野良デザイン#11-15|ダッシュボード フェンス 他
街に溢れる匿名の創意工夫「野良デザイン」
この野良デザインの蒐集は、作り手の想定を超えた道具の活用に、生活のリアルを発見する試みです。
野良デザインの概要については、#00としてまとめております。もしよければ、こちらの記事も覗いてみてください!
野良デザイン#11|グレーチングの碇
近頃は参議院選挙を控え、街にも選挙色が強まってきました。
選挙期間中の風物詩はたくさんありますが、立候補者の一覧看板もお馴染みのアイテムです。
東京は多いところで6議席中候補者が30名以上も出馬している選挙区もあるそうで、長い立候補者一覧の掲示板が一部でも話題になっていました。
このポスター掲示板、選挙期間中だけの一時的な構造体につき、その造りには多くの仮設的な工夫が見られます。
こちらの掲示板は、裏の木枠から伸びた紐を、グレーチングと呼ばれる排水溝の格子蓋に結びつけ、倒れないように固定しています。まるで港に船をつけるための碇のようです。
大通りに面した公共サインの多くは計画的で、野良デザイン性が宿りづらいのですが、期間限定の仮設性が、大都会の大通りに野良デザインを実現させた例です。
野良デザイン#12|ダッシュボード フェンス
街には多くのサイン・看板が溢れています。特に生活の色が濃く表れる路地裏では、多くの野良デザインが見られます。
こちらのマンションのゴミ捨て場では、入口を塞ぐフェンスが、サインのダッシュボードのように使われています。遠目で見るとパソコンのポップアップウィンドウのようでもあります。
ラミネート加工された手製のサインは、ガムテープでフェンスに固定されています。このガムテープは、雨風に晒される掲示物の端部の保護にも一役買っていそうです。
設置当初に付けられていたであろう「立ち入り禁止」の樹脂プレートと、後付けで継ぎ足されて行ったであろうラミネート加工の印刷紙の対比も面白い光景です。
野良デザイン#13|車止め看板1
サインの掲示場所は無限大です。
先ほどのごみ収集場の横には、敷地への車の侵入を防ぐ車止めポールに、金属製の看板が固定されていました。
コの字状の金属ポールと、細い補強ポールで構成されたプロダクト。その2本のポールをサンドするように、板金製の薄い看板が固定されています。
まるで商品タグのような構成です。
左右の位置を限定しない大らかさも、街の景観に溶け込むスパイスになっているように感じました。
野良デザイン#14|車止め看板2
こちらも同じ敷地で見つけたサインです。#13同様、車止めポールをサインの掲示に活用しています。
一つのポールに二つのサンド看板が付けられている他、「歩きタバコ禁止」のサインは、Uの字ポールに6ヶ所の紐で固定されています。
対象となるポールの構造に合わせて、サインの形状や固定方法が異なる点が面白いです。
野良デザイン#15|車止め看板3
こちらは、敷地への侵入ではなく、電柱の保護のために設置された車止めポールでしょうか。
工事情報が記載された縦長の看板が固定されています。
公共物であるポールを傷めないよう、黒いテープが巻かれて養生されていたりと、粗野な造りの中に気遣いが見られます。
#11の選挙掲示板と同様、一時的なサインの固定として、公共のオブジェクトが使われている例です。
皆さんの暮らす街では、どんなサインが見られますか?
では、また次の記事でお会いしましょう!