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労働市場へのいざない: 文系院生の就活

辺境の東ティモールでのフィールドワークから帰国して近代国家日本のすばらしい技術とサービスに感動する時間もなく、気がつけば就職活動に飲み込まれていた。

当時は研究者になるために博士課程に進むことも考えたのだけれども、修士論文で自分の中で研究の区切りがつきそうだったことと、一般的な「社会人」というものを経験しておいた方が潰しが効くかというあまりやる気のない動機で就活スタート。当時は将来的に国際機関にもJPO(Junior Professional Officer)試験を通じて応募を考えていて、そのために最低2年の職歴が必要だったということも就職を選択した一つの理由だった。

東南アジアの政治と絡みがありそうなというところからインフラメーカや商社を受けていた。インフラビジネスはどこもドロドロの政治と隣り合わせなので、ビジネスの視点からそうした政治を見るのも面白そうと思ったのか本音の動機だった。もちろん面接ではもっと就活生らしい自己PRを言っていた。

当時はもっと尖った外資系企業とかも受けておけばよかったとは思ったし、社風もそちらの方が向いていることはわかっていたが、そもそも就活を始めたのが遅かったことや将来的に海外に出た時に日本の大手企業のロジックをわかっている方が希少性があるのではと思って結局日系企業をメインに受けていた。

しかし、日本の企業というものは大学院生の研究に全く配慮しないところが多い。7月に海外で学会報告があり、そのために面談の日程変更を依頼した会社が数社あったのだが、どれも検討しますと言われてそのままお祈り🙏 ただ自分の中では研究優先だったので、まぁ学会に行ったことは後悔はしていない。

東ティモールに留学していたというのは、まぁ人事の目を引く一方で逆に変わり種過ぎて取ってもらえないというのも多かった。某外資系企業の最終面接で…

「東ティモールに行ってた学生なんて1000人に1人くらいしかいないよね。こういう人を求めている企業は絶対あるんだよ。でも日系のメーカとかではないよな。でもウチでもちょっと違うんだな〜」

と人事のトップに言われ、褒められてるのか貶されているのかわからないまま終了。そこは落ちてなぜか最終的に旧財閥系の日系メーカに拾ってもらった(笑) 全く人事とはいい加減なものである。

当時からちまたでは文系大学院生は就活弱者だというよく言われていて、ぼくも結構ビビってはいたとのの、まわりを見ても結果的にみんな満足のいくところに就職している印象である。もちろん文系院生を煙たがる企業もあるが、うまく大学院での活動や成果をPRできればピッタリハマる会社はあるのだと思う。結局のところマッチングということなのだろう。

2015年の夏にようやく就活が終わり残りの半年で修士論文を書くことになった。秋くらいから本格的に執筆を始めて年始に論文を提出。この修士論文で研究科の優秀論文賞を受賞することができ、自分としても満足いくものが書けたと思い、いったん研究生活に区切りをつけた。

こうして2016年4月から2年間の「社会人」生活が始まる。。

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