鹿島アントラーズの2024年前半戦を終えての選手序列と補強ポイント
2024年もシーズンの約半分を消化しました。
ここまでリーグ戦21試合、ルヴァン杯2試合、天皇杯1試合の合計24試合が行われています。(7月5日現在)
今季は鹿島アントラーズにとってクラブの将来を占う重要な1年です。
2018年のACL制覇以来6年ぶりのタイトル獲得に向けてランコ ポポヴィッチ監督の下、戦い方が確立されつつあります。
ルヴァン杯こそ敗退していますがリーグ戦は2位と好位置につけることができました。
ただ例年に無いほど今季のJリーグは混戦です。
上位陣は団子状態であり数試合で大きく順位の変動が起こります。
ここからが勝負の時期です。
その時期に重なりJリーグは第2登録期間(7月8日~8月21日)に突入します。
例年各クラブはこの時期にチームの見直しをします。
鹿島は佐野海舟がマインツへ、垣田裕暉が柏レイソルへと移籍をしました。
そのため新たな補強もありそうです。
まずはこれまで行われた試合から現時点でポポヴィッチ監督が考えているであろう選手の序列を公式戦の成績とともに紹介してみたいと思います。
そこから補強ポイントを考察してみましょう。
GK
◎ 早川 友基
リーグ戦21試合(1890分出場)
ルヴァン杯2試合(210分出場)
△ 山田 大樹
天皇杯1試合(90分出場)
梶川 裕嗣
パク ウィジョン
2022年終盤より早川がレギュラーに定着しています。
長所である足元の技術を活かし後方からのビルドアップも参加できるGKです。
これまでの鹿島にいなかった新しいGK像を作り上げています。
今後の活躍次第では日本代表入りもあるかもしれません。
2番手は山田でしょう。
GKは枠が1つしかないため出番がやってきません。
それでもパリオリンピックのメンバー入りはなりませんでしたが各世代別日本代表に選ばれてきた実力者です。
身長190㎝の左利きは世界的に見ても魅力的な逸材となります。
きっかけがあればレギュラーを奪い取るチャンスはありそうです。
右SB
◎ 濃野 公人
リーグ戦21試合(1821分出場)5得点
ルヴァン杯1試合(104分出場)
天皇杯1試合(90分出場)
△ 須貝 英大
リーグ戦9試合(67分出場)5得点
ルヴァン杯2試合(169分出場)
天皇杯1試合(90分出場)
松本 遥翔
常本佳吾、広瀬陸斗が退団し不安視されたポジションです。
しかし大卒ルーキーの濃野が期待以上の活躍を見せてくれます。
果敢な攻撃参加で何度もゴール前に顔を出すシーンが印象的です。
すでにリーグ戦では5得点と結果も伴っています。
攻撃力は歴代サイドバックでトップかもしれません。
常本のように海外移籍も心配されるほどです。
須貝は守備力を上げるか、左サイドバックもできるようになると出場機会を増やせるでしょう。
左SB
◎ 安西 幸輝
リーグ戦21試合(1890分出場)
ルヴァン杯2試合(131分出場)1得点
溝口 修平
左サイドバックは安西が1人で担っています。
無尽蔵のスタミナで攻守に活躍し国内屈指のサイドバックです。
ここ数年で最も素晴らしいパフォーマンスと言えます。
そのため安西が出場していれば何ら不安はありません。
しかしフル稼働しているため疲労の蓄積が心配です。
溝口はベンチ入りもできず構想外となっています。
少なくとも2番手を任せられる選手の補強は必要です。
CB
◎ 植田 直通
リーグ戦21試合(1890分出場)3得点
ルヴァン杯2試合(210分出場)
天皇杯1試合(49分出場)
◎ 関川 郁万
リーグ戦20試合(1748分出場)1得点
ルヴァン杯2試合(210分出場)
天皇杯1試合(90分出場)
津久井 佳祐
リーグ戦1試合(69分出場)
CBは植田、関川のコンビで安泰です。
高さ、強さは申し分なく国内のFWではなかなか崩せないでしょう。
まだ若い2人なので更なる進化も期待できます。
ただ失点が増えてきたのは気になるところです。
実質CBは2人で回しており疲労から動きが鈍くなる場面も散見されます。
津久井はリーグ戦デビューを果たすも2人を脅かすほどではありません。
後半戦に向けて最も補強の必要性があるポジションです。
DH
◎ 知念 慶
リーグ戦20試合(1752分出場)
ルヴァン杯1試合(74分出場)1得点
天皇杯1試合(41分出場)
△ 柴崎 岳
リーグ戦6試合(79分出場)
ルヴァン杯1試合(26分出場)
天皇杯1試合(82分出場)
ラドミル ミロサヴリェヴィッチ
リーグ戦4試合(32分出場)
ルヴァン杯2試合(60分出場)
舩橋 佑
天皇杯1試合(4分出場)
今シーズンが始まる前に誰が知念のボランチを予想できたでしょうか。
今やボランチで不動のレギュラーとなりました。
さらにデュエル勝利総数、1試合平均タックル数はともにリーグ1位の成績です。
もうFWの面影はありません。
問題は知念の相棒です。
これまでは佐野とうまくバランスが取れていました。
しかし佐野が退団し中盤の再構築が必要になります。
