「マーシーハウス」はカンボジア中高生に人気のカフェレストランだそうだが
旅の醍醐味は食事にあると思う。食べものがおいしくない国は、いい思い出が残らない。強盗に遭って、病気になって、政変で逃げ惑う羽目になったとしても、食がよければたぶんいい思い出となって、いつか再びその地に降り立つだろう。逆に言えば、ほかのすべてがいい思い出でも、食が悪ければ二度と行かない。
そんな点でいうと、正直カンボジアは結構厳しい国だった。治安もただでさえ悪いのに、食べものもおいしくない。同じインドシナのベトナムやラオスはそれなりにいいのに、なぜかカンボジア料理はイマイチだった。ボクが初めてプノンペンに行ったのは2011年の12月ごろで、そのときはまだ外国人が今ほどはいなかった。もしかしたら、そのあとに食の環境に変わった部分もあるかもしれないが。
だから、カンボジアではなかなかいい食事に出会えなかった。その中でまあよかったのは中華料理、それから今回思い出を綴りたい、この「マーシーハウス」だ。
マーシーハウスと聞いて、80年代とか90年代初頭の原宿のタレントショップみたいな店をイメージしていた。ラッツ&スターの黒塗りで、サングラスをして、黄色いジャケットを着ているディフォルメ化された田代まさしのグッズが売っていそうな。
実際には東南アジアによくある食堂といった雰囲気の店だった。中高生に人気という話を聞いた。実際客層に学生が多かった。ただ、社会人も少なくなかった。メニューも主に洋食で、日本のファミレスにありそうな品揃えとクオリティーだった。正直、全然おいしくないカンボジア料理の毎日の中ではおいしく感じた。
外観はこんな感じだった。今、ネット検索するとプノンペンの51ストリートにあるようだが、そもそもボクが行った場所がどこなのかよくわからない。このとき、どうやってこの店にたどり着いたのかも、正直憶えていない。
洋食のわりには値段は安めだったような気がする。だから、若い人に人気なのだろう。東南アジアはピザだとかステーキ、パスタとか洋食は無駄に高いのだが、ここはそんな感じではなかった。
ここで初めて飲んだのが、この梅コーラだ。駄菓子とかにある梅を乾燥させたものをただコーラに放り込んだだけなのだが、これが結構さわやかで合っている。
そういえば、この梅コーラは可楽小梅みたいな中国語が書いてあった気がする。だから目に留まったと記憶している。店名も漢字があって、慈心坊子というような名称になっていた。もしかしたら、洋食よりも中華寄りなのかもしれない。だから、味は悪くないと感じたのではないか。
これが注文した料理で、鉄板に怪しいハンバーグみたいな加工肉と白飯が乗り、そこに大量の餡がかけられている。たしか肉の下に目玉焼きもあったはず。
画像を見るとわかるが、タイではありえないレベルで鉄板が熱してあり、それもおいしさに拍車がかかっていた。まあ、全体的な味は普通レベルなのだが、当時のプノンペンにおいてはかなりイケていたと思う。
マップを見ると、虐殺博物館でもあるトゥールスレンや王宮に近い。もしボクが行ったところとマップの場所が同じなら、歩いて行ったのかもしれない。
マップ上にスターバックスもある。ボクが行った当時は外資系の有名店はKFCくらいしかなかった。やっぱりプノンペンの食の環境は8年前と比べて大きく変化しているのであろう。