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住まう人の成長や経験をデザインする、U Shareが西早稲田に誕生します

ご無沙汰しております。井上貴文です。

ハーバード大学デザイン大学院(以下、GSD)、アメリカ現地の都市計画・デザイン事務所勤務を経て、この夏8月に4年ぶりに日本に帰国しました。

「日本に帰国したの?」「今何やってるの?」
そんな質問を周囲の方から頂く機会が増えてきました。

結論から言ってしまうと、「U Shareやってます!」ということになるのですが、それでは何も分からないですし、お応えしたことにはならないですよね。笑

そこで今回は僕の近況報告も兼ねて、「U Shareとは何ぞや?」ということについて少しご紹介できればなと思います。

少し長くなるかもしれませんが、お付き合い頂けますと幸いです!


U Shareとは?

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2020年10月にオープンしたU Share 南青山。学生を対象としたU Share 西早稲田とは異なり、南青山には社会人やファミリーが住まいます。

「共に住まい、共に学び、共に成長する。」

U Shareは新たなレジデンス型ラーニング・プラットフォームの創造です。

入居者が各々の過去の経験、現在の取り組みや将来の夢を「シェア」し、また様々なプログラムやイベントへの参加を通じて共に学び、共に成長する。

U Shareは単なる空間のデザインを超え、住まう人の成長や経験をデザインすることに徹底的にこだわります。

換言すると、U Shareのミッションは「場づくり」と「人づくり」です。

U Shareで過ごし学んだ人々がシェアの精神、国際的視野、他者・多様性への思いやりと共に巣立っていく。そしてミネルヴァの梟のように世界を明るく照らしていく。時にはU Shareで出会った仲間たちと手を取り合い、協力し合いながら。

いつの日かそんな日が来ることを願って、今私は仲間と共にU Shareを世に送り出す準備をしています。

早稲田大学近くにU Share西早稲田が完成します!

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U Share 西早稲田の外観パース。ユニークな場づくり、人づくり、コミュニティづくりを通じ、早稲田の街に新たな彩りを添えていきます。

学生向けフラッグシップであるU Share西早稲田が、2020年12月に早稲田大学のすぐ近くに竣工します。

2021年1月から一部入居を受け入れ、4月から本格入居開始の見込みです。

地下1階、地上9階建てで入居者は31名を想定しており、入居に際しては選抜があります。

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U Share 西早稲田の各フロアのデザイン
※上記はあくまでもコンセプト図です

各フロアはsuite(スイート)と呼ばれ、個室、リビングキッチン、浴室といった生活スペースを4名でシェアするのが基本となります。もちろん家具家電付きで、イージーセトルメントが可能です。(洗濯乾燥機も各フロアにありますよ。)

地下1階は入居者同士のコミュニケーション、勉強、その他様々なイベントにも利用されるコミュニティスペース “Agito 24/7”です。

全てのデザインの仕掛けは公表できませんが、高田馬場や新宿を見渡せるルーフトップなど多種多様なスペースがあります。(東京タワー、スカイツリーも見えますよ!)

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U Share 西早稲田のルーフトップのパース

なぜ30人なのか?小さなコミュニティの意義とは?

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とある米国大学のキャンパスの敷地計画ワークショップにて。「住まい」と「学び」の一体化を図るため、学生寮は大学敷地内や近隣に計画される。Photo credit to Sasaki Associates, Inc.

コミュニティ形成、運営ではコミュニティメンバーの数が大切です。

不動産開発では、規模の経済の観点から多くの部屋数・ベッドをつくるのが主流ですが、U Shareでは「顔の見える範囲」を大切にします。顔が見える規模、近さは入居者同士の信頼を築く上でとても大事なので。

かつてアリストテレスも国家の過度の強調により個人がないがしろにされるプラトン的世界観に疑問を呈し、理想のポリス(都市国家)とは小規模で互いの顔が分かる範囲の社会だと言いました。

小規模であることは様々な物事の見える化を促し、故に人々の信頼も構築されやすくなります。故に、多様な人々が安心感を持って声を上げられる環境を整備することも容易になるわけですね。

多様な人々が安心感を持って声を上げられる環境をつくる。多様な人々が生き生きする都市空間、コミュニティをつくる。

これらは私のアーバンプランナーとしてのミッションなのですが、U Shareはそういった個人的なミッションの実践でもあります。

さて、少し熱くなって話がそれてしまいました。

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とある米国大学のキャンパスの敷地計画ワークショップにて。Photo credit to Sasaki Associates, Inc.

