JR全線完乗の旅/第53回小海線/2020年3月21日
藤沢お休み便。今回は信州の山々の景色を楽しむ旅です。幸い天気も晴れの予報で、登山客らしき人々と一緒に、八王子駅始発の松本駅行き普通列車に乗り込みました。
小淵沢駅で下車。今日の主役の奥に、新しいE353系の特急あずさが停車中です。
新駅舎となった小淵沢駅の屋上には、周囲の山々を一望できる展望デッキがあります。南側にはひときわ目立つ甲斐駒ヶ岳(2967m)。赤石山脈(南アルプス)の北端の山となります。
北側に目を転じると、今度は八ヶ岳の姿が。南北に峰が連なる八ヶ岳連峰の南側から見ており、南端の編笠山(2524m)に代表される山々だけが見えています。これから乗車する小海線は、八ヶ岳連峰の東側(写真右側)を稜線に沿って進みます。
車内には見どころ満載の沿線案内図。JR屈指の観光路線なので、旅行者はどこを見学するか迷うところでしょう。こちらは鉄道ファンなので、目指すところは一つ。
甲斐大泉駅で上り列車と交換。路線の形態から、どっちが上りかすぐには判別が付きませんでした。
清里駅を過ぎてJR鉄道最高地点を越えると、山梨県から長野県に入ります。車内から八ヶ岳が一望できるようになり、ほどなく進むと最初の目的地「野辺山駅」に到着です。
野辺山駅は標高1345mで、JRの駅で一番高い所にあります。
とても可愛らしい野辺山駅舎。駅前でレンタサイクルを借りて、JR鉄道最高地点を目指しました。
自転車で小海線に沿って走ると、先程車窓から見た八ヶ岳が目の前に広がります。最高峰の赤岳(2899m)を含む南八ヶ岳の山並みです。
野辺山駅から自転車で15分ほどで、標高1375mのJR鉄道最高地点に到達。当たり前の事ですが、駅との標高差から足が辛くなり、途中から自転車を押して歩きました。
そばには最高地点を示す木製の標柱。
さらには鉄道神社もあります。ご神体はレールで、犬釘(レールと枕木を固定する釘)で鈴を鳴らす凝りよう。かつて小海線を走っていた蒸気機関車C56の動輪も祀られていました。
そして近くのレストランで、評判のソフトクリームを食べました。
野辺山駅までの帰り、少し回り道をして「国立天文台野辺山宇宙電波観測所」にも立寄りました。天文も子供の頃から興味の対象の一つです。
ひときわ大きいアンテナが世界最大級の45m電波望遠鏡。標高が高く山に囲まれて、人工の電波の干渉が少ない野辺山高原が建設地に選ばれました。
本家本元の太陽のコロナをも観測するパラボラアンテナですが、太陽コロナに似ている事から名付けられたコロナウイルスの新型のおかげで見学不可。何とも皮肉な結果に、残念な気持ちでいっぱいです。
野辺山駅に戻るとキハE200形が停車中。2007年に世界で初めて営業用として投入された、ハイブリッド式鉄道車両です。ディーゼルエンジンで発電した電気でモーターを回す電気式気動車に、蓄電用のリチウムイオン電池が搭載されています。
佐久広瀬駅から見た千曲川(新潟県に入ると信濃川)。小海線はこの辺りから千曲川に沿って走ります。さすが日本一長い川で、源流も近いのにこの河原の広さ。
小海線の長野県側の起点となる小諸駅に到着。駅から徒歩5分の、小諸城址「懐古園」を訪問しました。国の重要文化財「三の門」が入口となります。
本丸を囲う石垣の天守台。三層の天守閣は江戸時代の嘉永年間に落雷で焼失し、再建されませんでした。小諸城はその城郭が城下町よりも低い場所にあり、日本で唯一の「穴城(あなじろ)」と言われています。
二の丸跡から見た浅間山(2568m)と、町並みは小諸市街。お城の背後は千曲川が深く削った谷で、天然の要害となっています。
再び小諸駅です。藤沢に戻るには、しなの鉄道で軽井沢駅に向かい、鉄道が廃止された碓氷峠をバスで越えて信越本線の横川駅に出なければいけません。しかし、明日も乗り鉄旅なので先を急ぎ、小海線を佐久平駅まで引き返す北陸新幹線ルートにしました。
車窓から八ヶ岳連峰の北端に位置する蓼科山(2531m)を遠望。浅間山と同じく火山になるので、南側のゴツゴツとした山容とは異なるなだらかな姿が美しいです。北陸新幹線の高架が夕陽に映えていました。
佐久平駅は、後からできた北陸新幹線が前後のトンネルの関係等で地上駅となり、小海線が高架化され新幹線を跨ぐという「下克上」の面白い構造です。
小学生の頃から乗りたいと思っていた、鉄道で最も高い所を走る小海線。天候に恵まれて、八ヶ岳や蓼科山など綺麗な山の風景が広がり、高原列車の旅を満喫しました。