野良デザイン#66-70|境界標のストッパー
野良デザイン#66|境界標のストッパー
道端でたまに見かけるアイツ。コンクリートや樹脂でできた細長い柱の端に、十字やT字の刻印のある杭。彼らは境界標と呼ばれる製品で、名前の通り、敷地の境界を示すためのものだそう。
今回、マンションビルの脇で出会った野良デザインは、そんな境界標の活用です。
まるで境界標の休憩所。
コンクリートの境界標が横たえられ、ゴミ箱が風で飛ばされないようにストッパーとして活用されているようです。
左の白いゴミ箱が境界標に乗っちゃってる感じも、なんだか可愛らしい。
マンションに住む方のゴミ出し用でしょうか。少し傾斜のある地面に置かれた軽量のゴミ箱を、境界標たちは今日も支えています。
野良デザイン#67|コンテナのプランター台
家の前を飾るプランターの緑は、さながら都市の小さな緑地。家が密集した住宅地の路地は、各々の育てる植栽で飾り立てられます。
こちらのお家では、スーパーや道の駅で見かけるプラスチック製のコンテナをプランター台として活用しています。
軽量化のため開けられた側部のスリット格子は、プランターから溢れた水や雨を受け流すにもってこいな造り。
安定感のある底面ではなく、90度回転して縦長の状態で置かれている点もユニーク。玄関とエアコンの室外機の間のわずかなスペースに設置するための作り手の工夫を読み取ることができます。
野良デザイン#68|植樹とガードレールのバリケードホルダー
公道と公道をつなぐ傾斜のある小さな私道。土地の所有者は、どうしてもこの道を歩かせたくないようです。
大袈裟なバリケードには、風で飛ばされないように虎柄ロープが巻き付けてあり、その端は近くの木とガードレールに結ばれています。
植樹側の様子。木と枝を剥がされ、ロープの固定に徹しています。なんだか健気。
反対側は、ガードレール裏の構造に結ばれています。公私に対する作り手のスタンスが垣間見えます。
バリケードの水平柱に巻き付けられたロープは、本来看板を下げるためのフックにかけられ、ロープが寄らないように固定が強化されています。
色褪せた虎ロープやバリケードの塗装の色がキツくなくて良いです。
野良デザイン#69|傘立てのカーペット入れ
住宅地の一角で見つけた野良デザイン。
玄関マットと思われる敷物が丸られ、傘立てとして販売されていたであろう網目のホルダーに収められています。
黒い網目に黒い面が溶け込み、見過ごしそうになりました。
野良仕事など靴が汚れたときに出して使うのか、マットを臨時で出せるよう、専用の入れ物を用意しているマメなご家庭。元々傘立てとして使っていたものを流用したのでしょうか。
どんな使い方をしているのか、どんな経緯で生まれた野良デザインなのか、妄想が捗ります。
野良デザイン#70|蛇口のトング掛け
不法投棄と闘うゴミ収集所。マンションの一角に添えられたゴミ捨て用のコンテナの横には、清掃のための蛇口が引かれ、ブラシなどの清掃用具が置かれています。
屋外用の柱から顔を出す蛇口の根元に、溢れてしまったゴミを拾うためのトングが掛けてあります。
それにしても良いバランス感覚。左右対称なトングの形状が、ラフな方法でもしっかり掛けられるようになっています。
使うたびに都度把手を付けるのか。よく見かける、いわゆる普通の蛇口把手ではトングが干渉してしまうでしょう。公道に接する屋外に置かれた、プライベートな設備。この特殊な状況で生まれた野良デザインです。