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指導教官としてのアドバイス② 求めたい結果から逆算した授業を

「パフォーマンステストってどうやってますか」
という質問、特に新カリになってから(私の学年までは旧カリですが)増えました。
英語だけではなく、他教科からも。

私の学年では、1年次から、「持続可能なパフォーマンステスト」を念頭において色々と実践をしてきました。

お客さんが見にくる研究授業用ではなくて、
肩肘張らない、時間もたくさんかけない、採点も手間をかけない
ってことをモットーとして。

一つ例を挙げます。
高2の題材で、「海藻は身体に良い」というレッスンがありました。

パフォーマンステスト「海藻を使った和食をALTに紹介する動画を作る」

実施時間:2コマ(1コマは原稿などの準備、2コマはタブレットで動画撮影)

手順:
 1コマ目 紹介したい海藻料理を決め、どんなものか、どう身体に良いのかを伝える英文を考える
 2コマ目 各自タブレットで自撮りで動画収録。画面を見て顔を出して話すこと。もちろん原稿は暗記。動画は1分以内に収める。

40人弱のクラスで同時に行いましたが、各自で英語を練習したり収録する音は多少雑音として拾うものの、問題ないレベルです。日本語の私語などでワイワイしなければ、英語を各自話すというものであればクラス内で同時に活動させて大丈夫。

タブレットでの収録は、ロイロノート上でさせました。各自、提出。

評価:
 ALTに依頼。ルーブリックを英訳したものを渡しておき、評価してもらう。


ルーブリックも単純なものにします。
知識・技能 言いたいことがおおむね伝わる、明瞭な発音、アイコンタクト(この場合は暗記してしっかりカメラ目線である) これで、b。bを基本とし、よければ、a、足りなければ、c。
思考・判断・表現 ①料理について紹介している ②どう身体に良いかについて2点以上の理由を述べている ①、②を満たしていれば、b。
主体的な態度 思判表の①、②を満たそうとしているかどうか。

1分足らずの動画を見て、「はい、はい」とパッパとチェックできるレベルのルーブリックです。

原稿は事前に添削をするのか?

しません。「チェックしてもらわないと自信もって話せない」状態を作りません。
ならば、伝わる表現の担保はどうするのか、ということですが、
教科書の表現を利用させることを基本とします。というか、そのための教科書ですから。

教科書の丸暗記にならないか?という疑問に関してですが、
苦手な子は丸暗記でもいいのではないでしょうか。

でも、少しは自分なりのオリジナルを入れたくなるものです。

料理を紹介する、という時点で、「自分は何にしようか」となります。まずは料理名だけでも(それが日本語カタカナ語でも)、それはこんな風に身体にいいよ、と教科書の表現をくっつけて話せれば、OK!!

むしろ、無理にオリジナルにしようと思って翻訳機能に頼ったりする方が、怪しげな英文になります。

教科書表現など、習ったものを活かそう、ということに意識を向けさせるためにも、準備は宿題ではなく、授業内でやらせています。

カメラ目線で話すためには何回も練習せざるを得ない

これが、大きな狙いでもあります。10回どころか20回以上撮り直しができるのが、ICTを使う利点。回を重ねれば重ねるほど、自信もつくし、モチベーションも上がります。

みんなの前で発表ではないので、取り組ませやすいです。

できた動画をチェックすると、「Hi, ⚪︎⚪︎(ALTの名前)〜」と簡単な挨拶をつけたりしています。自撮りに慣れてる世代ですしね笑

パフォーマンステストをすることを念頭におけば、授業で力を入れる箇所が見えてくる

授業をする側にとっても、生徒側にとっても、です。
後で、自分でアレンジできるようにしたいな、口をついて出るようにしたいな、
だから、音読しっかりするし、バックトランスレーションとかで「こういう日本語、英語では何ていう」の特訓をするのです。

「英語力をつける」とは、「言いたいことを英語で言えるようにする」こと。
じゃあ、どんなパフォーマンステストにしようか、と考えて、
ならば、必然的に語彙や表現は使えるようにしつこく練習させたいよね、となって、
授業で力を入れてきたことを測るには、定期テストでどんな問題にしようか、
となってくるはず。


テスト勉強が、問題集の解き直し以外何をしていいかわからない!
なんて言わせない!

授業でやっている活動が、英語力を上げるために必要で、それを家でもちゃ〜んとやれば、学校のテストなんて楽勝なはずよ

と常々説いております。

(そこまで言っても、バックトランスレーションとかって、なっかなか自分1人ではがっつりやれないもんなんですよね〜、っていうのが課題です汗 進学校とかでは状況が違うのでしょうか?)

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