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ウズベキスタン、行ってきたん(6)買い物天国ヒヴァが最高だった件

ウズベキスタンは、すごくざっくり言うと、世界地図に向かって右から、コーカンド・ハン国、ブハラ・ハン国、ヒヴァ・ハン国と並んでいる。

私たちはタシケント→ブハラ→サマルカンド→タシケント→ヒヴァ→タシケント、というけっこうイレギュラーなルートの旅をしたけれど、おすすめなのは、

タシケント→サマルカンド→ブハラ→ヒヴァ→タシケントだ。

理由は、遠くへ行けば行くほど物価が下がるから。

ヒヴァの城壁内のメドレセ(そして我々の宿だった)。

お隣は途中で建設が止まっちゃったままのミナレット。カルタ・ミナール。意味は「短いミナレット」。うん。せやな。



食事代は、東西にそれほど差はない。もちろん大都会タシケントは一番高いが、ブハラもサマルカンドも世界に名だたる観光地、だいたい二人でおなかいっぱいたべて800円くらいが平均。

これが観光するところがなにもないただの地方の村だと、たぶんチロルチョコほどの値段でワンプレート食べられるだろう。

タクシー代は高い。それなりにする。それでも、10ドル以上はぼったくりだからね、と現地の人が教えてくれた。やさしい。

はっきり値段の差が出るのが宿代だ。タシケントにしか近代的なホテルがないということもあるが、タシケントのホテルの値段は日本並み。そして西へ行けばいくほど下がる。

ヒヴァの城壁内の街をインチャン・カラと呼ぶが、この中にあるホテルでさえ安い。B&Bは思わず何度も見てしまうほど安い。

そして、観光客相手に売るおみやげの価格ですら、ヒヴァはブハラと比較してもびっくりするほど安い。

体感的にどれくらいかというと、私は巨大なスザニを買い、ハラダさんに至っては総シルクの巨大なじゅうたんを買った(…………)。この話はいろいろ楽しいことがいっぱいだったのでまた詳しく。帰国したのちも、我々はもう一度ヒヴァにだけは行きたいとずっと話している。


なので、私としてはヒヴァでぞんぶんにお買い物天国を味わってからタシケントへ戻り、マーケットなりなんなりでスムを使い切ってほしいと思うのだ。

あ、ちなみにスムを国外に持ち出そうとするともれなく捕まります。気を付けてね。



***




ヒヴァは暑い。

砂漠!!!!!マジ砂漠!!!砂すごい!!!バスタブに使ったら湯が汚い(笑)

城壁の外は即砂!!!!!!!!

中央アジアはいろんな意味で水も大気も土も環境汚染が問題になっているので、敏感な人は必ず対策をして行ってください。マスク必須!





朝早くマーケットが建ち並ぶので、朝散歩がてらに歩いたら、日が沈むまでずーっとお茶しながら本を読んだり、おしゃべりしてるだけでいい。

日差しは、虫眼鏡で集光したようにじりじり皮膚を焼く。体中の水分があっという間に消えてなくなる。これは日陰にいてもそうなる。

週末は観光客や結婚式で国内からもたくさんの人が来るので、場内のおいしいレストランはのきなみ満杯。(私達はこのチャイハナに二回行った)(トリの評価は普通だったけど、まあまあおいしかったよ!)週末夜は予約すべし。



水はホテルや宿ではそれなりに高い。でも、そのへんのスタンドでは冷えた水2リットルのボトルが50円で売っているので、絶対買おう。私は最初理由がわからなくて、熱射病で頭痛がひどかったです。水をガブガブ飲むようにしたらならなくなりました。



***



で、物価が安いとなると、やはり買い物!!!!ですよね!!!!

