約束

関係の形が違った

僕にとっていい友達のような

きっと同じ時代を生きれたら

もっと面白かったんだろうな

似てるんですね

いっつも照れくさそうに

ニコニコして

かわすお酒は美味かった

焼酎が9に対して、水が1の割合

グラスに氷をぎっちり

氷が溶けてなくなると

氷を足してくれた

焼酎9:水1でも

氷が溶ければ1が2になり3になり

一杯の焼酎をちびちびと時間をかけて

そしてたまにお祝いで回転寿司にいけば

今日はいたずらに日本酒でも飲もうかな？

って言いながら

つぶ貝・赤貝と

貝づくしをあてに

なんか粋だろ？と言わんばかりの

あなたは高倉健さんか？

自分不器用なんで

なんて健さんは言ってないって言ってたよと

夜中に昔は家を抜け出し

飲みにこっそり行ってたらしく

酔いに酔い

酔っ払って帰って来て

階段から落っこちたから

みんな気づかれちゃったってニコニコしながら

いっつも照れくさそうに

楽しそうに

まーくんまーくんと嬉しそうに声をかけてくれて

出会って1年半

すごく楽しい時間だった

あるとき畳の上に椅子を置き

今日は食欲がないんだ

好きな焼酎の水割りも全くいうほど飲まず

醤油をたっぷりつけて食べてた刺身も食べず

でも

俺がちゃんと働いてたのをまーくんに見せっからね

とニコニコしながら給与明細やいろんな資格を見せてくれて

義兄からの手紙をラブレターだといって見せてきたけど

あれは俺が見ちゃダメだと言ったら

いいのいいの！そういうこともあったんだ

今思うとたった1日で自分の79年の歴史を

教えたかったんだね

足りないよ

ぜんぜん足りない

もっともっとあったでしょ

毎日ひとりでナスを漬けて

誰と喋ることもほとんどなくて

たまにわからないことがあれば

僕に電話してきて

隣で奥さんが早く電話切っていいよ

しつこくなるからって言ってたけど

ぜんぜん面白かったから問題なし

でも

もう30分早く電話出来てたら

毎日の日課のように朝電話してたら

電話しようとしてたんだよね

ごめんね。

前日に気づいてあげれたらって

それだけが悔やまれるんだよ

『今日は見送りしないからな』

わかってたんだよね？

今日は泊まってくんだろって

不安で不安でしょうがなかったから

泊まっていってくれなんて言うのも悪いからって

思ったんだもんね。

泊まればよかったね

あれからね

お酒は飲まないんだよ

特別な友達や大切な存在の人としか飲まないんだよ

家で奥さんと晩酌なんかしないし

特定の人としか飲まない

飲み友達が減っちゃったよ

もう気づけば2年も経ったよ

早いのかな？あっという間なのかな？

自分は初めて親父っていいなぁって思えた

血の繋がらない親父だけど

あなたはやっぱり親友だ

心の友だ

義父が好きだなんて思う

義理の息子なんて滅多にいないんだろうなぁ

もう何十年前に会ってたら夜の街に一緒に行ってただろうね

お互いに似てるなぁって思ってたもんね

直の息子娘に言えない、話せないこともあるしね

そして

あなたとの約束

ちゃんと守るからね

最後まで

あなたは黒板五郎のようなひとだった

お互いに素直になれれば楽になれる人間のはずなんだけど

天邪鬼だからね

ほんとは嬉しくて楽しくて

素直に出せないだけの人間

またいつか一緒飲もうね

もう二年

あっという間の二年

一緒飲めた期間より

ちょいとだけ長いね