少しずつ溜まった何かを
少しずつ溜まった何かを
一粒ずつ落としていけば
ヘンゼルはグレーテルに
会えるかもしれない
"ゆっくりでいい
落ち着いて"
カタツムリにとっては
それは地獄のようなものだ
代わりになってあげたい
私の持ち物を分けてあげたい
これ以上傷ついて欲しくない
独りにさせてあげたい
言葉に乗せると
その重さで沈んでしまう
私たちは思いを乗せる船だ
重たい心を乗せてしまった
オフィーリアのような
裸足は靴を履き
背は汗が覆う
組みあう指先はかたく
しかし私は未だ裸だ
波は迎えにくる
波はさらっていく
航海の果ての夕闇を
海屑まとう鉄の重りを
そして
足跡さえも
私の
足跡さえも