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JR全線完乗の旅/第51回越美北線/2019年11月10日

■敦賀駅/北陸本線EF510-500番台

大阪お休み便。朝荷卸しを終えると、福井駅を目指して北陸本線を北上。敦賀駅で元北斗星牽引の電気機関車に遭遇しました。現在はJR貨物に活躍の場を移し、日本海縦貫線を行く貨物列車の先頭に立ちます。

寝台特急「北斗星」のヘッドマークが輝かしいEF510-500番台。2015年3月廃止の少し前、上野駅にその勇姿を見に行きました。

■福井駅「特急ダイナスター」683系

朝早くの福井駅に初めて見る特急が停車中。早朝と深夜に北陸新幹線の金沢と福井を結ぶ列車だそうです。

■越美北線(越前花堂〜越前大野)キハ120系

恐竜王国福井ということで、キハ120の側面には恐竜のデザイン。ちなみに特急ダイナスターの名前は、恐竜の英訳ダイナソーが由来です。

北陸本線と越美北線が分岐する越前花堂駅では、北陸新幹線敦賀延伸の工事が真っ盛り。

キハ120の車内には、越美北線の観光案内も兼ねた素敵な路線図。今から向かう越前大野城は、11月の早朝は雲海に浮かぶ天空の城になる可能性が高いとの事。

美山駅で上り列車と交換。この後、視界数メートルの濃霧の中を列車は進み、外は真っ白でゴトゴトとレールの音が響くだけ。天空の城への期待がどんどん膨らみます。小さな峠を越えて大野盆地に入るとそこは…。

霧は文字どおり雲散霧消し、小高い山の上(標高249m)のお城は、朝日に映えて白壁が輝いていました。

お城の周りを覆っていたであろう霧は、すぐ近くの山の奥に退散しています。

参考までに絵葉書の写真です。現在の天守閣は昭和43年に再建されたもので、内部は資料館になっていました。

天守閣から見た越前大野の街並み。城下町は東西と南北にそれぞれ6筋の通りで短冊型に区切られ、「北陸の小京都」と呼ばれています。古くから越前と美濃の両国を結ぶ交通の要所として栄えてきたそうです。

■越美北線(越前大野〜九頭竜湖)キハ120系

この越美北線も本来は越美線として、越美南線(現在の長良川鉄道越美南線)と繋がる予定でしたが、国鉄の財政難で両県を結ぶ計画は中断されました。

終点の九頭竜湖駅に着きました。九頭竜ダムとその堰き止め湖で紅葉が美しい九頭竜湖は、ここから徒歩で1時間以上。路線バスの便は無く観光タクシーも往復で4000円以上ということで、涙をのんでとんぼ返りしました。

【画像は大野市観光協会HPより】

写真は九頭竜湖駅舎です。駅一帯は「道の駅九頭竜」として九頭竜湖観光の拠点となっています。多くの観光客で賑わっていましたが大半はマイカーの家族連れ。先々週は「九頭竜紅葉まつり」が開催され、JR来訪者用に無料シャトルバスが出ていたそうです。

越美北線を折り返し「一乗谷駅」で下車して、「一乗谷朝倉氏遺跡」を見学することにしました。こちらは駅から徒歩20分です。

戦国大名朝倉氏の城下町が、朝倉氏が滅亡した後に田畑の下に埋もれ、発掘調査で当時の繁栄が蘇りました。城主の館や庭園、武家屋敷や町家が一体となって良好に残されていたことから、大噴火の火砕流で町並みが埋もれ、後に発掘されたローマ帝国の都市ポンペイのようだと言われています。

第5代当主朝倉義景が住んだ「朝倉氏館跡」。三方は土塁と濠で囲まれており、背後の崖の上の展望台から撮った写真です。

復元模型の写真から、当時の様子を想像できます。

崖(展望台)の下には「館跡庭園」があり、石組みはそのままの状態で発掘されました。

朝倉義景の妻「小少将(こしょうしょう)」が住んだ「諏訪館跡」に残る「諏訪館跡庭園」。あと2つの庭園を加えた4庭園が、国の特別名勝に指定されています。

広大な遺跡の一部区画では、武家屋敷と町家からなる町並みの建物が復原されています。

一乗谷朝倉氏遺跡全体が特別史跡に、そして4庭園が特別名勝に、さらに当時の生活文化を物語る茶器などの出土品が重要文化財に国の指定を受けました。

他に三重指定を受けた場所は、京都の金閣寺・銀閣寺・醍醐寺、奈良の平城京跡、広島の厳島神社だけ。こちらももっと有名になると良いですね。

一乗谷朝倉氏遺跡から一乗谷駅まで戻る際、一乗谷駅の先で足羽川を跨ぐ「第1足羽川橋梁」まで足を伸ばしました。2004年7月の福井豪雨で足羽川に架かる7つの橋梁のうち5つが流出し、一乗谷駅〜美山駅間が不通に。高額な復旧費用から路線の存続が危ぶまれましたが、国や県が大部分の資金を負担し、2007年6月に全線で運行を再開しました。

今年の8月に乗ったばかりの水郡線が、先月の台風19号により袋田駅付近の橋が流出し不通となっています。地球温暖化で雨の降り方が極端になり、他の路線でも不通区間が存在します。各路線が1日も早く越美北線のように復旧することを心から願っています。

旅の終わりは北陸名物の駅弁「ます寿司」です。こちらのお弁当の製造元は「塩荘」さんで、添乗員時代に敦賀の団体昼食施設を何度も利用しました。懐かしい名前に反応してしまいましたが、元々は敦賀駅の駅弁業者だったんですね。

越美北線
(越前花堂〜九頭竜湖)
52.5km
今回乗車 52.5km
【通算】 10144.6km

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