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#007 竹小舞/タケコマイ

上棟を終え、間もなくすると竹小舞となる。杢巧舎の木村さんからは、「明石さん、よろしくね」と告げられ、私の竹小舞生活がはじまった。

当時、仮住まいしていた借家の裏にある竹藪から400本の竹を切り出した。これらの竹を分割し乾燥させて、ひとつひとつ手編みで編んでいく。鬱蒼としていた竹藪から、必要な分だけいただいて、暮らしに必要な空間を紡いでいく。ガンジーが非暴力の象徴として紡いだカディは、こんなテンションではじめたのかな。そんな、大それた妄想をしながら、日々、現場に通い、無心になって竹を編み少しずつ形になっていく空間を眺めては、自然素材の織り成す空間美に魅了された。

上手く編めた箇所、少し緩くなってしまったところ、回数を重ねる毎に編む速度は増し、強度も増している。一ヶ月も過ぎた頃には、職人の方々とほぼ変わらない速度で編めるように上達した。

竹を編むという作業は、決して難しいものではない。家庭科の調理実習で料理をするように、義務教育の中に竹小舞や荒壁塗りを学ぶ機会があればよいし、それで自分の家を修繕しながら住まい続けるための知識と技術を身につける事ができるなら、それこそ持続可能という流行言葉に直結するように思う。

この家づくりを通して、好きになったことの一つが竹小舞と土壁塗り。しなやかな竹を一つ一つ編み上げたて出来た壁は、とても頑丈で壊れる気がしない。なんといえば良いのか分からないが、柱の様な太くて固い物とは一線を画した「強さ」が竹小舞で拵えた壁にはある。この小舞編みをした壁に土を塗る仕事は、さらに面白い。土壁塗りの魅力は、また別の機会に記すことにしたいと思う。

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