スキナー論文集3 第3章 小部屋の中の赤ちゃんを読んで
こんばんは、takabatanです。
今日の読んだ本は、スキナー論文集の最終巻から、第3章の小部屋の中の赤ちゃんを読んだ感想を書きたいと思います。
すべて読んだ感想としては…マジか…って感じ。
この小部屋の中の赤ちゃん、何が小部屋かと申しますと、スキナーが開発した赤ちゃん専用の装置、箱のお話なんですね。
この箱・・・スキナーはbaby tenderと呼んでいます。
子守りをする人という意味のようですが、読めば読むほどなかなかすごい論文です。
スキナーいわく、この小部屋は温度管理もバッチリで、清潔だし、赤ちゃんはこの中で快適に過ごし、遊びまわり、発達も十分にしていくのだそうです。
元々は奥さんが育児に時間を取られ過ぎないようにというところからこの小部屋と言うか、箱が作られたそうですが…ヤバいですね笑
とても面白い発想からスキナーはこの小部屋を作成しています。
それは赤ちゃんに快適な温度管理を提供するには、肌着を着せるだの、布で包むだの、そんなもんは必要ない!むしろ汗をかき、それらをはだけさせて、冷えている赤ちゃんをよく見るので、そんなことするよりも何も着ない状況でも温度管理をしっかりしてやればいいんだ!と言う発想でして、ベビーベットより少し大きい箱に温度管理装置を作って、それを赤ちゃんの小部屋と称して自分の子供を入れて、なおかつ売り物にしようというものだったんですね。
アイデアはすごい・・・本当にすごい。しかもそれを自分の子供にやって、売り出そうとするのだから本当にすごい、スキナーは。
特にスキナーはこの小部屋を使えば、親から煩わしい育児の作業を省けるし、ストレスが少なくなるので、愛情を持って接することができる、問題はないと豪語します。
まあ、その通りだと言えば、その通り。
私は教育領域・福祉領域に勤めているので、日々感じていますが、日本人のお母さんは忙しすぎるし、頑張らないと行けない状況が多すぎます。
特に現代のお母さん方は共働きの人が多いので、仕事をしながら育児をすると言うのは並大抵のことではないし、かといってお父さんに預けて時間ができるのかというと、お父さん自身も時間がそこまでない。
これでは日々の忙しさ、育児に時間が潰されてしまい、本来あるべきそのひとの人生に影を落としてしまうこともあるくらいです。
その上日本では、親御さんに対する社会的なプレッシャーが大きい。育児なんて大変で当たり前、母親なんだから自覚がうんぬんとか・・・。少しずつ改善に向かっているのかもしれないけれども・・・なかなか大変ですよね。
そう言う意味では、楽な子育てのための装置、つまり、小部屋があればと言う発想はとても良い。
ただ、広めるのが下手すぎるよなあと言うのが印象ですね。購買者層を意識していたのか?みたいな感じがします。
スキナーも自分の子供を使って、素晴らしいものだと主張しまくるわけですけど、なかなかどうして読んでみても、それを使う使用者側の人の立場に立った書き方ができていないように感じてしまう。
何よりデータが少なすぎる・・・流石にスキナーの子だけがうまく行ったと言うだけでは説得力がない。
で、結局1000代くらい生産されたらしいけど、一般化しなかったようですね。
スキナー自身は大量生産が難しかったと考えているようですけど、消費者にあまり魅力的な強化子にはならなかったのかもなぁと思います。
まず、我が子を箱みたいな場所で育てたいか?というところがなかなかクリアできないだろうし、周りから批判もあったようなので、その批判、評判を覆えすほどの購買意欲をそそられるものだったのかなあ…
何よりお母さんたちの時間確保というのがなあ。
欧米ではわからないけど、少なくとも日本では、育児をサボるための装置と見られてしまうでしょうね。
さてさて、スキナー論文集3の第3章を見てきました。大変興味深い論文でした。
視点はとてもいいので、何か活かせる方法が現代の行動分析の世界にあるといいなあ。
ではでは、ありがとうございました。
文献:B.F.スキナー著 スキナー著作刊行会編(2021) スキナー重要論文集3 社会と文化の随伴性を設計する、勁草書房