ヒヴァでおすすめの買い物は(主観的なおすすめですが)、キャメルウールのストールやチュニックです。

これがもうふわっふわですべっすべ。私家に帰ってきて何度か着てますけど、洗濯OK。かさばらず皺になりにくい。旅行中に最適。

このストールがだいたい2000円。




街中では、古い隊商宿や、メドレセを改造した工房兼ショップがたくさんあって、店の奥で若いお嬢さんたちからおばあさんまでミシンを踏んでいる。

私が、このワンピースかわいいけど、もっと首元を開けてほしいなあというと、

「わかった!20分で縫うからちょっとあとで戻ってきて!」

と楽しげにいう。ウズベキスタンの人で、悲しげな顔をしている若い人をみたことがない。みんな楽しそう。それが見ていて私もうれしい。

国全体が若くて活気があるって、そういうことなんだろう。

試着してメジャーあててだいたいの指さしでイメージを伝え、30分くらいして戻ってきてみると、ジャストサイズで仕上がっていた。

ストールも買うからとディスカウントしてもらい、ワンピースがだいたい2600円。合わせて5000円弱。





その後、迷路のような場内の古い建物に迷い込み、奥に奥に進んでいくと人気のない廊下のつきあたりにぽつんとすてきなスザニワンピースのマネキンが出ている工房が。

ここは母娘でされているお店で(たぶん)、ほかのお店とは違ってほんとに目の前でお母さんがジャキジャキ裁断して縫っていた。デザインも独特。

私がそのなかの一枚のタペストリーを気に入って、うーんでもちょっと窓には大きいし、と悩んでいると、お母さんがでっかいはさみをジャキジャキ言わせながら、

「どうしてほしいの!?好きなように縫ってあげるわよ!!!!!」

ここも、やっぱり縫ってくれるらしい。グイッグイ来る。

「えーっと、できたらこんなふうにのれんみたいにしてほしいんですが……(突っ張り棒でひっかけるから)」

 と、絵を描いたら通じた。ありがとう、30年になる同人誌的なたしなみ。

母「わかった!!縫うわね。あとどこを切る?ここを切るわね!!」

ワイ「ああーー、ストップストップ!!せっかくの素敵な刺繍だから、カットしなくてもいいから!!」

と、必死で止め、(本当にすぐにでも切りそうだった)突っ張り棒用の輪っかを縫ってもらうことになった。

そのカーテンと化したタペストリーがこちら。


とってもとってもすてきです。いま、わたしの仕事机の目の前。ふふ。

あとは、ゆったりしたサルエルパンツみたいなのをいっしょに購入。

タペストリーは3300円くらい。ふたつで5000円いかなかった。

ここのお店は置いてあるものも個性的で、ここにしかないものも多くておすすめです。


***

ラクダも暑い。そうだよな。



旅の間中、ハラダさんは基本、ディスカウント交渉は私にさせる(そういうとりきめなのでべつにいい)

が、

ハ「真鍮製のいかにもアンティーク、っぽいトレイがほしいんですよねー」

そういわれても、たいていポットとカップとセットになっていて、そもそもトレイ単品では売ってない。

ハラダさんが太陽光アレルギーのためお昼に一回休み、私一人で町をブラブラしていたときみつけた、真鍮職人のおじいさんたちの工房のことを思い出し、

ワイ「ないなら作ってもらえばいいのでは?」

ハ「えっ、まどちゃんなに言ってるの??暑さで気でも狂ったの?」

ワイ「まどちゃんはいつも気が狂ってる!!!!」

ハ「否定しないぜ!!!!」

基本私は作家という職業柄、突撃取材には慣れていて、こういうときもまず行動がポリシー。

工房に乗り込んだ。

おじいさんが作っていたツボらしきもの。


突然乗り込んできた平たい顔の怪しい女に、職人のおじいさんたちもさすがにポカーンとしていた。そうですよね。わかります。

ワイ「ハロー、お話いいですか?私達こういうお盆がほしくて探してるんです。わあ、これとってもすてきですね!!!綺麗、キレイねーーすごいねー!!」

とさわいでいると、キレイ、素敵は通じるのか、「さあさあこっちへきておすわり」とわざわざ手を止めて座っている場所を空けてくれた。やさしい。

本当にすてきだったトレイ。これ、今でも買えばよかったかなと思い出す。内側の模様だけで五日かかるそうです。


とりあえず、身振り手振りも含めて話していたが、やはりロシア語でないとわからないらしく、

爺「ちょっとまっててくれ、若いモンつれてくる」

と、おじさんのほうが離脱。ウズベクは若い人は比較的英語教育を学校で受けている人が多く、接客業の人はたいてい話せるからだろう。(カタコトだけど)

案の定、二十代後半くらいのお兄さんが拉致られてきて、通訳するハメになっていた。

ワイ「ここにあるトレイはとってもすてきなんだけど、彼女にはちょっと大きすぎるんです。もう少し小さいものはないでしょうか」

おじいさんたちと話したお兄さん「ないらしいね。こっちのお香入れはどう?」

ワイ「大きさはピッタリだけど、残念ながらジャパニーズには使いどころがないのよー」

お兄さん「そうかあー」

ここで、突然お兄さんは、とんでもないことを言い出した。「じゃあ、今から作れば良いじゃん?」

おじいさん「きみら、いつまでコッチにいるの?」

お、おう。またこの展開。

ワイ「えーっと、えーっと、明日の朝の飛行機なんです」

ちょっと残念そうなおじいさん「そうかあ、これはヒヴァの伝統的なアラビア文様で、刻むのに五日はかかるんだよ」

ワイら「そうでしょうねー。素敵だもんねーー。わかります」

本当に素敵なトレイでした。工房の中では炉もあって、もう何百年も親戚で使っているんだそうです。おじいさんたちはドアノブとかドア飾りをオーダーで請け負っているんだって。

私達が残念そうにしていたからか、それとも商売っ気が出たのか、お兄さん、なんとおじいさんたちに、

兄「じゃあこの香炉の下とっちゃえば?」

爺「ファー!?なにいうだおまえ」

兄「このでっかいトレイ、カットすればいいんじゃん。じゃあすぐできるじゃん」

爺「ファー???????」

ワイら「!?!?!?(なに言ってるのかわからないけど、身振りで察する)」

なんでこっちのひとは、すぐ切れ切れ言うのだろうか。さすがに慌てて止めた。

ワイら「いやー、さすがにそれはダメです。これは芸術です。素晴らしいお仕事です。ごめんなさい無理を言って!!!!お仕事見せてくださってありがとうございました!!」

と、何度も感謝して工房を出ました。

兄「ごめんね。三日あれば、せめて二日あればなんとかなったんだけど」

と送ってくれながらお兄さん。いやいや検討してくださっただけでもありがたかったですよ。

ワイら「ウズベク大好き、ヒヴァ最高。みんな親切。ご飯おいしい。また来たい!ありがとう。ラフマーット!」

兄「また来てね!!」

とかやってるうちに日が暮れました。



結局、ハラダさんは別の方法で真鍮のビンテージトレイを手に入れることになるのですが……

あ、あかん、書いても書いてもヒヴァ編がおわらない……。


続く……かどうかは仕事進捗次第。





注釈:こちらに載せたお店の写真は、すべてご本人にきちんと許可を取って撮影、webにupしています。




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MADOKA TAKADONO(高殿円)
いつもは本や映像や舞台にするための物語をつくっています。 ここでは、もう少し肩の力をぬいて、本などの形に仕上げることを考えず、気楽になにかを発表していきたいと思います。 ぶっちゃけサポートほんとうにほんとうにうれしいです。ありがとうございます。お返事しています。