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【シード投資の裏側】海運業界を支えるプラットフォームLogipeaceにリード投資した理由

皆さま、お元気ですか。初めましての方も宜しくお願いします。
ジェネシア・ベンチャーズ鈴木です。
またもや久々のnoteとなってしまいました。

先日、シンガポール発&日本人女性起業家が経営するLogipeace社の1stラウンドにてリード投資家として投資実行させて頂きました。

また私自身が主担当を行う投資としては、2023年2月以来と実に1年半以上ぶりの久々の新規投資実行となります。

今回のnoteでは、何故Logipeaceへ投資したのか?に関するベンチャーキャピタリストの視点をまとめてみました。


当社との出逢い

シンガポール在住の知人から「シンガポールでDay1からグローバルを目指して創業された気合いの入った日本人女性起業家がいる」と創業者である神谷さんをご紹介いただきました。

創業者の神谷さんと会うまでは、当社の事業領域に対して正直なところ「これまでも複数の海運業界向けの東南アジアのスタートアップと面談を重ねて来ていたが、遅々としてDX化が進まず、立ち上げ難易度が非常に高い業界である」と言った認識を持っていました。

しかし、神谷さんとの複数回の面談を重ね、初期顧客企業の声や実際の利用頻度の高さを見て、当社の参入角度であれば、立ち上げ難易度の高い業界の中で、スピーディーに多くの顧客に利用してもらえるポテンシャルを感じるようになっていきました。

また神谷さん自身が持つ、とにかくポジティブなエネルギー、そして巻き込み力 & 推進力の高さも、とても魅力的でした。

なお、紹介してくれた知人は、彼女が前々職時代に我々が運営するファンドの投資家(LP)として弊社担当者をしており、密に連携させて頂いていた方でして、これまでのご縁が新たなご縁を呼ぶ体験となり、本当に感謝しています。

Logipeaceについて

Logipeaceは、未来を見据えた海運従事者向けAll-in-Oneコミュニケーションプラットフォーム『Shipeace』を提供し、物流業界の全ての関係者の「情報アップデート」を効率的にスマートUPし、海運・物流業界を明るく、魅力的で、充実感のある業界に変革することを目指すスタートアップです。

海運従事者向けAll-in-Oneコミュニケーションプラットフォーム『Shipeace』について

貨物を積んだ船舶を1隻運航するために、社内外を問わず、多くの関係者が連携をしております。日々多くのコミュニケーション(メール、チャット、電話、紙の書類)や情報共有が行われていますが、情報共有の連絡方法が企業だけでなく、個人によっても異なるため、関係者間で情報の所在が明確でなくなり、見逃しや運航状況の把握に支障をきたしています。この結果、最新情報がどれか分からない、情報検索に時間がかかる、属人的な管理でトラブルが発生する、メンタルヘルスの低下など、多くの課題が残っています。

『Shipeace』は、これらの課題を解決するために誕生しました。社内外で関わる人々が、いつでもどのデバイスでも状況を確認し、情報を共有またはアップデートすることが可能で、一つのプラットフォーム上で簡単に送信や登録ができます。そのため、これまで情報共有に費やしていた時間を削減し、本業に集中することができます。

また、紙ベースで実施しているチェックリストも、全てプラットフォーム上で管理が可能になり、サステナブルになるだけでなく、上司への承認依頼もボタン一つで実行できるようになります。現場の方だけでなく、マネージャーや経営者の方まで、ストレスなく快適に業務を遂行できる環境を実現します。

ベンチャーキャピタリスト視点でのポイント

何にワクワクしたのか?

  1. コロナ禍や世界情勢の目まぐるしい変化から、これまで以上にサプライチェーンの高度化・複雑化が進んでいくと感じている一方で、世界のサプライチェーンを支える基盤となっている海運業界は依然としてDX化が進んでいないこと

  2. ジェネシアが掲げる6つの挑戦とも重なるが、人手不足が進行している海運業界を支えるコミュニケーションプラットフォームを通じて人間の「叡智の発揮」を後押しする事業であること

  3. 海運業界内でもシンガポールと日本は、市場規模が比較的大きい地域となっており、日本人起業家がDay1からグローバル、そしてアジア発のチャレンジをするには、強みを活かすことが出来る事業領域だと考えられたこと

ジェネシアが掲げる投資活動を通じた「6つの挑戦

ポジティブな顧客フィードバック

当社は、2022年3月に創業後、外部からの資金調達なしにベトナムに開発拠点を構え、創業者である神谷さんは、ひたすら顧客の声を拾ってプロダクトの開発に力を入れて来ました。

2024年3月よりベータ版の提供を開始し、同時に営業活動を開始しました。

これまでプロダクトを磨き込んで来ていたこともあり、シンガポールを中心に、日本の海運事業者もトライアルの実施→顧客転換が行われ、トラクションがスピディーに積み上がりつつありました。

また実際に顧客企業の声を聞くと、すでに日々のオペレーションには欠かせないものとなっていました。

このことから、顧客企業の強いバーニングニーズを捉えられていると感じることが出来ました。

シードラウンドにおける投資家の布陣

今回、当社の1stラウンドのリード投資家として拘ったポイントの一つが、シードラウンドにおける投資家の布陣です。

当社は、シンガポールを中心に顧客の獲得を進めていますが、日本人起業家であることの強みを発揮する意味では、日本のGo To Marketも非常に重要です。

ただ物理的に創業者である神谷さんは、大部分をシンガポールで過ごされていることから日本側の顧客獲得を共に推進できる株主を招き入れられないか?と考えていました。

結果的には、日本の国際戦略港湾である神戸港に拠点があるBIG Impactが運営するひょうご神戸スタートアップファンド国際拠点港湾である博多港、北九州港に拠点があるGX Partnersが運営する九州オープンイノベーション2号投資事業有限責任組合とご一緒することが出来ました。

心強い戦略的パートナーにシードラウンドで参画して頂けたので、しっかりと成果に繋げていきたいと考えています。

今後の展望

Logipeaceのゴールは、プロジェクト管理とコミュニケーションにおける物流業務のセミオート化を実現することです。

「AI提案×人間の判断」でスムーズなオペレーションができる時代を創ります。現在、『Shipeace』の導入により、各社の知識(ナレッジ)が一つのプラットフォームで共有され、貯蓄されることで、生成AIのアウトプットを生み出す基盤づくりをしている段階です。

今回の資金調達を通じて、これらの開発体制を強化し、提供スピードと精度向上の加速を目指します。また将来的には、人材教育だけでなく、外国人労働者でも経験が少ない人でも働ける環境を創出し、人材不足という課題に貢献できることを目指します。

「新しい技術で物流業界をより幸せに、より健康的に、持続可能なものにする」というLogipeaceのミッションは、設立当時から世界に目を向けて動いています。私たちは、レガシー産業のDX化に向けて、積極的に新たな挑戦を仕掛けていきます。

私自身もアジア発の海運業界を支えるプラットフォームを作るべく、Logipeaceのチームと共に一丸となって取り組んで参ります。



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