からメシ 第173話 サービスエリア

さて今日は小豆島に帰る日だ
といってもうちの高校は公立のしかも今まで弱小だった高校なので、当然全員飛行機みたいなブルジョワなことは出来ない。

1回戦敗退して個人戦にも出ないチームや、1回戦敗退かつ個人戦に出ないメンバーは予算的に帰したいような高校を中心に各方面ごとに高速バスを出してくれる

有料だが高速バスな分新幹線よりは安い
まだ夜が明けたばかりくらいに荷物をまとめる。わざわざ高木さんが俺の部屋に起こしに来て荷物まとめを手伝ってくれた。

といっても経路は西に1経路(広島まで)、北に1経路(岩手まで)である。
さすがに47都道府県を網羅できる訳では無いし、あまりに遠方な県は帰りが深夜や翌日になるので行われていない(諦めて新幹線か飛行機で帰るしかない)
四国には行ってくれないから岡山から電車かフェリーになるが、まあ小豆島は岡山まで行ければこっちのもんって感じである。

そんなこんなして早朝7時。高木さんとバスに乗る
もちろん隣の席

しかし女子大会で男子とかオレくらいしかいない。正直相当恥ずかしい

「窓際交換しながら乗ろうよ。...あれ?西片恥ずかしがってんの?」

高木さんにはすぐバレてしまう。

「マネージャーなんだから恥ずかしがることないよ。」

「そ、そうだけどさ...///」

そんなこんなして1時間弱で朝食休憩
海老名サービスエリアに到着する

こんな朝からサービスエリアの朝食はやってる

「西片!特大アジフライだって!気になるなあ」

「でも朝から特大アジフライってきつくない?」

「そういう時はさ。2人でひとつのアジフライ食べようよ。半分こならたべられるんじゃない?」

そういうわけで特大アジフライを注文だ

「せっかく半分こだからお金も半分こにしようよ」

と高木さんが言うので半分ずつ出して注文した。
出来上がると音が出るやつのブザーがなる

「大きいね。西片。」

「これ昼とか夜にお腹すいててもひとりじゃ食べきれないかもね」

手よりもでかく30cm近くはあるんじゃないかというサイズ感。そして分厚い

「西片からどうぞ」

「た、高木さんから」

「私は、まず西片が食べてる顔が見たいからさ」

アジフライを頬張る

「美味しい!分厚いからジューシーな感じで食べ応えあるよ」

「私もいただくね。本当だ、美味しい!たしかにこの分厚さはアジじゃないみたいだね。タルタルソースがまた合う~」

「「ごちそうさま」」

バスに戻る。
バスが発車ししばらくすると
大きな富士山が見えてくる。

「見て見て、西片。富士山だよ。しかも大きい」

「ほんとだ。綺麗だね」

「夏だから雪は無いけどね~。あ、そうだ、西片。中二のときだか富士山行きたいね。って話してたよね。西片」

「そんなこともあったっけ。」

「好きな人と行きたいな~って言ってたよ」

「そ、それは高木さんじゃなかった?///」

「あははは。そうかも。でもさ、今は西片も同じ気持ちでしょ?だからさ、行こうよ西片。富士山。大学入ったらさ」

「うん。行こう!」

「約束だよ。」

そんなこんなして富士山を眺めていた
富士山が見えなくなってきた頃、高木さんがオレの肩にもたれかかってきた。

「寝ちゃったのか。」

高木さんはこういう状態で寝ちゃうと必ずオレにもたれかかってくる。心から信頼して安らげるというのを本能レベルで感じてくれてるんだと思う。

かわいいな

オレも高木さんにもたれかかって寝てしまうか。
お互いもたれかかりながら、手を繋ぎながら...

すると高木さんが一言。

「好き。西片っ」

寝言でまで好きと言われる。
...オレも...好きだ。大好きだ
かわいいな

しかし
「ああん。西片ぁっ❤。おっぱい吸っても出な」

「わあああああああああ///」

な、な、何言い出すんだ高木さん///なんちゅう夢みてるんだ///

すみれ「ど、どうしたの西片君、大声出して」

高木さん「起きちゃったや。どうしたの?西片?」

西片「な、なんでもない、なんでもないです///寝ぼけただけっ///」

高木さんめ
寝てる時すらこうやってからかいにくるのか///

すると高木さんが「私寝ぼけてなんか言ってたのかな」と聞いてきた

「いや、別に、そんなこと///」

「なんか言ってたんだ?なんて言ってたの」

「知らないっ///」

「西片が顔真っ赤になるようなこと?」

「し、知らないよっ!第一、見た夢思い出せばだいたい分かるだろ!?」

「あ、それもそっか~。なるほど。」

と高木さんが言うと耳元で小声でささやく

「夢の中で、西片と赤ちゃんごっこしてたんだ~。今度しようね。吸わせてあげるよ?」

「し、しないからっ///ていうかそういうことここで言わないのっ!」

「あははははは。西片が恥ずかしがると思ってせっかく小声で言ったのに、西片がオーバーリアクションするからバレバレだよ~」

全く、高木さんめ

まあそんなこんなしてるうちに眠気が来て
高木さんとオレ、お互いにもたれかかりながら眠りについた

そんなこんなして昼過ぎ
刈谷サービスエリアについたところで起きた
食事休憩である。
とりあえずトイレを済ませ
サービスエリアの飲食店に

早速注文
「俺はエビフライ・味噌カツ定食にしようかな」

「西片、愛知だとえびふりゃーっていうんだよ。言ってみて」

「え、えびふりゃー」

「西片かわいい。」

「なっ...///た、高木さんの方こそ言ってみてよ///」

「えびふりゃー」

か、かわいい。かわいいぞこれ

「た、高木さんの方こそ...」

「私の方こそ何かな?」

「な、なんでもないっ///」

「あははははは。西片の顔の赤さからだいたい何言いかけてくれたのかわかるけどねー。私は名古屋コーチンの親子丼にしよー」

高木さんめ!

