CSC Classic 2021レースレポート クロスカントリー男子エリート
7回目を迎えたCSC Classicは御殿場MTBパークFUTAGOでの開催となった。
コロナ禍において開催に漕ぎ着けてくれた大会運営スタッフと関係各所にはこの場を借りて猛烈に感謝を伝えたい。
CSC Classicとは
大会名は2018年までの開催場所であった日本サイクルスポーツセンター(伊豆修禅寺CSC)に由来している。
場所が変われど一貫して変わらないのは、競技者主体で運営される大会であるということ。
主催者だけでなく運営スタッフの多くが現役のMTB競技者やその家族などだ。
そして、大きな特徴の一つが「クロスカントリー草レース」が開催されるということ。
「草レース」とは、この場ではCoupe du Japonシリーズ(CJ)のような公式戦ではないものを指す。
2時間耐久レースやビール運搬レースなども開催されるが、やはり目玉は公式戦さながらのクロスカントリーレースだろう。
自分はこの「公式戦さながらの草レース」こそがMTBの競技としての人口を増やすカギだと思っている。
これを首都圏近郊で出来るだけ頻繁に開催出来ればホビーライダーとCJ競技者の間を埋めるホビー競技者が増え、MTBも日の当たる存在になり得るのではないかと考えているため、CSC Classicはとても応援したいイベントなのだ。
何よりも走って超楽しいイベントだ。
今回は前日から微力ながら運営スタッフとしてご協力させて頂き、当日はブース出展とレース出走で大会を盛り上げるべく関わらせてもらった。
少人数ながら濃いメンツ
コロナ禍のイベントということもあり、参加者絶対数は決して多くなかったが、自分の参加したクロスカントリー男子エリートクラスは少人数ながらかなり濃いメンツであった。
最強サラリーマンライダーの呼び声高い佐藤誠示選手、プロライダー小笠原崇裕選手、FUKAYA RACING松本佑太選手、マウンテンバイクアジア選手権日本代表経験者の山口創平選手、国内XCレースシーンを黎明期から走る大ベテラン神谷知明選手など。
CJシリーズ大会ではないのにこれだけ集まるのはこの大会への期待度の高さの現れだろう。
目標は佐藤選手とのマッチアップを制して優勝すること。
2年前の前回参加時は、佐藤選手とデッドヒートの末に敗れて表彰台を逃した記憶がある。
またコースプロフィール的に比較的自分が得意であるため、ぜひここで勝っておきたい。
コースはハイスピードな林道のダブルトラック主体で、それに一部シングルトラックが混ざるレイアウト。
シングルトラック内の上り区間には丸太や木製パレットを用いた造作物が置かれ、速くスムーズに走るためには脚力だけでなくテクニックも要求される良コースだ。
一つ注意点として挙げられるのは、林道区間の各コーナー。
砂が浮いているフラットコーナーを高速で曲がるためとても滑りやすい。
しっかりと前後両タイヤをグリップさせることを意識して走らないと速く走る事が難しいため、オフロード走行の基礎力が試されるコースでもある。
また、特に路面とほぼツライチに丸太が埋められているコーナーは濡れると驚くほど滑る。
そしてそれがクリッピングポイント近辺に埋設されているので、雨が降ったらこれはもはや凶器だ。
佐藤選手との一騎打ち
男子エリートを含むクロスカントリーレースは、女子エリート、男子マスターズ、男子アドバンス、男子ジュニアの5クラス混合レースとして行われた。
ブース出展の兼ね合いもあり、ウォーミングアップアップは無し。
その分朝のコース試走を長めにし、十分に体を動かしておいた。
スタート直後の舗装路上り口で佐藤選手が抜け出し、2番手小笠原選手、3番手自分で登り始める。
小笠原選手が佐藤選手を追う雰囲気がないため、自分が2番手となり佐藤選手との差を詰めて林道区間に入る。
林道区間は佐藤選手、自分、小笠原選手、山口選手、松本選手、男子ジュニア綾野選手の先頭6人パックで進む。
途中松本選手が先頭に立ちペーシングを行うが、最後尾の小笠原選手からペースを上げるよう檄が飛ぶ場面も。
その直後の下りシングルトラック入り口で、先頭を走る松本選手が落車、6名パックは急停止。
さすがエリートクラスというバイクコントロールで追突することなく松本選手をパスしそのままレースは進行。
2周目に入るときには、先頭から佐藤選手、自分、小笠原選手、山口選手と並びに、少しずつ列が伸びていく。
佐藤選手の林道区間の巡航速度が速く、一人また一人とつき切れしていく。
3周目の舗装路上りでもペースは一切落ちず、ダンシングによるペースアップが凄まじい。
ついて行くのがやっとである。
細かいアップダウンが続く林道区間はピッタリ後ろにつけるが、下り区間からシングルトラックは佐藤選手の凄まじい突っ込み具合についていけない。
もはや理解不能と言える挙動でバイクをコントロールしコーナーに突っ込んでいく。
フルサスとハードテイルという違いではなく、根本的なオフロードスキルに大きな差がある。
そして最終6周目に入り、メイン会場内の舗装路上り口で事件は起きた。
逆キャンバーの右コーナーを曲がった先が舗装路上りになっているが、そこでフロントタイヤがスリップし足をついてしまった。
ちょうどそのタイミングで佐藤選手がダンシングでペースアップ。
大きな差をつけられてしまう。
ここまで来て逃げ切られるのは悔しいと思い目一杯踏んでピーク手前で何とか追い付くが、足を使い果たしてしまい林道区間で徐々に離されてしまう。
決定的になったのはやはり下り区間で、ここで一気に差をつけられて10秒差の2位でゴールとなった。
リザルト
カテゴリ: XC男子エリート
コンディション:ドライ
距離:3.1km×6Laps=18.6km
出走:8名
DNF:0名
DNS:1名
リザルト:2位
まだまだ高い壁
MTB XC競技者を始めた頃から目標としていた佐藤選手の背中を追いながらのレースは感慨深いものがあると共に、夢のような時間でもあった。
しかし前を走るのはまだ早かったようだ。
前に出る隙も無く、まだまだ高い壁として君臨している。
しかしこういった目標となる選手が居るからこそモチベーションになり、競技を続ける原動力となっている。
さらに強くなるべくトレーニングを積んでいつかライバルになりたい。
使用機材
Frame:NESTO TRAIZE PRO-B
F.Fork:SR SUNTOUR AXON WERX34 Boost 100mm EQUALIZER
Components:SHIMANO XTR M9100 34×10-51T
PowerMeter:Stages Power meter XTR M9100 Race
Wheel:P&P COMPONENTS WH-C1600M
Tire:MAXXIS IKON 29×2.20 前後1.20Bar
IndoorTrainer:SARIS H3 Direct Drive Smart Trainer
Photo by 伊東秀洋さん