おそらくコンディションが整えば柴崎になるでしょう。
長短のパスでゲームをコントロールするプレーは他には真似できません。
ミロサヴリェヴィッチは怪我から復帰した際にどこのポジションでの起用になるか注目です。
右SH
◎ 師岡 柊生
リーグ戦15試合(703分出場)
ルヴァン杯2試合(108分出場)
○ アレクサンダル チャヴリッチ
リーグ戦21試合(1136分出場)7得点
ルヴァン杯1試合(45分出場)
天皇杯1試合(82分出場)1得点
△ 樋口 雄太
リーグ戦19試合(770分出場)
ルヴァン杯2試合(147分出場)
天皇杯1試合(90分出場)
松村 優太
リーグ戦7試合(104分出場)
ルヴァン杯2試合(109分出場)
現在最も層が厚いポジションです。
4人ともに実力者であり他クラブも羨む陣容となっています。
その中で師岡が一歩リードをしています。
名古や仲間と相性が良く2列目を活性化させてくれます。
それだけに早くゴールが欲しいところです。
チャヴリッチはスーパーサブでは勿体無いほどの選手です。
ただ今のフォーメーションではサイドが適正であり起用が難しくなっています。
本人はスタメンで出場したいと思いますが得点を重ねることで序列を上げていってほしいです。
樋口、松村にとっては苦しいシーズンになっています。
左SH
◎ 仲間 隼斗
リーグ戦17試合(1087分出場)3得点
ルヴァン杯1試合(29分出場)
○ 藤井 智也
リーグ戦14試合(614分出場)1得点
天皇杯1試合(45分出場)
ギリェルメ パレジ
リーグ戦9試合(162分出場)
ルヴァン杯2試合(110分出場)
天皇杯1試合(86分出場)
須藤 直輝
左SHも右SHと同じで運動量があり気が利く選手が重宝されています。
そのため仲間がポジションを掴みました。
時間が経つにつれ相手にボディブローのように効いてきます。
そして縦へのスピードを武器とする藤井が追いかけています。
藤井が入ると個の能力で仕掛けることができチャンスを多く作り出してくれます。
とても貴重な戦力です。
パレジは序盤こそ起用されることがありましたが最近はベンチ外が続きます。
CH
◎ 名古 新太郎
リーグ戦19試合(1214分出場)4得点
ルヴァン杯1試合(76分出場)
天皇杯1試合(8分出場)
△ 土居 聖真
リーグ戦10試合(270分出場)
ルヴァン杯1試合(46分出場)
名古は本職のボランチから一つポジションを前にして輝き出しました。
鹿島で初めてレギュラーとなりましたが毎試合のように得点に関与しています。
プレースキックも精確であり武器となりました。
現状ライバルは土居になります。
土居はトップ下やサイドハーフ、ボランチと様々な起用をされています。
しかしトップ下が最も適性であることは間違いありません。
まずは少ない出場時間の中でアピールをしていきたいです。
FW
◎ 鈴木 優磨
リーグ戦20試合(1667分出場)10得点
ルヴァン杯2試合(119分出場)
天皇杯1試合(45分出場)1得点
徳田 誉
リーグ戦1試合(1分出場)
天皇杯1試合(8分出場)
現在1トップが採用されており優磨が絶対的な地位を築いています。
得点だけでなく中盤に下がっての組み立ても行いアシストもします。
今や優磨のチームと言っても過言ではありません。
それほど影響力のある選手です。
そのため優磨不在時にチーム力が格段に下がってしまいます。
替えが効かない選手なだけに怪我や警告には気をつけてほしいです。
またFWは垣田の移籍で他に2種登録の徳田しかいません。
徳田はクラブ最年少でJリーグデビューを果たすも今すぐ戦力になるかは未知数です。
チャヴリッチもFWができますがもう一人欲しいところです。
こうして見るとまず層が厚いのは2列目です。
松村やパレジでさえベンチに入れないほど戦力が充実しています。
そのため若手はレンタル移籍もあるかもしれません。
そして層が薄いのはCBです。
これまでは佐野がCBを務めることもありどうにかなってきました。
残りのシーズンを植田、関川の2人で回すのは無理があります。
リーグ優勝を狙うなら流石に補強すべきです。
また左サイドバックも補強したいです。
安西に何かあってからでは遅すぎます。
CB、左サイドバックで1人ずつ獲るか両ポジションをこなせる選手が必要です。
最後はFWです。
こちらも優磨の負担を減らすため途中出場で状況に応じたプレーをできる選手が欲しいです。
理想的にはこのようになるかと思います。
ただポポヴィッチ監督は選手を固定する傾向にあります。
そうなるとむやみに獲得しても起用しない可能性が出てきます。
フロントと監督、スタッフがしっかり話し合い今のチームに上積みできる選手を見極めてほしいですね。
そしてその選手を獲得できるようベストを尽くしてもらいたいです。
今季はリーグタイトルを射程圏内に捉えています。
やや失速気味になりつつありますがここから気を引き締めて戦いたいです。
きっとその先に21冠目が待っていることを願っています。