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コミュニティシアターって?アメリカでは一般的なコミュニティシアターについて徹底解説。


コミュニティシアターは、地域の演劇好きが集まって行うアマチュア演劇の場であり、プロの劇場とは異なる魅力や価値を持っています。地域の文化活動の一環として根付いており、プロを目指す人だけでなく、趣味として演劇を楽しむ人々も多く参加しています。この記事では、コミュニティシアターの歴史、レベル、なぜ必要とされるのか、そして出演することのメリットとデメリットについて詳しく解説します。

コミュニティシアターの歴史

コミュニティシアターは、19世紀末から20世紀初頭にかけて発展しました。特にアメリカでは、都市部に商業劇場が集中していたため、地方の人々が自分たちで演劇を楽しむ場としてコミュニティシアターが生まれました。最も有名なコミュニティシアターの一つに、 ボストンFootlight Clubがあります。1877年に設立されたこの劇団は、ここは現在も運営されているアメリカ最古のコミュニティシアターです。
Footlight Clubは、地元の演劇愛好者やプロ志向の俳優にとって大切な舞台であり、地域文化に大きく貢献しています。

実は私自身も、Footlight Clubのオーディションを受け、合格した経験があります。
それは、私がプロとしてのキャリアを本格的にスタートさせるために出演したFranklin Performing Arts Company(FPAC)の舞台『The Little Mermaid』にアンサンブルとして出演した後のことでした。FPACは、AEA(Actors’ Equity Association)に認定されているプロの会社であり、そこでの無給出演が私の最初のミュージカル経験でした。
その公演後、本格的にプロのミュージカル俳優になりたいと思った私はキャリアを積むためにFootlight Clubの『Tuck Everlasting』のオーディションを受け合格通知を受けたましたが。
しかしそのわずか1時間後に、FPACから「次の舞台に出演してほしい」との依頼を受け、今度は交通費支給付きのオファーでした。そのため、Footlight Clubの合格は丁重にお断りし、FPACの次の舞台に出演することに決めました。

このように、私の経験を通じて、コミュニティシアターがアマチュアとプロの境界線を曖昧にする存在であり、キャリアの初期段階で多くの俳優にとって重要な場であることを実感しています。

コミュニティシアターのレベル

コミュニティシアターのレベルは、非常に幅広いです。趣味で演劇を楽しむアマチュアが多い一方で、プロを目指す人や、私のように音楽大学を卒業してキャリアを積むために出演する人もいます。
ギルバート&サリヴァン(G&S)のコミュニティシアターでオペラでも、趣味の出演者が多くいましたが、中にはプロ志向の俳優も少なからずいました。
このように、プロフェッショナルとアマチュアが共存する場として、スキルや経験の差はあっても、質の高い公演が行われることもあります。

なぜコミュニティシアターが必要か

コミュニティシアターは、地域社会にさまざまな価値を提供します。

地域文化の促進
地元の人々が演劇を手軽に楽しめる場を提供し、地域の文化活動を活性化します。

教育的な価値
若い世代や演劇初心者に、舞台の作り方や演技の基礎を教える場としても機能します。

社交の場
地域の人々が集まり、共通の趣味を通じてつながることができる場でもあります。演劇を通じて友情やコミュニティの結束を深めることができるのは、大きな魅力です。

キャリアの第一歩
特にプロを目指す俳優にとっては、実際に舞台に立つ経験を重要なステップとなります。大規模なプロダクションに進む前に、舞台慣れするための貴重な機会を提供してくれます。

コミュニティシアターに出演することのメリット

コミュニティシアターに出演することには多くのメリットがあります。特にプロを目指す人にとっては、キャリアをスタートさせる貴重な機会です。

責任感を学べる
アマチュアの劇団であっても、チケット代を取って公演を行うため、観客に満足してもらうための責任感が求められます。プロとして舞台に立つためには、このような責任感が不可欠であり、コミュニティシアターはその点で良い訓練の場となります。

履歴書に書ける経験を積める
ある程度のスキルがあれば、役を得やすいため、舞台経験を積み重ねて履歴書に記載することができます。小規模な公演であっても、舞台経験をアピールできる場が増えれば、それが将来のプロの仕事に繋がる可能性も広がります。

人脈を広げることができる
特に私のような非アメリカ人にとって、コミュニティシアターは地元での人脈を広げる絶好の場です。共演者やスタッフとのつながりだけでなく、観客との関係も築くことができ、次の仕事やパフォーマンスにつながる可能性があります。実際、演劇が好きな観客は、私が出演した別のショーにも足を運んでくれることがよくあります。

コミュニティシアターに出演することのデメリット

もちろん、コミュニティシアターにはいくつかのデメリットも存在します。プロを目指す人にとっては、注意しておくべき点があります。

無給であることが多い
多くのコミュニティシアターは非営利団体であり、出演者に対して報酬が支払われない場合がほとんどです。プロを目指す人にとっては、無給の仕事が続くと経済的な負担になることが考えられます。
在学中私はリハーサルのために片道約2〜3時間かけて通勤していました。なので夜のリハーサルが終わってわたしが帰宅するのは真夜中を超えていることがしばしばありました。
そして翌朝はクラスがあったのでそれはとても大変でした。

リソースの限界
プロダクションに比べ、コミュニティシアターは予算が限られているため、舞台セットや衣装、照明などがシンプルであることが多いです。そのため、プロフェッショナルな公演と比較すると、見劣りする場合があります。

スキルレベルの差
アマチュアが多く参加しているため、プロ志向の俳優にとっては、他の出演者とのスキルレベルの差が気になる場合があります。共演者の演技が自分のレベルに合わないと感じることもあるかもしれません。

時間的負担
コミュニティシアターのリハーサルや公演は夜間や週末に行われることが多いため、他の仕事や活動と両立させるのが難しい場合があります。特に、リハーサルが長期間にわたる場合、生活のバランスが崩れることも考えられます。

まとめ

コミュニティシアターは、地域文化を活性化し、初心者からプロ志向の俳優まで多くの人々にとって貴重な場です。出演することで責任感を学び、履歴書に書ける経験を積み、人脈を広げることができるというメリットがあります。一方で、無給やリソースの限界といったデメリットもあり、プロを目指す人はその点を考慮しながら出演することが重要です。


コミュニティシアター出演時の写真



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