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【 3Dプリンタールアー】2 液性エポキシでルアーをコーティングする方法
初めに
私はハンドメイドルアーのコーティングに2液性エポキシを使用しています。色流れしにくいこと、長期間保存できること、厚い塗膜でルアーの強度を高めることの3つが主な理由です。今回は2液性エポキシの取り扱いについての情報をまとめ、ルアー製作に活かしたいと思います。
2液性エポキシとは
2液性エポキシとは、その名の通り主剤と硬化剤の2つの液を撹拌して硬化させる仕組みの樹脂です。熱によって硬化反応を起こすため、熱硬化型接着剤と呼ばれます。液剤中に大小さまざまな分子量の材料が混ぜてあり、それら分子の官能基同士が熱で3次元的に結合し、高分子化する「架橋反応」によって硬化・接着します。
この架橋反応は強固かつ安定しているので硬化後に再び加熱しても状態変化は起こしません。簡単にいうと、2つの液を混ぜて温めると分子レベルで結合しまくって2度と戻せないぐらいガチガチになるということです。
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私はコーティングには「Eセット」とナガシマの「エポキシハンドレットコート」を試していましたが、大雑把な性格なので大体目分量で1:1で混ぜていました。まあ、うまくいくはずもなく大体いつまで経っても固まらないと言ったいわば、硬化不良を起こしていました。
大体ルアーの塗装やコーティングははやる気持ちを抑えきれずにバーっとやってしまうことが多いのですが、最近はルアーの形も安定してきてクオリティに凝るようになってきたことと、積層造形の仕組み上、エポキシにも強度を負担してもらう必要が出てきたのでこのままではいけないと思い、しっかり測ってコーティングしてみることにしました。
注意書きを読み込む
ついつい捨ててしまいがちな説明書。ナガシマの「エポキシハンドレットコート」の裏面には取り扱いが詳しく書いてあるので基本のキとしてこちらを読み込むことにします。
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注意書きによると容量比で1:1と書いてあります。質量比ではなく容量比なので体積を同じにしなければいけません。注意書きの★2つ目を見てみると最低10ccと記載がありますが、ルアー1つにせいぜい必要な量は1ccもありません。
ルアーを一度にたくさん作るでもなければ、⑤によると可使時間は20分しかなく、撹拌の時間も考慮すると10分強なのでその時間で使い切る量はせいぜい3ccくらい、ルアーの個数で言うとベーシックなクランクベイトであれば3-4つくらいかなと言う気がします。10ccを一度に作ると非常に勿体無いのでできるだけ少ない量できっちり計りたいものです。
容量比から質量比へ
学生時代の理科の実験で経験された方も多いと思いますが、容量を計測するにはメニスカスを意識します。端的に言うと液体には界面張力が働くので計量カップ内であれば表面が凹状になります。また、これが非常に確認しづらく、液体は粘性を持っているのできっちり計量カップに入れ込むのはとても難しいです。使用量が多くない場合は電子測りで計測するのがより正確でしょう。
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質量比で換算するために開封前のエポキシの質量を量ります。どちらも30ccずつなので同体積であることを前提とすると質量比はA:B=1.13467…:1となります。容量比で計算するよりも質量比で計算したほうが、剤を入れすぎた場合などにリカバリーが効くのでやりやすいなと感じました。
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こちらが攪拌された試料です。攪拌する際には爪楊枝を用いて気泡が入らないようにゆっくりと優しく混ぜます。この気泡を入れないようにと言うところがポイントで、ヘラや筆ではエポキシが空気を含みやすくなってしまうので気泡で真っ白になりやすいです。
ちなみに今回、1度目はいつものようにドライヤーで少しずつ温めながら気泡を抜いたのですが、ものの数分で水飴状になってしまい、ルアー1つ目を塗り切ることもできませんでした。つまり、正確に測れていれば熱硬化反応によってドライヤーを当てればすぐに硬化が始まるようです。(今までこんなにすぐ固まったことはありませんでした。)
気を取り直して再度同じ方法で質量比を元に計測し、試料を作成しました。ドライヤーで温めることなく、きっちりと5分くらいはゆっくりくるくるとかき混ぜました。
実践する
塗装したルアーを中性洗剤で洗い、水気を切ります。硬化に不必要な成分をできる限り排除します。洗ったあとはできるだけルアー本体を触らないようにリップ部分をもって取り扱うことにしました。
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ナガシマのエポキシはサラサラしていてとても塗りやすいです。今回までほとんどきっちり量ったことはなかったので「ナガシマのエポキシは使いにくい」というイメージを勝手に持っていました。しかし、用法さえきちんと守れば、塗りやすさに加えて硬化時間も気にならないくらいなのでエポキシでコーティングされる方は、ぜひ計測には時間をかけてみてください。