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タイの果物すべてがおいしいとは思えないの・・・

 東南アジアの中ではタイやベトナムが人気の観光先だ。陸続きとはいえ、文化や街並みなどが全然違うので、知らない人からすれば同じようなものだが、楽しみ方はそれぞれだ。しかし、共通するポイントもある。そのひとつは「食べものがおいしい」ということだ。旅行や取材で何ヶ国か見てきた中で、なにはともあれ食事がまずい国はいい思い出が残らないしリピートしない、というひとつの結論がボクの中で確立された。その点、タイとベトナムは東南アジアの中で優れているからこそ、食べることが好きな日本人にも合う。

 女性は特にスイーツだとか果物を評価するのではないか。実際、南国なので果物は種類も豊富だし、収穫の季節も長い。だから、安価であり、おいしいものも多い・・・・・・のだが、本当に果物すべてがおいしいのかというと、必ずしもそうではないとボク個人は思うのである。

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 タイは年がら年中果物が豊富にあって、市場などでも安く売っている。とはいえ、収穫の時期はそれぞれにあって、通年で食べられる果物は必ずしも多くはない。ほとんどの果物は、タイの夏にあたる3月ごろから5月くらい、夏であり乾季の終わりにベストシーズンとなる。

 しかし、近年は農業技術が発達したこともあって、かつては4月5月にしか食べられなかった果物が、今は通年で食べられるというのも増えてきた。ちなみにだが、日本人はとかく東南アジアを下に見がちだが、タイの農業においては分野によるけれども、日本の農業技術を超えているものもあるのだとか。

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 ボクのタイの果物の思い出の中で、最初に衝撃を受けたのはバナナだ。初めてのタイは98年で、ガイドブックと航空券だけを買ってやってきたくらいなので、ボクはタイの文化だとか食べものなどについてはほとんど知らなかった。当時はタイに行ったと言うとほぼ100%に近い確率で「台湾に行ったの?」と聞き返されるくらい、タイは人気がなかった。だから、タイ料理について教えてくれる人もいなかった。

 そんな中でやってきたバンコクではカオサン通りに宿泊し、宿の下のレストランでよく食事をした。最初に食べたときになにを頼んだかは憶えていないが、付け合わせの野菜などに混じって、なにかのフライが来た。外側がカリッとしたもので、白身魚のフライかと思った。

 しかし、それはバナナだった。のちに、小ぶりのバナナの中には生で食べずに火を通して食べる種類があることを知ったのだが、バナナを調理していることに当時は衝撃を受けた。ちなみに、屋台などでは今もバナナにココナッツの風味がある衣をつけて揚げている菓子がある。これも安くておいしい。

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 マンゴーも季節に入ればおいしい。これは先述の通り、元は4月前後が最盛期だが、今は通年で食べられる店も多い。マンゴータンゴ(だっけ?)やイェンリー・ヨアーズなどのマンゴーシェイクとかは絶品である。

 今でもマンゴーはソンクラーンの時期になるといろいろな店でキャンペーンを実施するのは、かつてこの時期にしか食べられなかった名残だ。ほんの15年くらい前まではこの時期にしか食べられなかったのだから、名残もなにもないのだが。最近だと、時期限定の果物で一番目に思いつくのはドリアンくらいか。

 そんなマンゴーキャンペーンでよく見られるのが、伝統スイーツのひとつであるカオニャオ・マムアンだ。もち米とマンゴーという単純なネーミングで、上にはさらにココナッツのクリームをかける。初めて見たときはもち米に果物? という衝撃はあったが、よくよく考えると、和菓子にももち米と果物の組み合わせはあるのだから、なんらおかしい点はない。もち米はイサーン料理で食べるような素の味ではなくて、ココナッツオイルだとかココナッツシュガーなどを混ぜているので、甘みがある。

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 南国というと、やっぱりこういったおどろおどろしい、カラフルな果物も一般的といえよう。

