野良デザイン#07|ガスボンベの碇
こんにちは、眞木です。
この時勢でも桜の花は綺麗に咲くもので、見事な桜並木の下には人出と露店が並びます。
駄菓子やお面をねだった記憶が懐かしい方も少なくないはず。私もそのひとりです。縁日の露店が並ぶ雑踏には、童心をくすぐる不思議な魅力があります。
鉄パイプを組んだ骨組みに、ビニールシートの被服という、簡素な造りの露店。人だかりを辿って、点々と場所を移す商いから生まれた店舗の形式です。
この露店の仮設性にも、野良デザインが寄ってきたようです。
たこ焼き屋の裏手で発見した、ガスボンベの碇。
露店を覆うビニールシートは、鉄パイプの骨組みに紐で結び付けられているのですが、風に煽られてめくれたり、飛ばされてしまわないよう、キャンプテントのように、一部を地面に固定する必要があります。
1日中たこ焼きを調理するのですから、燃料となるLPガスもたくさん必要になることでしょう。
こちらの露店では、屋台固定用の紐をスペアのガスボンベの把手に結えることで、ガスボンベを屋台の建材として利用し、ガスが切れると碇を交換する、というシステムで営業しているようです。
なんと合理的で野良的なのでしょうか。
また同じ通りでは、せんべい缶にモルタルを流し込んだ、別の碇にも出会いました。
ビニールシートから伸びた紐の尺が足らず、虎ロープを継いで固定している点も、屋台の仮設性を強めています。紅白幕やブルーシート、補強の入った透明シートの多素材の集合。派手な看板と相まって、縁日特有の雑多な景観の一部となっています。
暖かくなり人出も増えてきたこの頃、あなたの暮らす街でも露店の野良デザインに出会えるかもしれません。
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では、また次の記事でお会いしましょう!
ごきげんよう👋