程なくして料理ができ上がる
もう言わずともオレたちの基本だが、食事は分けっこだ

「高木さん。美味しいよ。味噌カツ初めて食べたけど、味噌とカツって合うんだね」

「ほんとだ。合うね。エビも大きくて食べ応えあって、ぷりっぷりで美味しい。エビもお味噌と合うんだね~。あ、西片。名古屋コーチン親子丼も美味しいよ。食べてみて。」

「ほんとだ。卵が半熟で、コクと旨みが強くて美味しい。卵も名古屋コーチンみたいだね。」

そんなこんなで話しながら昼食をとる。

「ここって観覧車とかゴーカートもあるみたいだよ。おもしろいね。行ってみよっか」

「そんな時間あるかな~」

「昼休憩1時間あるし食べ物提供早かったし大丈夫じゃない?どっちかなら」

「...そうかもね。どっちいく?」

「うーん。難しいけど、観覧車は西片と乗ったことあるからさ」

「えーっとたしか...///」

「高一のクリスマスデートのときだよ。夢中でキスしまくったじゃん。舌絡めてさ。」

「言わないでよっ///恥ずかしくなったから言い淀んだのにさっ!///」

「あははははは。じゃあゴーカートやろっか」

そんなわけで、ゴーカート乗り場に行く。

「どうする?一緒に乗るよね?」

「もちろん。」

「どっち運転する?」

「西片からどうぞ~」

から?高木さんも次運転するんかな

「...免許取ったらさ、一緒にドライブしたりいろんなところ行こうよ」

「うん。そうだね」

「西片、ハンドル切らないと曲がりきれないよ」

「わわっ!」

何とか曲がれた

しばらくすると高木さんが俺の脇腹あたりをにやにやしながら見ている

「つついちゃダメだよ!?」

「そんな事しないよ~。ていうか壁にぶつかるよ?前見て?」

「わわっ!」

また何とか曲がれたけど...

「免許取れないかもね。こんなんじゃ。西片下手っぴだね。」

「た、高木さんはどうなのさっ!」

そうして攻守交替する

「ドライブ楽しみだね。免許合宿一緒に一緒のとこに申し込もうよ」

「うん。」

「部屋も一緒の部屋だよ?」

「ええっ///」

「あはははは。西片顔真っ赤だよ。」

「高木さん危ない!前見て、前!」

「おっとっと」

「高木さんも上手くないじゃん!」

「そうだね~。だから一緒に上手くなろうよ。免許とる時にさ」

「うん。」

そんなこんなでゴーカートを楽しんだ

「高木さん、バス遅れちゃうよ!あと3分!」

「ゆっくりしすぎちゃったね」

バスまで走った。

何とか間に合い息を切らしながらバスに乗る。

「間に合ってよかったね高木さん」

「うん。まあ、間に合わなかったら間に合わなかったで西片とどっかで一泊して帰るからよかったんだけどね」

そして耳元で小声で
「もちろん朝まで、ずーっと西片とひとつになって、愛し合ってさ」

「そ、それって...///」

「うん。セック」

「言わないでっ///」

「あははははは。顔真っ赤だよ西片。」

高木さんめ

そうしてバスに揺られてるうちにオレと高木さんは眠りにつく。
そんなこんなして。
岡山駅につき電車でトコトコと高松駅
そして、フェリー最終便で土庄港につく

すみれ「高木ちゃんありがとね。試合の助っ人出てくれて。お陰で全国大会とっても楽しめたよ」

六車「そうやで。ありがとうな高木ちゃん。ほんまに。恩人や」

高木さん「いえいえ、どういたしまして。」

なんだかんだ高木さんと東京行けたのは楽しかった。

六車「お前らは来年の全国、全力で目指すんやで。」

すみれ「全国大会行けた秘訣、対戦相手の研究、忘れずにね。」

後輩たち「はい!」

こうして高木さんが突如助っ人に入った
小豆島総合高校の麻雀部の全国大会は幕を下ろした

「私部活入ったこと無かったから楽しかったや」

「俺もマネージャーっての初体験で楽しかったな」

「まあただ、西片との時間こそが私にとって大事だからね~。部活っていってもこういう一時的な助っ人、ってくらいまでだな~」

「俺も...そうかな」

そういうと高木さんが肘で軽く脇腹をつんとして

「私との時間のために、高校は陸上部入らなかったくらいだもんね。西片も」

「...///ま、まあそうだけどさ。......帰り家まで送ってくよ」

「ありがと。いつも送ってくれて」

「いえいえ。」

「そしたらさ、西片。コンビニで肉まんでも買って食べながら帰ろっか」

「そうだね。あ、そうしたら俺ピザまん買うよ」

「うん。半分こしてたべよう。あ、もちろん半分に割るんじゃなくてお互いかぶりついて間接キスね」

「...わ、わかってるよっ///」

「あははははは。顔赤いよ」

帰りは仲良く肉まんとピザまんをかぶりついて
分け合いながら、高木さんを家へ送った

第173話 完

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