この30という数、実はアメリカやイギリスの大学キャンパスプランニング、学生寮のデザイン・開発・運営でもある種のスタンダードとして用いられているのをご存知でしょうか?

私はキャンパスプランニングの本場とされるアメリカでキャンパスや学生寮の計画・デザインにも従事していましたが、「20-30人の小さなコミュニティ」が黄金律として使われていました。

「待てよ。アメリカやイギリスの学生寮だって100-200人収容できるキャパがあるじゃないか?」そう思われる方もいらっしゃると思います。

さてこれはどういうことか。

20-30人の黄金律の本質はボトムアップで積み上げる発想にあります。

200人のベッドをつくるというトップダウン的アプローチで考えるのではなく、まずは20-30人のコミュニティの経験を考える。

その小さなコミュニティが積み重なり、折り重なっても総体として崩れないどころか、相乗効果が生まれる。そういった計画・デザインが主流であるべきという発想です。

例えば小中高のクラスが大抵3-40人なのにも理があるというわけですね。

数字的・経営的には自分たちの身を削る所業ではありますが(汗)、本当にいいコミュニティの創造、新たな住い方の提案をするためにU Share 西早稲田は30人という小さなサイズでスタートします!

ハーバードやMITで使われているレンガが日本に?

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ハーバード大学とケンブリッジの街並み。「魂は細部に宿る」と言う通り、使用されているレンガは決して同じではありません。色や質感が微妙に異なっており、ディテールへのこだわりが豊かなデザインを形成しています

U ShareではハーバードやMIT、ボストンの舗道で使われているレンガを使用します。なんと、本邦初輸入となります!

とても密実で風合いがあり、何百年も耐える素晴らしい質のレンガです。私が4年を過ごしたハーバード大学界隈、ボストン、ケンブリッジの街の雰囲気もこの独特なレンガが醸し出しています。

「レンガが重なるように多様な個性が重なり、支え合い、新たな価値が生まれていく。」

U Shareもそんな場所でありたいとの願いを込め、私がアメリカで何度も交渉に出向き直接買い付けた思い入れのあるレンガです。

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何度も足を運んだマサチューセッツ州のレンガ業者の工場では、社長からレンガづくりへの想いを聞きました。写真は社長と工場内を見学する井上

多様性の出会い、交流、成長のモチーフであるレンガ。2021年4月に入居頂く皆さんには、このレンガを使ったアクティビティも考えていますよ!

なぜ、今、日本でU Shareなのか?

英国や米国での生活を通じて私が感じたのは、日本には共に住まい、学び、刺激し合えるような場所が圧倒的に少ないということです。

例えば日本で大学と言えば、学びのために通う場所というイメージが強いですが、英米では「共に住む」ことも学生生活の大きな要素の一つでした。

例えばハーバード大学は、英国のオックスフォード大学やケンブリッジ大学の全寮制教育を取り入れたレジデンシャル・エデュケーションで知られ、大学の敷地内(オンサイト)に学生寮があります。

これは、大学の教室だけを学びの場と捉えるのではなく、学友同士が寝食を共にし、多様な価値観をシェアする学生寮での濃密な時間も教育の現場と位置付ける教育モデルのことです。

映画『ハリー・ポッター』で出てくる寮なんかをイメージして頂ければ分かりやすいかと思います。

これは大学院レベルの教育の制度設計にも活かされていて、例えば私が通ったハーバードGSDの教育および母艦であるGund Hallの空間デザインがそうでした。

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GSDの学び舎、Gund Hallの内部。フィジカルなこの空間こそ、GSDのアーバニズム教育の真髄である理論と実践の有機的結合を可能にしているエンジン。

学生にはGund Hall内に一つずつデスクが与えられます。このGund Hallという同じ「空間」で学生たちは、日夜設計課題と向き合い、学友と語り合い、喜怒哀楽を共有していきます。

「同じ釜の飯を食う」ではないですが、建築、ランドスケープ、都市計画、都市デザイン、不動産、都市エンジニアリングなど異なる分野の学生と共に学び合う経験、苦楽を集団として共有する原体験を通じて、学生たちは多様性の尊重と受容、シェアの精神を自らの身体で覚え、そして世界に巣立っていきます。私もそのうちの1人です。

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2016年11月、GSDのGund Hallにて。クラスメート達とアメリカ大統領選挙の結果を観た。これも交流を促す開放的な空間デザインあってこそ。

