文献まとめ サルコペニアと栄養療法②
こんにちは。昨日はサルコペニアと栄養療法について続きをまとめていきたいと思います。
今回も
『サルコペニアと栄養療法』 西岡心大
CLINICAL REHABILITATION Vol.29 No.12 2020.11 の続きですね。
今回はまず、栄養療法の視点で
・栄養療法の実践
についてです。
それではまとめます。【】部は本文引用です。
リハビリテーションにおける栄養療法の実践
回復期リハ病棟におけるサルコペニア患者に対する栄養療法についてが取り上げられておりました。
僕自身回復期で働く言語聴覚士ですが、特に回復期で働く方には参考になるかと思います。もちろんその他の方も参考になると思います。
【回復期脳卒中患者では48~52%、大腿骨近位部骨折患者では55%、肺炎後廃用症候群患者では93%がサルコペニアだと考えられ、日常生活動作、摂食嚥下状況、自宅復帰後のリハアウトカムとの関連が認められている】
具体的な数値ですね。肺炎後廃用症候群患者さんのほとんどというのはすんなりイメージされると思いますが、回復期脳卒中患者、大腿骨近位部骨折患者でも約半数はいるということですね。他の研究では4割という結果もみることもありますが4~5割がいるということすね。
多いですね!
入院時にすべての患者さんに対しサルコペニアかどうか、またどのくらいなのかをしっかり評価しておくことが大切です。
自分の病院でも行っておりますが、まだすべてのリハスタッフが栄養を意識しながら負荷量を調整しているとは言いにくい現状があります。
ちなみに今年はリハ栄養の科内で勉強会を開く予定で、そこから単に業務に落とし込むだけでなく、興味をもってみんなが進めていければいいなと感じております。
生活場面からの消費カロリーの予測、負荷量を意識など根拠をもって出来るようになればいいかなと。
【一般的に退院時に介助の有無は問わず歩行の獲得が可能であればサルコペニアを改善する意義が大きい。反対に、機能予後が車椅子レベルであれば、栄養療法が十分でも負荷の大きな練習が実施できないためサルコペニアは改善しにくく、かえって体脂肪が増加することがある。この場合はサルコペニア悪化予防がゴールとなる】
これも大事な視点ですね。まずゴールをどこに置くか決めなければなりませんね。車いすの方にカロリーを同じようにどんどん摂取すると摂取過多になり、脂肪だけ増えていってしまいますね。
低栄養だからカロリー摂取、サルコペニアだからカロリー摂取とはいきませんね。リハ栄養は運動とセットと言われ、やはり運動がどこまで出来る、しているのかも同時に把握、意識しておくことが必須ですね。
栄養摂取量について
よくHarris-Benedict式にて算出されることが多いですね。
僕の病院では栄養士さんが計算してくれており、電子カルテ上で確認できるようになっています。そのような病院が多いのではないでしょうか。
そして、サルコペニア患者さんに行われる栄養量について
【算出した基礎代謝量に行動因子と侵襲因子を乗じ、200~600kcalのエネルギー蓄積量を付加する。】
とあります。ただ、ここで行動因子に着目しなければなりません。上の図を参照ください。その方の活動レベルに合わせて必要量を算出するようにします。生活状況から消費するカロリーも考えて摂取量は考えなければなりませんね。
僕は以前あまり詳しく考えず、栄養士さんの算出してくれた値だけをみていましたが、自身で勉強すると原理が分かってこれも面白いですね。
病院で働く方はチェックしてみるといいと思います。
エネルギー蓄積量の設定。ゴールに基づき設定する。
【体重1kg増加のために必要なエネルギーは7000kcalとされている】
目標とする増加量を掛け、日数で割った量を必要栄養量に追加するようです。
例 4月後に5kgアップが目標なら
{7000(kcal)×5(kg)}÷120(day)≒300kcal ⇒1日の必要栄養量に300追加
といった具合ですね。
また
【分岐鎖アミノ酸や、その一種であるロイシン、ビタミンⅮ等を強化した栄養補助食品が回復期リハ病棟入院患者における筋量や筋力、ADL改善に効果があったとする報告が数件あり、こちらを選択肢としても良い】
ともあります。
分岐鎖アミノ酸とはBCAAとよばれ、必須アミノ酸の中でも筋肉の合成に良いとされています。よく筋トレのサプリでも目にすることがあるかと思います。聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。
画像:森永製菓株式会社HPより引用https://www.morinaga.co.jp/protein/columns/detail/?id=55&category=health
これも栄養士さんと共同しながら進めていくことかと思います。
ちなみに森永製菓さんのHPにはBCAAを多く含む食材も載っていました。
画像:森永製菓株式会社HPより引用
こういったことも参考に食事を考えていくことが大事ですね。
他にも、
姿勢や上肢の動きなどはPTさんやOTさんに
内部疾患や体調、生活場面などについては看護師さんに
現在服用中の薬剤の影響などは薬剤師さんに
全体を医師に
と常に皆で協力しながら進められれば最高ですよね。
自分のようなSTなら、それらを摂取するに辺り、嚥下機能はどうかなどを評価し、安全に栄養補給できる手段を考えていきます。
お互いの業務があるなかでのことなので、積極的に、能動的に動けるかどうかによって関りが変わる気がします。
誰も声掛けをしなければ重大ケースでない場合スルーされてしまう現状もあるのかなと思います。何かあってから気づくというような。それは避けなければいけないと思います。
何が言いたいかというと、フットワークの軽さが大事ということです。
何でもそうですけど、特にリハ栄養を考えた時にそう感じます。
フットワーク大切にしたいですね!
はい、では今日はここまでで終わろうと思います。
この文献についてはもうちょっとだけ続きます。
とても参考になる文献で、また一つ知識がついたかと思います。
皆さんにも何か参考になれば幸いです。
ここまで読んでいただきありがとうございまいた。
またよろしくお願いします!
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?