からメシ 第168話 高木-takagi- 勧誘

元から圧倒的な力量差があって
圧倒的な点差があって絶望的だったけど
逆転出来るかもしれないと思っても
負ける時は呆気なく終わる

負けた

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椋「ほんならね~」

丹羽「…」

すみれ「…」

加賀城「><」

~~

インターハイということで終わって退室すると取材陣に取り囲まれた

もちろん全国最強クラスの強豪校のエースで圧倒的な点数を稼ぎ、日本代表メンバーに内定してる椋さんが一番取材陣に取り囲まれてるけど

その椋さんに公式戦で一番失点させたのが私ということらしくインタビューを受けた。
内容はよく覚えてない。日本代表選手にダブル役満食らわせた感想とかきかれたけど
圧倒的大差で負けたんだ。悔しいしかない。

~~

行長「お疲れ。千尋」

椋「うん。」

行長「なかなか苦戦してたね」

椋「最初は余裕かと思ってたけど、なかなか手強かった。特に小豆島の鷹川。役満振り込むなんて産まれて初めてだよ」

行長「その割にダントツだったけど...。」

椋「多分二回戦の相手より手強いよ。運がなかったね、この組の3校は。次は全校飛ばし終了するよ。」

行長「あんま調子に乗っちゃダメだよ?」

椋「分かってるよ」

ちなみにこの2日後、椋千尋は大将戦で本当に全校飛ばしして準決勝に進出する。

~~

丹羽「ごめんなさい。私のせいで...」

先輩A「いや...あれはもうしょうがないだろ...」

先輩B「初戦千里山の時点で覚悟はしてたからなあ」

丹羽「知代子はあんな凄いのと中1の時に戦ってたのね...私も少し自信失っちゃったわ」

高橋「でも続けるでしょ?麻雀」

丹羽「当然。次こそ絶対、椋を倒すわ。」

~~

加賀城「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい。」

戒能「まあしょうがないよね~~。当たり牌分かっても手牌全部当たり牌にされるとか普通有り得ないしさ~~。まあ私はもう一年あるし」

部長(私らは最後の夏なんやが...まあでもあれは仕方ないか)

~~

すみれ「……負けちゃった。...ごめん」

高木さん「頑張ったね。すみれちゃん。」

六車「せやな。椋千尋の連荘4回止めてダブル役満和了ったんや。ようやったよ、お疲れさん。」

すみれ「でも、最後の振込...もうちょっと気をつけてたら...いや、前半戦東場でもっと早く止められてたら...」

六車「やろうと思っても出来なかったんならどうやってもできなかったんや。しゃあないわ。最善を尽くした戦いやったよ。」

すみれ「でも...悔しい......」

六車「そうやな。」

高木さん「...西片。ちょっと会場内散歩でもしよっか」

西片「え、いいけど...」

~~

西片「高木さん、どうして席外したの?」

高木さん「...私たちいたら泣きにくいかなって。すみれちゃん。助っ人で20日程度の私とじゃかける思いも違うからさ。友達に泣いてるとこ見られたくないだろうし」

西片「そっか。」

高木さん「あんまり悔しさも感じてない私があの場にいちゃダメかなって思って」

西片「そんなことないよ。...ていうか高木さんいちばん活躍したし、かっこよかったよ?」

高木さん「ありがと。西片」

???「小豆島総合の高木選手だよね。ちょっといい?」

~~

数時間前 深夜
ビデオ通話

神之浦「おい、嶋貫、八、才神、起きてっか!」

嶋貫「萌ちゃん何時だと思ってるんですか。今」

才神「こんな時間に怖いですよ」

八道「明日も解説の仕事あるんですけどー。ていうか変わってくれません?C卓の実況。椋さんトラウマ化してて...」

神之浦「わーったから!」

神之浦「小豆島総合っていつぐらいまで東京いるか分かるか」

嶋貫「1回戦敗退ですし小豆島総合は個人戦には出れませんし、公立校で資金も潤沢じゃないでしょうからね。割とすぐ帰っちゃうかと」

神之浦「じゃあさっそく試合終わったら声かけるわ!プロにならないかって。世界ジュニアのメンバーも決めたいしな。レギュレーションによっては」

嶋貫「萌ちゃんほんと高木ちゃん推しですよね。あの子だけちゃん付けだし。...でも実際問題1回戦先鋒で活躍したのは牌譜無しの状態からの奇襲が決まったのが大きいと思いますよ?
弱点が明白で守りは薄いですし、ダブロンルールだったら2位に転落してましたし私は行長さんや戒能さんのが良さそうな気がしますけどね。」

八道「初見殺しって感じの能力ですからね割と。強いですけど。むしろ小豆島なら鷹川さんのが厄介な気も...」

嶋貫「規格外の椋千尋や白築慕はもちろん、行長や戒能以外にも、沢良のサラとか、長点上機の鈴科、姫松の善野、翠ヶ丘の琴浦、臨海のフレンダ、朝酌に至っては全員プロに引き抜けるレベルですし...世界ジュニア候補は多いですよ」

神之浦「わーってるけど、レギュレーションによっては最強レベルになり得るんだよ。例えば一荘戦とか」

才神「半荘二回のインハイと違うんですか?それ」

神之浦「大違いだよ。西場があるだろ一荘戦には。西場に入らせたら多分俺でも敵わない。ま、入る前に飛ばすけど」

嶋貫「一荘戦個人なら25000点持ちで、薄い守りやわかりやすい弱点を付かれて西入までに飛びも多そうですけど、100000点持ちの団体戦なら起こりにくいでしょうし...たしかに」

