ポジションペーパーはリアクションしかない
シェアリングエコノミーでポジションペーパー(意見書)を組織向けに作ってみたのですが、おもしろい結果が出るものだな、と改めて思います。
ペーパーは4種類あります。報告書、提案書、意見書、命令書。報告書は受け取るだけ、提案書は聞くだけ、命令書は言われたことを履行するだけ、そして意見書はリアクションするだけです。
どのリアクションも、実は正しい
今回、シェアリングエコノミーの会社で意見書を出してみて、どんなリアクションがあったか、実例を示しながら書いていきますが、基本的にどんなかたちであっても正しい、とされています。
社長
提出に対してひとことのあいさつもなければ、自分のかわいい部下である営業本部長にその対応を丸投げし、まったく音信不通。
営業本部長
指摘されたことに同意しつつも本質を理解できず、自分が直面している課題にすり替えてスルーも、他に提出された人を捜索中。
マネージャー
無反応でノーコメント。そして私に近づいてこなくなった。
主担当
ノーコメント。感想もない。
同僚のパートタイムたち
Aさん:まったくその通りだ、自分でできることを探し、実行したい。と実行にうつす。
Bさん:モヤモヤ感がなんであるかわかった、と感想を寄せる。行動に至らず
Cさん:大切に保管し、なにかおかしいと感じたら読み返してみる
事実に基づく真実をつきつけられたとき、人はどんな反応を示すか、ということに意見書のテーマがあります。そしてなるべく多くの人に提出され、同じ時期に見てもらうので、どの層が何に注目しているのかを確認する目的も備わっていたりします。
これは私の見解ですが、上記のリアクションを見ていると、現場ほど課題を実感しているが、経営層に行けば行くほど他人事である、ということが見て取れます。しかし現場でもなんとかしなきゃ、と思って行動に移す人と、思っているだけ行動を起こそうとしない人に分かれています。
組織として危ないのか、会社としてダメなのか、とかは、人それぞれの勝手な解釈です。
でなければマネージャーの無反応も、社長の丸投げも正義はないわけです。このリアクションリストをみて、「これはダメだろ」と思うなら、何をしなければいけないかも同時に提案しなければいけません。いいと思うなら、同じく何をさらにすればいいかを示さなければいけない、かもしれない。何も感じなくてもいいのです。
つまり、直接的なことに加え、間接的にこの結果を見ている人たちも何らかのリアクションをいつのまにか取っていることを知るべきです。
ここに、あなたの人間性がすっと、出てしまっています。
「この会社、ひどいな」と思った人はどんな人なのか。
「こんな書いてしまって、だめだろ」と思った人は何を根拠にそういう判断をするのか。
「もっといけ!」と感じた人は、何に期待しているのか。
改めて、いまの3つをバックグラウンドをつけてみると、
「この会社、ひどいな」
→ 同じような境遇を味わった「働く人」かもしれません。
「こんな書いてしまって、だめだろ」
→ 採用担当でめんどうなことは大嫌い、協調性でしか人を判別しない人かも。または部下のマネジメントに苦労している上役のひとりかも。
「もっといけ!」と感じた人は、何に期待しているのか。
→ この会社を買収し、誰を追い出すかをはっきりさせたい人かも。
全部ありえるバックグラウンドであり、実際にはこういう判断でこの記事と作者について評価がされていく、ということですね。
意見書は、見た人の「素」が出てしまうフォーマットで、組織の状態を内外で瞬時に判断できるものすごい武器です。ただし、制作は独善的なものを徹底的に排除し、真実をふんだんにもりこみつつも、みんながなんとなく感じている課題やうしろめたさを正確に突く構成力が必要です。ここに、組織に対して中立性が維持できているかどうか、書く人間の質も問われる、ということになりますね。
そして提出者は、誰がどんなリアクションを取ったかを、記録してく。これがパブリックリレーションズの資料になっていきます。
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