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Zwiftレースばかり走ってUCIポイントを獲得した話

自転車トレーニングの考え方やアプローチは人それぞれ十人十色であるが、自分はもっぱらZwiftレースしかやっていない。
そんな私が、先日開催された全日本選手権MTB XCCにおいて男子エリートクラス9位となり、わずかばかりではあるがUCIポイントを獲得出来た。

今回は自分のトレーニングへの向き合い方と、UCIポイント獲得までの過程をご紹介したいと思う。

なぜZwiftレースなのか

現在、自分のトレーニング時間(≒自転車乗車時間)比率はインドア:アウトドア=50:50程度であるが、その内インドアの内訳は100%Zwiftであり、100%Zwiftレースである。

では、なぜZwiftレースのみに絞ったのか。
その理由はただ一つ「楽しく追い込める」からだ。

Zwiftレースに取り組む以前は、自分でトレーニングメニューを組みそれをこなしていたが、お世辞にも「楽しい」とは言い難かった。
自転車競技を楽しむために辛いトレーニングをこなすというある種の矛盾を、「それが当たり前」だと思って続けていたのだが、Zwiftレースに出会ってそうではない事に気付いたのだ。
トレーニングは続けることが重要であるが、一般的に効果の高いトレーニングほどキツく、長期間続けることは体力的にも精神的にも難しい。
しかし、楽しいとそんなことは関係なく続けられてしまうものだ。
これにより、楽しいから続けられる、楽しいから追い込める、という好循環に持ち込むことが出来た。

「レースは最大のトレーニング」という言葉を聞いたことがある人も多いと思うが、バーチャルとは言え、いつでも世界中の人と競い合うことの出来るZwiftレースは十分に「レース」であり、むしろ落車の危険が無い分、リアルレースより追い込めてしまう。
早朝出勤前から仕事終わり、平日や休日問わず、自分のタイミングでいつでもレースが出来るなんてこれはもはや革命だろう。

Zwiftレースの落とし穴

そんな良いこと尽くしのようなZwiftレースにも落とし穴があった。
それは「勝ちにこだわり始める」ということだ。

先程言った通り、Zwiftレースは「レース」だ。
そして、自転車選手は本能的にレースで勝ちたいと思うものだ。
これが自分にとっては大きな落とし穴であった。

Zwiftレースで勝てるようになってくると、新たなモチベーションとしてZwiftPowerランキングを気にするようになり、ランキング上昇を狙ってよりレートの高いレースで勝つ事を意識するようになった。
そして、勝ちにこだわり始めると、レースの終盤の展開や結果ばかり意識してしまい、「脚を残したい」という思いから走りが消極的になってしまう傾向があった。

結果として、あまり脚を使わずゴールスプリントだけ頑張るようなことになり、トレーニングとしての質が低くなってしまった。

その経験を踏まえ、今では結果を意識せず、レース全体を通して如何にターゲットとしているパワー領域を刺激できるかにフォーカスして走るようにしている。

Zwiftレースの活用法

Zwiftレースと一言で言っても、コースや距離、参加選手によって走り方は大きく異なるが、自分の場合は目的によって出走レースを選び、走り方を変えるようにしている。

MTB XC競技を走る上での現在の自分の弱点は、VO2max領域でのインターバル耐性の弱さであると分析している。
これはリアルレースを走った時の順位や、レース中の競合選手などから総合的に判断したものだが、故にこの部分を強化する目的でZwiftレースに臨んでいる。
簡単に言えば、L5〜7の領域に多く滞在することを目指すわけだが、そのために5分前後の上りがあるレースを選んだり、平坦系レースなら積極的に何度も何度もアタックを掛けるよう心掛けている。

これを今シーズン繰り返した結果、今まで以上にXC競技の結果が上向くようになり、先日の全日本選手権MTB XCCではついにシングルリザルトを獲得、UCIポイントを手にすることが出来た。

目的と手段

自分がZwiftレースを走る上で忘れないようにしていることがある。
それは「何のためにZwiftレースを走っているのか」ということだ。
Zwiftレースがあまりにも楽しいのでときどき忘れてしまうのだが、あくまでも「リアルレースで結果を出すためにZwiftレースをやっている」ということを忘れないようにしている。

Zwiftレースをトレーニングに活用する場合に限った話ではないが、トレーニングに向き合うとき、何をするにも目的と手段を明確に認識しておくことはとても重要だと考えている。
何のためにこのメニューを遂行するのか、何のために体重管理するのか、何のために休むのか、何のために何を食べるのか。

強くなるチャンスは日常生活の中にたくさんある。
この記事も誰かが強くなるためのヒントになったら幸いである。


最後に、この記事を読んでZwiftレースをトレーニングに活かしたいと思った方は、ルールとマナーを守って楽しんでほしいと思う。

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