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【釣りコラム】ルアーの体積をデジタルスケールを用いて計測する
ハンドメイドルアーを作る人の中でも、樹脂性のものを製作する人は少ないと思われます。樹脂製ルアーは市場に出回る絶対数としては多いものの、いざ製作するとなるとそのノウハウを一般人が手にしようとするとなるとハードルは高いです。
バルサ材をはじめとする密度均質系素材とは違い、樹脂製の密度偏在系素材は見かけの密度を自由に変えられるため、その樹脂の厚みやルアーの大きさでアクションはかなり左右されてきます。
均質系素材と偏在系素材に関しては、以下の記事に述べていますが、かいつまんでいうと、バルサや発泡ウレタンのような中身が詰まっているものを均質系、それに対して空気を溜め込んでいるような樹脂製をのようなものを偏在系と呼んでいます。
この記事ではその研鑽の一端を担うべく、デジタルはかりを用いて簡易な方法でルアーの体積を測る方法を紹介します。
体積=質量
まず、浮力について理解しておく必要があります。真水に働く浮力は物体が押しのけた真水の体積に比例します。(浮力=密度×体積×重力加速度)
浮力とは物体の体積のみに関係し、物体の重さには関係しません。真水の密度は1g/㎤なので真水の場合は概ね体積=質量と考えて大丈夫です。
これを利用してデジタルはかりで押しのけた真水の質量を測れば、体積が求められるということになります。
計測手順
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①ビーカーなどの容器に水を入れ、はかりを0gに戻します。
②ルアーを入れて針金などで底や壁に当たらないように水中に押さえつけます。
③デジタルはかりの数値を読み取ります。この数値が体積になります。
ちなみにルアーは8.0gで、水中に沈めると9.5gで1.5gの差があります。浮かべた状態で浸かっている部分の体積の水が8.0g、 背中の空中に出ている部分の体積の水が1.5gということです。
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研究結果を生かす
冒頭でも述べたように樹脂製ルアーは偏在系素材であり、樹脂の量の調整が設計の肝となります。3Dデジタルでルアーを設計する人なら自分の設計のルアーの密度や体積はモデル上でわかりますが、市販品の樹脂製ルアーは実際に計測し分析しないと、どのようなウェイトバランスでできているかはわかりづらいです。
これはバルサ材や発泡ウレタンのように、見かけの密度が比較的一定の素材であればそこまで気にする必要はありません。樹脂製ルアーをそれらの素材と同じような尺度で密度を知るためには、ルアーの体積に対する樹脂の重さを計算して見かけの密度を算出しなければなりません。
個人でも3Dプリンターや小型の射出造形機が持てる時代、樹脂製ルアーの見かけの密度についてはもっと研究されて然るべきかもしれません。ここで一例としてピーナッツについて密度を測ってみることにします。
事例〜ダイワ ピーナッツⅡ〜
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体積は9.5㎤、重さは8.0g。分解してウェイトを取り出して重さを計測すると全体で2.1g、ウェイトは1.4gでした。差し引くと、樹脂の量は5.9gなのでボディの密度は樹脂の質量5.9g/9.5㎤=0.621…g/㎤ということがわかりました。
密度0.62g/㎤は バルサや発泡材に比べて大きいですが、ピーナッツはおそらく強度を持たせるために樹脂の量を多めにしているのかもしれません。
一見貧弱なフックも、根がかった際にボディが頑丈であれば多少強引に引っ張っても、ルアー回収機でガシガシ取っても大丈夫でしょう。
ミスキャストでぶつけても割れづらいでしょうし、そのあたりの使いやすさが広くアングラーに愛される理由かなと考えています。