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本当は今がマンゴーの季節

 いよいよタイも4月になり、夏も真っ盛りになってきた。年間で一番暑い季節がこの4月5月で、学校も夏休みに入る。

 そんなタイの夏は果物の季節でもある。この季節になると様々な果物のハイシーズンになって、市場などを彩る。中でもマンゴーは特に人気のある果物で、この時期はいろいろな飲食店でキャンペーンを行う。最近のマンゴーは栽培技術が向上し、年間を通していつも市場に出回っている果物になったが、ついこの間まではこの時期にしか食べることができなかった。

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 タイのマンゴー系のスイーツの定番はこのカオニャオ・マムアンだ。タイ語でマンゴーはマムアンという。ソムタムなどに使われるパパイヤのタイ語はマラコーで、ボクの感覚的にはパパイヤのタイ語の方がマンゴー感があって、いつも間違える。

 カオニャオ・マムアンは完熟のマンゴーに、ココナッツミルクを混ぜた甘いもち米を添える。

 外国人の中にはイサーン料理などで食されるもち米にココナッツミルクを入れるのが気持ち悪いと言う。でも、たとえば和菓子だってもち米は主要な食材だ。昔の水あめだってもち米から作っていたし、大福などのもちになる白玉粉ももち米のデンプンだ。日本の正月では餅つきをしてあんこやきな粉をまぶすのだから、少なくとも日本人には変なものではないはず。カオニャオ・マムアン以外にもタイの伝統菓子でもち米はよく使われるので、タイにおいては驚くべき材料ではない。

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 最近は年がら年中、このカオニャオ・マムアンを見かけるけれども、10年15年くらい前は3月から5月の特別メニュー感が強かった。温室栽培なのか、農業テクノロジーの向上で今ではいつでも高品質で甘い、完熟のマンゴーが流通する。バンコクにはマンゴー・スイーツ専門店もいくつもあるくらいで。

 マンゴーのスイーツ専門店はいろいろあるが、ボクのおすすめは「イェンリー・ヨアーズ(Yenly Yours)」だ。最近はバンコクの商業施設内にはどこにもある、スタンド形式のマンゴー・スイーツ店だ。ドリンクとかも濃厚で、炎天下を歩きまわって疲れた体に染みる甘さだ。

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 マンゴーとひと口に言っても、実は60種類の品種があるという。黄色く完熟した状態で食べるものが人気で好まれるが、タイでは緑色の固い状態で食べる品種があるなど、タイプは様々ある。

 当然ながら、完熟タイプと青いまま食べるものでは食べ方や調理方法、目的が全然違う。意外と知られざるマンゴー料理もあったりする。たとえば、青いマンゴーは青いパパイヤのサラダであるソムタムみたいに調理して食べるなどだ。

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 日本ではフィリピンやメキシコからマンゴーが輸入されるが、タイも輸入量が増えていて、今はその国々続いて、輸入量では3番目にあたる。ただ、輸入許可が出ている品種は、数年前に2品種くらい追加になったものの、今はまだ5種類くらいしかないはず。

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 日本でも入手可能で、タイでも人気の高い品種は上記画像のナムドークマイ種になる。なんだかまが玉のような形をしているこのタイプは糖度が高く、特に外国人には人気が高い。このタイプがカオニャオ・マムアンに使われたりする。

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 カオニャオ・マムアンだけでなく、ここまで完熟していると実を買ってきて、カットするだけでも十分おいしく食べられる。よく冷やして食べるとなおいい。完熟系は常温の方が甘さが際立つかもしれないが。

 切り方はこんな感じだ。パパイヤもそうだが、タイ人の果物や野菜の切り方というのは独特だなといつも思う。

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 皮を剥いたらこのように真ん中の種の辺りより少し上で切り込んでいく。もう一度言うが、なんというかタイ的な切り方だなと思う。ソムタムを作る際のパパイヤの切り方も独特だし。日本人の千切りの方法とはまったく違う。ある意味では合理的にも見えるけれども。

 ちなみに、この切り方はカオニャオ・マムアンでマンゴーを食べる場合、あるいは家庭でカットしたマンゴーを食べるための切り方と言っていい。飲食店などでは皮を剥かずに半分に切り、縦横に切れ目を入れる。そして、最後に皮をぐっと押して反転させるようにすると、切れ目が開いてダイス状になる。飲食店では見た目重視でこういった切り方を採用していることが多い。

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 家庭では食べやすいように、この段階で切り込みを入れる。

 これを切っているのはボクの妻であるが、決して妻の独自の切り方ではないと思う。まるで豆腐を切るように手に持ったまま切ったりする。ガラスケースの台車でカットフルーツを売る屋台があるけれども、まな板を使うところもあれば、手に持ったままこういうタイ独特の切り方をしていることもある。

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 真ん中を使わないのは種があるからで、これは先のダイス状の切り方でも中央近辺は使わない。中心部はわりと繊維質なので皿に盛ることはあまりない。

 でも、こういうところがもったいないというか、実は甘かったりする。切ったあとにしゃぶりつくのは切った人の役得である。

 オールシーズンで楽しめるようになったマンゴーだけれども、やっぱりおいしいのは今だ。タイでは3月から5月にかけては、なによりもマンゴーを中心に果物を楽しみたいものだ。

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