才神「まるで西場だと和了り続けるみたいな言い草ですがほんとにそうなんですか?」

神之浦「やってみねえとわからねえけど、おそらくそうだ。あと、男女混合タッグとかだと無双しそうだな」

嶋貫「?どうしてです?」

神之浦「高木ちゃんといつも一緒にいる男いるだろ?映像にもたまに写ってるけど。高木ちゃんの強さの源は多分だけどあいつだ」

嶋貫「えええ、それはやりすぎでは?その男の子の実力も分からないのにふたりともプロに抱えるなんて」

才神「...でも高木さん、かわいいですし瑞原はやりとかと麻雀アイドルユニット組ませるのもありかな~なんて」

神之浦「俺はそっちはどうかと思うけどな。だいたい彼氏いる子にアイドル勧誘て...」

~~

高木さん「神之浦さん。でしたっけ、私たちの試合の解説してた...」

神之浦「ああ。一応日本代表の先鋒やってる。ちょっと話いいかな?」

高木さん「西片...。彼も一緒で良ければ」

神之浦(なるほど。西片君か。なるほどだから西で24で片和了、片牌シャボなわけか)

神之浦「まどろっこしいの嫌いだから単刀直入に言うけど、プロにならないか?」

高木さん「お断りします。」

神之浦「おお。随分即答だな。」

高木さん「プロっていったら、日本中、世界中を飛びまわるんですよね?私にはなによりも大事な人がいるんです。
彼を置いて世界中を飛び回るなんて絶対できませんし、したくありません。嫌です。」

高木さんが俺の方を見る

神之浦「そうか。高木ちゃんが彼、西片君のこと大好きなのは、今ここで見ただけでも分かる。
だけど、なにも置いて、なんて言ってないぞ俺は。そんな二人の間をさこうなんて酷たらしいことするつもりは無い。もちろん彼も毎回一緒に同行できるようにするし、
正直な話、西片君とのペアでタッグマッチなんてのも考えてたくらいだ」

高木さん「すみませんがお断りします。私は、西片とずっと一緒にいるのはもちろんですが、私の都合で西片の人生を振り回したくなんてないんです。」

高木さん「彼...西片は、先生になろうって目標も見つけて努力してます。ちょっと大会で活躍したくらいで、その西片の努力と目標も潰したくないです。」

高木さん「私にとっては...西片のそばに一生いて一生西片を支えづけるのが人生の夢なんです。だからプロの話は諦めてください」

神之浦「...わかった。ごめんな時間取らせて」

才神「あら、萌ちゃんどうしたんですか?...あ、高木さん。ってことは昨日言ってた勧誘ですか」

神之浦「まあそうだったんだが……ってお前解説はいいのかよB卓の」

才神「島根の朝酌女子の中堅の森脇曖奈が石川の鞍月高校と茨城の大甕商業飛ばしちゃって、B卓もう試合終わったとこなんですよ。それより勧誘ですよね。」

神之浦「いや、もうその話は」

才神「そうだ、高木さん。アイドル雀士とかどうですか?高木さんなら」

高木さん「お断りします。...というか大勢に注目されたりキャーキャー言われるの自体嫌なので...。
私は好きな人ただ1人に見てもらいたいって思ってるので」

また俺の方を見る。高木さん。嬉しいけど、なかなか恥ずかしい///。でもそう言ってくれるのは嬉しい。

才神「えー勿体ないですね。」

西片「お、俺としても。高木さんがやりたくないと断っている以上...高木さんはプロにもアイドルにもさせませんからっ!絶対」

高木さん「西片...///」

神之浦「ごめんな。二人とも。じゃあ、達者でな。あ、俺が小豆島行くことあったらその時は高木ちゃんの気が進めば打とうや。もちろん単純に麻雀打つだけ」

高木さん「はい。それなら。」

~~

才神「萌ちゃんいつもオラオラ系で自分のしたいこと押し通しがちなのに、すんなり諦めるんですね高木さんのこと。かなり推してましたよね。」

神之浦「お前ディスってない?。...いや、俺が自分のやりたいこと押し通しがちだからこそだよ。
高木ちゃんの西片君を一生支えるなんて、人生かけたやりたいことを、押し通させないのは筋が通ってねえだろ。」

才神「なるほど。実力があるのにもったいない気もしますが」

神之浦「このままプロの話進めたらその実力とやらも消えてなくなるだろうな。あの闘牌は彼女のあのスタイルとスタンス、生き方だから舞い降りたものだよ。」

才神「そうですか。」

神之浦「ま、世界大会も世界ジュニアも椋千尋と白築慕がいたらどうとでもなるだろ。他にも有望株いっぱいいるしな」

才神「今日実況解説しながら見てましたが、朝酌女子ほんとヤバい強いですよ。去年秋の九州大会優勝して選抜もベスト8入りした九州赤山も含め手も足も出ない感じでしたからね」

才神「それか小豆島の鷹川さんの方スカウトしてみては?」

神之浦「そうだな。そっちならいいかもな。椋千尋を4回も止めて、椋からダブル役満和了ったのはかなり評価できるしな」

~~

「高木さん。さっきの話良かったんだよねあれ。俺は高木さんと一緒にいれるなら別にプロ雀士でも...」

「西片、言ったでしょ。西片を振り回すんじゃなくて、西片を一生支えるのが私の夢だって。そもそも私も助っ人で出ただけだし、
そんな事で西片がせっかく目指した先生への道を閉ざしたくないよ。西片一生懸命勉強してるのにさ。」

「そっか。ありがとう。高木さん」

「いえいえ。……というか断ったのも私が西片をずっと支えたいからって理由で私の意思だからさ。お礼言われるようなことじゃないよ」

「そうかもだけどさ」

「...そしたら、西片。手、つなごうよ。」

「うん。」

「離さないでね。」

「当たり前だろっ」

「私も離さないから。」

高木 -takagi-シリーズ
カン
(一応)

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