 たとえば、このドラゴンフルーツだ。初めて見たとき、ボクはホヤが並んでいるのかと思った。なぜ果物店に海産物があるのかと。色合いも派手で、トロピカルフルーツと呼ぶにふさわしい果物のひとつだと思う。

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 ドラゴンフルーツはそのくせ、中身は地味だ。種が無数に散らばったキウイみたいな。実際、触感や味の雰囲気はキウイに似ている気がする。同じ部類なのかと調べてみたら、キウイはマタタビ科、ドラゴンフルーツはサボテン科の植物のようだ。

 あと、画像はないがランブータンも見た目が派手だと思う。赤い外観で、毛が生えたような果物だ。あれを見るたびにいつも人に投げつけたくなってしまう。子どものころに遊んだオナモミに似ているからだ。

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 これはなんだったかな。ビワではないと思うが、こういうたまにしか見かけない果物も多い。

 ロンガンとかライチとか、日本ではなかなか見かけない果物もある。ボクはそういう食べ慣れていない果物はあまり好きではない。香りとか甘さの質が慣れていないせいか、舌が拒否してしまう。

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 それから日本にもある果物もあまりおいしいと思わない。日本の方が断然おいしいと思う。甘さが中途半端な気がする。

 タイ人も一部の果物に関しては日本の方がおいしいと言う。たとえばイチゴ、それからリンゴ、ブドウのあたりはそうだ。

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 パイナップルはタイで甘いものに出会う確率は著しく低いような気がする。市場とか屋台で売っている果物はわりと甘さが控えめだ。甘ければいいわけではないのかもしれないが、個人的な好みとしては甘い方がいい。

 バンコクなら、とにかく甘い果物を食べたい場合は輸入物を扱う富裕層向けのスーパーに行くといい。モール系のスーパーであるグルメマーケットは特にカットフルーツは外れない。エムクオーティエやサイアム・パラゴンにある。ただ、その分市場なんかよりずっと高いけれども。

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 初めてスイカを食べたときの驚きもまた忘れない。ボクの世代はスイカには特別な思い入れがあるのではないか。画像のようなカットの仕方で食べるなんて、子どものころは1シーズンに1回あるかないか。志村けんの早食いなんか、食べ方はともかく、スイカを何個もあのサイズで食べられることに憧れがあったものだ。

 それがタイでは安価に食べられるわけだ。形状は楕円形で日本のスイカとは違うけれども、スイカはスイカだ。ところが、日本のスイカは実が詰まっているが、タイのスイカはスカスカで、がっかりする。日本米が重いのに対して、タイ米は軽い感じに似ている。

 味も甘みが詰まっていないというか、濃くないというか。スイカは日本のもそうだが、幼少の体験からカブトムシやクワガタ、あるいはそれらを入れるかごの臭いのイメージが強い。青臭いというか。タイのスイカは特に青臭くて、カブトムシを連想させる。

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 いずれにしても、タイは果物が安いことはいいことだ。上の画像のようにガラスの荷車でカットした果物を売っているので、気軽に買うこともできる。最近は自分で買わないからわからないが、10年以上前はブロックひとつで10バーツと安価だった。しかもさらに小さくカットして串もくれるから、買い食いもしやすい。

 あとはジュースにするとおいしい。先のスイカとかみかんもそのものを食べると大しておいしくないのに、ミキサーでジュースにしてもらうとおいしくなる。氷と一緒に砕いてシェイクにしてもらってもいい。

 タイ語でシェイクはパン、シェイクしていないジュースはカンと呼ぶ(はず)。スイカはテングモーなので、テングモー・パンがスイカシェイク、テングモー・カンがスイカジュースだ。

 どうでもいい話だが、2000年代の初頭にテングモーというあだ名の女優がいて、タイ男子だけでなく、在住日本人にもファンが多かった。今、彼女はどうしているのだろうか。検索すれば? と思うだろうが、タイの女優で昔かわいくて、ボクと近い世代の人は高確率で整形していて変になっている。だから、思い出は思い出のままでいたいの。

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