野良デザイン#16-20|ビールケースの椅子 他
こんにちは。
街で見かける匿名の創意工夫「野良デザイン」の蒐集。
本来の用途を超えた活用に、その道具の可能性や、暮らしのリアルを発見する試みです。
今週もたくさんの野良デザインに出会いました。
早速 一緒にみてみましょう!
野良デザイン#16|ビールケースの椅子
こちらは東京の飲み屋街を通った時に見つけた野良デザインです。
飲み屋の軒先に屋外の座席が設けられており、その椅子としてビールケースが使われています。
わりかしポピュラーな部類だと思います。皆さんも記憶を辿ると、この手の椅子や机に見覚えのある方も多いのではないでしょうか。
15本のビール瓶を収めることのできるプラスティック製のビールケースが二段重ねられ、その上段に厚さ1cmほどの板が載せられています。
高さ40cmほどの高さの構造体と座面のシンプルな構成に、椅子というプリミティブな道具の機能の本質を見ることができます。
近づいて観察してみると、座面の板はネジでビールケースに固定されていました。
四つ角と各辺の計8カ所を留めた丁寧な作り。これならほろ酔い状態でも安心して座れそうですね。
近くの飲食店の裏には、従業員の休憩スペースとして、同様の机も見つけることができました。ビールケースに囲まれた雑多な空間、多忙なお仕事の間に、同僚と一服する様子が想像できます。
周囲に散らばるビールケースやカゴは、座面なしでそのまま椅子として活用されていますね。これも無骨で良いです。
野良デザイン#17|ビール樽の机
先ほどのビールケースの休憩所の隣には、ビール樽でつくられた机も見つけました。ビールケース同様に、積み上げられた二段の樽に、木の板が載せられたたシンプルな構成です。
こちらは、固定されていない板が2枚載せられた、より簡素な造り。高さの微調整か、たまたま余っていたからか、2枚の板がラフに積まれた様子も、なかなか良いではありませんか。
野良デザイン#18|ペットボトルの看板立て
こちらは雑貨屋の店先で見つけた野良デザインです。
飲料などの保存と運搬のための容器として設計されたペットボトル。2Lの大きなペットボトルは、水を入れると2kgになります。
このお店では、2枚の板をヒンジで連ねた「く」の字型の簡素な看板を、店の外壁と、このペットボトルの重石で挟むことで自立させています。
余白の大きな白地の看板に、色の淡いドライフラワーが添えられた素敵な看板。透明なペットボトルは、その清潔さを損ねることなく、うまく看板の一部として馴染んでいます。
野良デザイン#19|ビデオケーブルのロープ
暑い日には、割高と思いながらも自販機に手が伸びちゃいます。
こちらの自販機横のゴミ箱は、風で飛ばされないよう、テレビの裏に繋ぐビデオケーブルでポールに固定されていました。
確かにビニールで保護されていて雨風に強そうだけど。
ゴミ箱を固定するためにわざわざケーブルを買うとは考えにくいので、たまたま不要なケーブルがあったので活用したのか。この野良デザインが誕生した経緯に思いを馳せます。
皆さんはどんな想像をしますか?
野良デザイン#20|レンガの義足
こちらは、大阪のとあるホテルの植樹で見かけた野良デザインです。
ふと通り過ぎると、視界の端に違和感を感じました。よくよく見てみると、車輪付きの巨大なプランターの車輪の一部が、レンガに置き換わっていました。
壁や家屋を作るための最小ピースであるレンガ。その厚みがちょうど車輪の高さにマッチしたようです。
おそらくこのプランターは容易に位置を変えることはできなくなってしまいましたが、そもそもあまり移動することもないのでしょう。
レンガの義足を履き、緑を蓄えたプランターが、今まで通りホテルの来訪者を静かに出迎えていました。
おわりに
今週の野良デザインは以上です。
もしよければ、ほかの記事も覗いてみてください。
まだまだ外出時に油断できない時期が続きますが、皆さんの周りでもきっと野良デザインと出会えるはず。
街歩きを少しでも楽しいものに感じていただけたら幸いです。
では、また次の記事でお会いしましょう!
July.24.2022