」

「嬉しいな///」

手を繋ぎながら、お互い時折、お互いの、花火に照らされる顔を眺め、高校最後の夏祭りを楽しむ。

やがて最後の花火が打ち上がる。
ドーンとひときは大きい花火が打ち上がり、高木さんの顔が明るく照らされる。
淡い光を纏った高木さんの顔はとても綺麗で、天使のような、女神のような……いや、天使や女神なんかより高木さんのが無限倍かわいいし愛しいから、そんな表現は不適切か。
とにかくかわいくて愛しかった。
やがて打ち上がった花火が細かい光の残滓となり散っていくと...

ちゅーっ
口に高木さんの唇が触れる

「…西片が私の事かわいいって、愛しいって思ってくれて、うれしくて。ついしちゃった。」

また心を読んだ。
でも悪い気はしない。

とりあえず。いつ結婚申し込むかは
もうちょっとゆっくり考えようとおもう。
指輪も買わないとだし...結婚式もあげたいし
そんなこんな考えながら手を繋いで歩くと
高木さんの家に着く

「じゃあまた明日ね。西片」

「うん。また明日。高木さん」

「明日はみっちり勉強だよ」

「わ、分かってるよ!」

ジメジメ蒸し暑い熱帯夜
高木さんとオレの将来を考えながら
家路に向かう

第179話 完

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