最近日本でも全寮制の大学や学部等が出てきてはいるものの、その整備状況及び内容は世界に比べればまだまだ遅れていると言わざるを得ません。

例えば東京や大阪などに位置する都心型キャンパスでは、以下のような理由が考えられます。

敷地が豊かでないこと、大学の資金力の問題(欧米に比べて寄付金が少なく経営がかつかつ)、地権者との交渉に時間がかかるなどステークホルダーが多すぎること、また国民性として「公と私の峻別」が比較的顕著であること・・・など。因数分解すれば要因は多々あります。

結果、都心部では実家暮らしを除く学生の多くがワンルームマンションに住んでいる状況です。かつ、都心中心部では家賃負担が多いことからキャンパスから離れ、学友と交流の少ない生活を送る学生が多いのが実情です。

私も大学生活では1人暮らしだったので、エディンバラ留学、ハーバード大学デザイン大学院での学び、住まいの原体験は衝撃でした。それくらい差があるわけですね。

また、留学生用の国際学生寮はフル稼働状態で供給が追いついていない状況にあります。大学の寮に入れなかった留学生の多くは賃貸契約を結ぶ際に、言語的な障壁や煩雑な手続きに苦労している状況だと聞きます。

であれば・・・ということで、日本における「住まい」と「学び」のデザインに民間から貢献するべくU Shareをスタートしたというわけです。そしてご縁があって、まずは早稲田大学近くでプロトタイピングを開始したといわけです。

以下はU Share西早稲田と早稲田大学キャンパス群を示したマッピングです。高田馬場、西早稲田の街をキャンパスと見立て、これから一つ、一つとU Shareの拠点をつくっていければと考えています。

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出所:国土地理院、国土交通省、BBBike、OpenStreetMap等のデータを基に井上が作成

なぜ我々がやるのか?

Facebookがハーバードの学生寮から始まったのは有名な話ですよね。ご存知の方も多いのではないでしょうか?

社会を大きくリードする人物が夢を語り、仲間を見つけ、世にその素晴らしいアイデアを広めるきっかけには、「時間」と「空間」をシェアするデザインの仕掛けがありました。

そして、私自身もそんな経験をしました。

私は前述のGSD Gund Hallで不動産学科に在籍していた上田と出会いました。彼は建築、不動産と金融のバックグラウンド。私は都市計画・デザイン、コミュニティ、金融といった異なるバックグラウンド。

お互いがパッションをシェアし、異なるスキル、アイデアを持ち寄り、U Shareがスタートしました。

それから時には上田のファミリー・ハウジングのラウンジで、時には私の寮のコモンルームで語り合い、トライ&エラーを繰り返しながら、連日連夜U Shareの構想を練り上げていきました。

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2018年5月、GSD卒業時の写真。Gund Hallでの上田との偶発的な出会い、濃密な時間のシェアが無ければU Shareは誕生しませんでした。

社会を大きく変える可能性のある活動やビジネスプランを創造するという体験。そういったことが日常的に起こるための中心にあるもの、それはやはり人と人をつなぐ「場」であり、自らが能動的にシェアしていく姿勢なのだと考えています。

“If you don’t have a pen, you don’t have a voice.”
これは私がGSDに進学した際、オリエンテーション初日に都市計画・デザインの教授に言われた言葉です。

「デザインしてなんぼ。やらんとなんも始まらん。」
私は関西人なので関西弁的に言うとこんな感じでしょうか?(笑)

問題の要因分析をしたり、問題があることをセオリーを用いてエゴ的に語る人は多いですが、結局は実際に手を動かさないと意味がないわけです。

上記の教授の言葉の通り、やってなんぼなわけです。「デザイン」は問題解決の一つの手段です。

そんなこんなでU Shareは始まりました。  

U Shareは住まう人の成長や経験を最大化するデザインの実装です。

U Shareに興味のある方へ

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U Share西早稲田への入居に興味のある方はぜひご連絡下さい。個別相談会も開催しております。また以下ウェブ上にもデザインのこだわりや詳細のコンセプトを記載してございますので、宜しければご確認頂ければと思います!

また、今後種々の面において連携させて頂ける企業・団体様も募集する予定でして、ご関心がある方はご連絡頂戴できますと幸いです。

その他サポートメッセージやこうしたらいいんじゃないの?的な提案も喜んでお受けします。応援の程、何卒宜しくお願い致します!!


最後まで読んで頂き有難うございます ! 頂いたサポートはU Shareに住まう学生たちのコミュニティ運営費などに使わせて頂きます!